芦ノ湖のトラウト釣り徹底攻略! 陸っぱりとボートで釣れるエリアの解説と鉄板ルアーの紹介
Aventure編集部
都内近郊からアクセスしやすい場所で、本格的なトラウト釣りを楽しめる場所といえば芦ノ湖。トラウト類やブラックバスなど、外来魚が古くから放流されたことで知られており、中禅寺湖と並んでゲームを主体とした釣りファンに親しまれています。中禅寺湖よりも難易度が低いことで知られていますが、芦ノ湖の釣れるポイントや魚のクセを知らなければ釣果には繋がりません。この記事では、陸っぱりとボートそれぞれで攻めやすいポイント、釣れるタックルとルアーの紹介をします。
芦ノ湖に生息するトラウトの種類
芦ノ湖は魚種が豊富なことで有名です。トラウトのほか、ブラックバス、ブルーギル、ワカサギ、ウグイ、コイ、フナ、ドジョウ、ヘラブナなどのさまざまな魚が生息しています。トラウト(マス)の種類も豊富です。
ニジマス(レインボートラウト)
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明治43年に日本で初めて芦ノ湖に放流された魚。北米原産の外来種で、食欲旺盛かつ獰猛な性格です。主に昆虫や小魚を捕食します。釣りにおいては、引きが強く世界的に人気のある魚です。エサ釣りはもちろん、ルアー、フライ、トローリングなど幅広い方法で釣ることができます。
芦ノ湖では平均200g~4kg程度のニジマスが春に放流されています。稀に5kgを超える大物も放流されます。よく釣れるサイズは25cm前後のものです。79.5cmの超大型のニジマスが釣れたという記録があります。
水温が低い湖や渓流域に生息していますが、水温が高い湖などにも適応しました。そのため、気温が低い冬でもニジマス釣りを楽しむことができます。
ブラウントラウト
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ヨーロッパ原産の魚で、釣り愛好家から絶大な人気を得ている魚です。黄金色の体に斑点模様が散りばめられた、大変美しい色をしています。大型のブラウントラウトは下あごが飛び出た独特の形をしています。淡水魚ではあまり見かけない特徴的な外見も、ファンを魅了するポイントです。
体が小さいうちはニジマスとよく似ていますが、ブラウントラウトは黒色に赤みが差した斑点模様があります。
ブラウントラウトは昼も夜も活動し、一日中エサを食べ続けると言われています。小魚やカエル、昆虫などを旺盛に食べます。稀に水面近くを飛ぶ虫を捕食。そのため、フライフィッシングファンが本命として狙う魚でもあります。
芦ノ湖では89cmものブラウントラウトが釣れた記録が残っています。重さは11kgを超えており、相当なファイトとなったでしょう。60cm以上の個体は引きが強く、釣りの醍醐味を楽しむことができます。
スプーン、ミノー、フライで狙う人は多いですが、警戒心がやや強く、そう簡単に釣れる魚ではありません。
ヒメマス
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北海道原産のベニザケが陸封(りくふう:もともと海に棲む魚が、海から切り離された湖沼などに生息した状態)された魚です。芦ノ湖には、ニジマスと同時期の明治42年に十和田湖から移植されました。
ヒメマスは主に動物性プランクトンを捕食するため、味の良さは芦ノ湖の魚の中でもトップクラスと言われています。ヒメマスの旬は5月~7月。この時期は繁殖を前に栄養を蓄えており、身に厚みがついています。塩焼きにするとふっくらとした食感が楽しめます。
ヒメマスは昆虫を好んでは食べないため、フライフィッシングの対象にはなりづらい魚です。スプーンやミノーで狙うことができます。ヒメマスは沖の深場に潜んでいることが多く、トローリングが有効な釣り方となります。
ヤマメ
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平成10年ごろから芦ノ湖で放流されるようになった在来種です。芦ノ湖では稚魚・幼魚のみが放流されるため、大型のヤマメは野生化した個体です。流線形の美しい体をしています。
降海型のサクラマスになると最大70cmに成長すると言われ、力強いファイトが楽しめます。警戒心が極めて強く、芦ノ湖では最高峰のターゲットとして釣り人の関心を集めています。
ヤマメは水生昆虫や落下昆虫を食べるため、フライフィッシングがおすすめです。ルアーでも釣れますが、食いつかなければ二度と振り向かないと言われており、難易度の高い魚です。
湖の基本情報
芦ノ湖は守るべきルールと必要な手続きがあります。また、湖の特徴をつかまなければ簡単に釣れる場所ではありません。釣りをする際のポイントを解説します。
守るべきルール
主な遊漁規則は以下の通りです(令和2年1月施行内容)。
・解禁期間:3月1日から12月14日まで
・遊漁期間:芦ノ湖漁業協同組合が定める日の出1時間前から日没1時間後まで(夜間の釣りは禁止)
・対象魚種:ニジマス、ブラウントラウト、ヒメマス、ブラックバス、コイ、フナ、ウグイ、オイカワ、ワカサギ、ヤマメ、イワナ
・制限匹数:トラウト類15匹、ブラックバス5匹
・持出禁止:ブラックバスを生きたまま芦ノ湖から持ち出すことは禁止されています
・全長制限:トラウト類18cm以下、ブラックバス25cm以下のものを採捕してはいけません
なお、芦ノ湖では2000年からワームの使用が禁止されています。
参考:https://www.ashinoko-gyokyou.com/rule
釣りをする際は遊漁券が必要です。店売りで大人1,500円。釣り船のレンタル店やホテル、ローソンなどで取り扱っています。
詳しくはこちらで確認してください。
参考:https://www.ashinoko-gyokyou.com/info
湖の特徴
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芦ノ湖は箱根山の標高723mの地点にあるカルデラ湖です。自然の湖らしい澄んだ水が特徴で、魚の隠れ場所となるポイントが豊富です。 観光名所ともなっているために、湖周辺の開発が一通り済んでいます。陸っぱりから狙う場所も多数あります。 解禁直後のニジマスであれば、ロープウェイがある湖尻湾、九頭龍神社などワンド内の浅い場所。初夏にかけては百貫の鼻、亀ヶ崎など岬周辺の中層。このように、時期や魚種によって狙うべきポイントが変わります。
トラウトを狙う際のコツ
ルアーで釣る場合は、スプーンかミノーを用意してください。ここではスプーンに絞って解説します。 トラウト釣りの基本であるスプーン。芦ノ湖では3~5g程度がヒット確率の高いものとなります。派手、地味、金、銀など色は一通り抑えておく方が良いでしょう。天候や気温によって釣れやすい色は変わります。
スプーンは”タナ取り”が重要です。タナ取りとは、魚がいる深さを見極めること。水中でスプーンを泳がせる深さを調整することです。着水してからスプーンが底につくまでの時間をカウントし、着底までの秒数を把握します。次に着水から着底までの間でリールを巻き、アタリが出る深さを探るのです。
初心者はスプーンをただ巻くだけで構いません。スプーンの重さに合わせてリールを巻いてください。軽いものほどゆっくり巻きます。1秒に1回転くらいが平均的な巻き方です。巻くスピードはその場で調整してください。
スプーンを使う際は、着水からの秒数と、リールを巻くスピードで釣果が大きく変わります。
ボートのポイント
芦ノ湖は船舶免許が必要な動力付きのボートのほか、手漕ぎボートのレンタルもできます。動力付きは1日利用して1万円前後、手漕ぎボートは3,500円で借りられます。
ボートは陸から狙えないポイントに確実に近づけるうえ、周囲をあまり気にする必要がありません。初夏までは魚が陸に近づかないこともあり、解禁直後や秋を過ぎたころはボートの方が有効だと言えます。
ボートで釣りやすいポイントを紹介します。
箱根神社下
”駆け上がり”が岸から15~20m付近にあります。駆け上がりとは急激に深くなっている場所のこと。多くの魚が潜んでいることで知られています。
ウェーディングと呼ばれる、体を水に入れて釣りをしている人が多くいるポイントでもあるため、岸に近づきすぎないよう注意してください。
プリンスホテル前
芦ノ湖最深部が近くに控える場所で、桟橋からホテル側に駆け上がりが続いているポイントです。ボートから狙う人が多く、ぶつからないよう注意が必要な場所でもあります。
山のホテル桟橋
春にワカサギが集まる場所です。ミノーを使った釣りが楽しめるでしょう。
青屋根
青い屋根の別荘があるポイントです。遠浅のエリアが広がっており、早朝から小魚が集まります。それを大型の魚が狙っています。
ここもウェーディングで釣りをする人が多い場所です。周囲に注意してください。
養魚場
陸から狙う人が多くいるため、岸から50mくらい離れた深場を狙います。
龍宮殿
桟橋から狙う人が多いため、魚がスレ気味です。ただし、岸の近くや桟橋の下に大物が潜んでいることがあるので、チャレンジしたいポイントです。
箱根園
岸際に小魚が集まりやすく、形の良いトラウトがいます。早朝にミノーで狙うと面白いかもしれません。
九頭竜神社
鳥居近くにトラウトが集まっています。解禁直後は動きが活発で釣りやすいポイントの1つです。
陸っぱりのポイント
手軽に釣りを楽しむなら、陸から狙うのがベストです。ただし、陸からの釣りは多くの人がチャレンジしているため、魚がスレ気味で釣れにくいことを覚悟しておきましょう。
魚の活性が上がる早朝や夕方の釣りがおすすめです。
元箱根港
釣りをしやすい護岸が広がっています。地形に変化が少ないため、魚が潜んでいそうな場所を探して徹底的に攻めてください。
箱根港
船着き場になっており、水深があるためにトラウトが回遊しやすいポイントです。スプーンで魚が潜んでいる深さを探るのが良いでしょう。
湖尻水門
水門があり、地形の変化に富んだ場所です。
青屋根
ボートのポイントでも紹介しました。青い屋根の別荘がある場所です。遠浅になっているため、ウェーダーで水の中に入って釣りをするのがおすすめです。
コペリの鼻
トラウトだけでなく、ブラックバスも回遊するポイントです。解禁直後はミノーがおすすめ。夏場は駆け上がりを狙ってスプーンを使うのが良いでしょう。
芦ノ湖おすすめのタックル
芦ノ湖で使いやすいタックルを紹介します。
ロッド
長さは6.6ft(201cm)~7ft(213cm)前後のものが良いでしょう。長すぎると取り回しが悪くなり、使いづらいと感じることが多くなります。
トラウト釣りは柔らかいロッドを選んでください。ブラックバスで使用するようなロッドは硬すぎるため、フッキングせずに弾かれてしまうことがあります。
【シマノ トラウトロッド カーディフ】
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十分な強度としなやかさを兼ね備えた、シマノのトラウトロッド。管理釣り場、渓流、湖に適した各モデルを取り揃えており、目的に沿ったロッドが手に入ります。
「S64L」は芦ノ湖で使うには長さがちょうど良いモデルです。
リール
リールは2500~3000番台を選んでください。2500、3000というのは、糸巻量を表しています。糸の太さにもよりますが、100~150mほどの糸を巻くことができます。
【ダイワ イグジスト】
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ダイワのフラッグシップモデルです。アルミの美しい外観、155gと最軽量、軽快な巻き心地の三拍子がそろっています。2022年にリニューアルモデルが市場投入されました。22イグジストに採用されたのがエアドライブデザイン。ハンドルを回した際の巻き出しを軽くし、高いレスポンスを生み出しています。
ダイワの技術を結集したリールです。
ライン
本格的に釣りをするのであれば、PEラインとフロロカーボンの組み合わせをおすすめします。あまり自信のない人はナイロンを使ってください。
0.8号から1号のPEラインが良いでしょう。軽いスプーンから重いものまで、自在にコントロールできます。大型の魚がかかっても、十分な強度を持っています。
ショックリーダーのフロロカーボンは8~12ポンドを選んでください。
ナイロンは3~5ポンド程度が良いでしょう。
スプーン
あまり大型の魚を追わず、確実にヒットを狙うのであれば、スプーンの重さは3~5g程度が良いでしょう。
【MIU ネイティブシリーズ】
管理釣り場用のスプーンとして絶大な支持を得ているMIUに、ネイティブカラーが登場しました。重さが2.8g、3.5g、4.2gとちょうど良いレンジになっています。
ミノー
ミノーは芦ノ湖のベイトフィッシュとなっているワカサギをイメージするのが良いでしょう。特にサイズ、色はワカサギを参考にしてください。
【シマノ バンタムジジル 85 AR-C(ワカサギカラー)】
ジョイント機構でトラウトを誘います。重心移動システムを採用しているため、飛距離と泳ぎの良さの両方を実現しました。
釣れないときの救世主
ルアーはそう簡単に釣れるものではありません。成功確率の高い釣り方を紹介します。
エサ釣り
最も釣れる確率が高いのがエサ釣りです。子供でも簡単に釣ることができます。マス釣り用の仕掛けが売っているので、それを使ってください。
エサはイクラ、ブドウ虫、ミミズがおすすめです。
生きたワカサギをエサとして、泳がせ釣りをするのも面白いでしょう。ただし、泳がせ釣りはエサとなるワカサギの捕獲をするため、手間がかかります。泳がせ釣りを目的として必要な道具を揃える必要があります。
管理釣り場用ルアー
スレている魚には、管理釣り場用のルアーが有効なことがあります。
【ダイワ 鱒ノ小枝】
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ミミズを模したルアーです。ゆっくり巻くだけで、ミミズのようなアクションを勝手にしてくれます。トラウトだけでなく、ブラックバスやハヤが釣れることもあります。釣果の高いルアーです。
芦ノ湖のおすすめキャンプ場
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芦ノ湖のキャンプ場といえば「芦ノ湖キャンプ村」です。富士箱根伊豆国立公園内に位置する広大な敷地で、キャンプファイヤーやバーベキューなどを楽しむことができます。
キャンプサイトの利用だけでなく、キャビンも用意されています。都内などからの訪問客が多く、連日賑わっているキャンプ場です。施設も清潔で快適に過ごせるでしょう。
カセットコンロや鉄板、鍋などのほか、麻雀セットなどの娯楽用品、自転車のレンタルも可能です。充実した時間を過ごすことができます。
トラウト釣りは自然と向き合う贅沢な時間
「永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい」。これは中国に古くから伝わる諺です。はるか昔から、釣りは人を魅了してやみませんでした。大自然に囲まれた静けさの中、野生の魚と向き合うことほど贅沢な時間はありません。
芦ノ湖は都内からアクセスしやすく、初心者でも釣りやすい場所です。自然湖のために変化に富んだ地形も楽しむことができます。
釣りを楽しむポイントはアメリカの文豪ヘミングウェイの言葉によく表れています。「釣れないときは魚が考える時間を与えてくれたと思えばいい」。釣果にこだわりすぎることなく、自然の中で過ごす時間を大切にしてください