コアファンを魅了してきたジョブズシューズ、ニューバランス992
Aventure編集部
※画像はプレスリリース(「ニューバランス「992」が初めて復刻 さらにシューズカスタマイズサービス「NB1」にニューモデルとして登場」より)
ニューバランス992は、2006年に発売されたスニーカーです。スティーブ・ジョブズがAppleカンファレンスで着用していたことからビジネスマンの間でも話題となりましが、2020年まで復刻されませんでした。ここでは、昨年の復刻を機に有名ブランドとのコラボなどで話題になっているニューバランス992を徹底解説します。
ニューバランスの歴史
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ニューバランスは、カジュアルからフォーマルまでシーンを選ばず活躍し、ファッション通の相棒として不動の位置を確立しているブランドです。元々は矯正靴としてスタートした同ブランドですが、ある青年の企業買収をキッカケに今のニューバランスの形となっていきます。
1906年アメリカ生まれ
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ニューバランスは扁平足を治療する矯正靴やアーチサポートのメーカーとしてスタートしたブランドです。社名の由来は「履く人に新しいバランス感覚を提供する」ことからきています。矯正靴の製造には足の解剖学的な知識、整形外科や運動生理学の知識が必要です。ニューバランスはそういったノウハウを元にオーダーメイドでランニングシューズを作っていました。
1972年には、当時6名の従業員規模だったニューバランス社をジェームス・S・デービスという青年(現New Balance Athletics Inc取締役会長)が買収します。自らが走り、理想のランニングシューズの開発を行った彼によって、独創的なシューズが生まれました。
元々はランナーに強く支持されていた
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当時、新しいシューズコンセプト、レーシングシステムを採用した320やCOMP100といったシューズたちは、1975年のニューヨークシティマラソンをはじめとした多くの著名なレースで好成績を収めました。その後も新シューズ発表時には最先端のテクノロジーを搭載し、足の保護性能は他社を寄せ付けないレベルの品質を提供しています。
ドレスシューズを彷彿とさせる丁寧な作り
ニューバランスの靴たちは、どれも職人の手作りによって吊り込みがなされます。まるでドレスシューズを製作するかのような工程で作られているのです。その結果生まれるニューバランスのスニーカーたちは、カジュアルコーデからジャケットスタイルまでフィットします。休日だけでなく仕事の日に使うビジネスパーソンが多いのも作り込みのこだわりの高さゆえでしょう。
ランニングシューズの歴史を変えたニューバランス900番台
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ニューバランス992は、ブランド創立100周年の記念モデルとしてリリースされたものです。スティーブ・ジョブズ氏が愛用しており、Appleのカンファレンスで着用していたことで知っている方も多いでしょう。ニューバランス992の歴史や魅力をお伝えします。
1000点満点で990点の機能性を確保したスニーカー
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ニューバランスの990番が生まれたのは1982年です。M990という商品名で、当時の技術を総結集した高機能ランニングシューズとしてアメリカでは100ドル、日本では3万円で販売されました。そのモデルと関連付け、「On a scale of 1000,this shoe is a 990.(1000点満点で990点の機能性を確保した)」と主張する雑誌広告のビジュアルが話題です。
発売当時は両立するのが難しいと言われていた安定性とクッション性を「M.C.D(踵部安定板)」という技術で成功させ、他メーカーの開発担当者たちに大きな衝撃を与えた1足でもあります。また、ヒールカウンター下部にある合成樹脂製のヒールスタビライザーは機能性に加えてデザイン面でも大きな特徴になっており、80年代中期のシューズのニュースタンダードとなりました。
現在では、当たり前のようなデザインとなっているM990ですが、ランニングシューズの歴史に大きな影響を与えた1足だったのです。その後も多くのモデルが発表されましたが、990番の開発コンセプトとデザインテイストがしっかりと継承されています。
ニューバランス900番台のラインナップと特徴
900番台は、ニューバランス社の誇りが詰まったスニーカーシリーズです。そんなニューバランス990番台の歴史と特徴を解説していきます。
M990
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1982年に発売され、一般的なランニングシューズを数足購入できる価格設定ながら多くの人に支持された1足です。安定性とクッション性の両方を実現し、業界内におけるニューバランスのポジションを飛躍的に向上させました。
M995
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M990の後継として1986年に登場しました。衝撃吸収性と安定性がさらにアップしています。アルゼンチン製の復刻モデルが一時期販売されたこともスニーカー好きの中では話題になりました。
M996
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1988年にランニングシューズとして開発・発売されました。エンキャプとCキャップが組み合わされ、クッション性を向上しています。ニューバランスを代表するロングセラーモデルで多くの店頭に並ぶ一足です。
M997
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複数の層からミッドソールが構成されていたM996までと異なり、1991年に販売されたM997では一体型のポリウレタン製となりました。それにより、衝撃吸収性が大幅に向上しています。全体的には細身ですがソールが大きく、ハイテク感のある見た目です。
M998
1993年に発売され、990番台シリーズで初めてアブソーブテクノロジーを搭載されたモデルです。近年ではJ.crew向けにスペシャルモデルがリリースされ話題となりました。
M999
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ミッドソールが立体的で、Nマークが小さくなったアッパーデザインはモダンな雰囲気を醸し出しています。1996年に発売され、歩いた時の反発性の高さや丸みのあるデザインが高く評価されました。
M990 v2
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990番台がちょうど1周し、次は何かと期待された1998年に販売されました。M990の名前をもう一度使用し、ヒール部分のアブソールがビジブル仕様となったハイテク感ある一足です。
M991
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前足部のアブソーブがビジブル仕様となり、アッパーのデザインも他の990番台からアップデートされました。2001年に発売され、当時Appleのスティーブ・ジョブズが愛用していたことでも知られている一足です。
M992
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M991のスペックを基本としつつ、機能面でアップデートしたのがM992です。ブランド生誕100周年の2006年に販売されており、シュータンなどに特別のデザインを施したモデルもリリースされています。
M993
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M993は2009年に販売され、990番台シリーズで屈指のヒットモデルとなった一足です。ソールにアブソーブDTSを搭載し、カラーリングをはじめとするデザイン性もアップデートしています。
M990 v3
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2012年に販売され、アウトソールに発泡ラバーを採用するなど大幅な軽量化を実現した一足です。ボリュームあるシルエットとハイテク感の強いデザインが特徴的で、シュータンは他のモデルにはない独特な網目調となっています。
M990 v4
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ニューバランス生誕110周年である2016年に販売されました。当時のテクノロジーを余すことなく搭載しており、M990 v3と比較して足のサポート力と通気性が向上しています。歩行時の安定感と軽さを両立した一足です。
M990 v5
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2019年4月に、ニューバランス990番シリーズの13代目とした発売されました。「ファーストクラスの履き心地」と宣伝され、その履き心地の良さに多くのスニーカー好きを驚かせています。
2006年に生まれ、2020年まで復刻されなかった992
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ニューバランス992は、ブランド創立100周年の記念モデルとしてリリースされたものです。スティーブ・ジョブズ氏が愛用しており、Appleのカンファレンスで着用していたことで知っている方も多いでしょう。ニューバランス992の歴史や魅力をお伝えします。
ブランド創立100周年記念モデルとして販売された
ニューバランス 992はニューバランスの生誕100周年に合わせて販売されました。シュータン
にUSAの国旗が配置されたものもあるなど、他のシリーズにはないディティールが施されており、シリーズの中でも特別視されている一足です。
当時の技術が詰まった一足
スムーズな足運びをサポートするために硬度を変えた「TS2」や、耐摩耗性に優れるアウトソール素材「N durance」、衝撃吸収性・反発弾性・耐久性に優れるミッドソール素材「ABZORB SBS」など、当時の最先端テクノロジーの数々を搭載しています。
ウルヴァリン社の上質なピックスキンスエードを使用しており、上質で落ち着いた雰囲気を漂わせた一足です。ちなみに、2006年に発売されたモデルは「M992GL」、2020年に復刻されたモデルは「M992GR」という名前になっています。
2007年からApple最後のプレゼンまでスティーブ・ジョブズが愛用していた
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ニューバランスのスニーカーを愛用している、スティーブ・ジョブズが2007年以降のAppleのカンファレンスで着用しています。イッセイミヤケのトップス、リーバイス501、ニューバランス992のスタイルはビジネスパーソンの印象に一番深く残っているでしょう。
2009年に993が発売されてからも992を履いていることから、スティーブ・ジョブズ自身が992に対して特別な思い入れを持っていたのかもしれません。
近年のスニーカーブームで有名ブランドとコラボ
ニューバランス 992は2020年に復刻され話題となりましたが、それだけでなく多くのブランドとコラボしており、スニーカー好きたちを驚かせています。
WTAPSコラボ/2020年5月1日発売
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西山徹氏により1996年に誕生したWTAPSはミリタリーテイストなアパレルデザインが特徴的です。そのWTAPSのエッセンスを取り入れ、アッパーにはオリーブ、グレーでカラーリングしています。ヒールタブには西山徹氏が愛用している「M998」のディティールデザインを採用し、USA製で仕上げたオリジナルな一足です。
Kithコラボ/2020年5月23日発売
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「KITH(キス)」はスニーカーのコレクター/デザイナーとして有名なRonnie Fieg (ロニー・ファイグ)が手掛けるブランドです。スコットランドの言葉「KITH and KIN”(友達と家族)」がブランド名の由来で、「顧客には支払った物以上の価値を与えたい」というコンセプトを掲げています。
KithとのコラボではニューバランスM1300 STEEL BLUEのデザインを「998」と「992」に採用したことで話題となりました。アッパーはグレーのスエードで構築され、メッシュ素材やシューレースにはSTEEL BLUEが配色されています。
JJJJOUNDコラボ/2020年8月7日発売
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「JJJJOUND(ジョウンド)」はDONDAというKANYE WEST(カニエ・ウェスト)のアルバムで多くのプロジェクトに携わったJUSTIN SANDERS(ジャスティン・サンダース)が手掛けるブランドです。元々、フォトログとして始まったJJJJOUND(ジョウンド)は、同ブランド名の刺繍を施したTシャツやスウェットなどのアイテムがコアな層にヒットしたことがキッカケで広まっていきました。
JJJJOUNDのコラボではニューバランスのアイコンカラーである深みのあるグレーを採用し、サイドNロゴをネイビーで配色しています。靴全体のカラートーンを落とすことで、深みと上品さをまとった一足です。
リーバイスコラボ/2021年8月6日発売
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リーバイスは1850年以降多くの人に愛され、多くのデニムフリークに愛されています。2020年11月にニューバランスで近年注目されている「327」から3カラーのコラボをリリースしましたたが、それに続く形で2021年に992とのコラボが実現しました。
グレーデニムでアッパーを構築し、サイドのNロゴにはリーバイスお馴染みのレッドタグを縫い付けています。ニューバランスのブランドカラーでもあるグレーをさらに上品にし、リーバイスのディティールを細部にまで落とし込んだ独特の雰囲気を醸し出す一足足です。
違いのわかる大人が選ぶスニーカー
ニューバランス992は、スティーブ・ジョブズが晩年近くのAppleカンファレンスまで着用していたことから記憶に残っている一足でしょう。当時のテクノロジーを結集し、独特のデザインをまとった992はコアなファンから愛され続けている一足足です。ぜひ一度身につけてみてください。