サスティナブルの先駆け。プラダ「リナイロン」の魅力に迫る
Aventure編集部
プラダといえばナイロン素材のアイテム。しかし、今プラダが続々とリリースしている「リナイロン」はご存知でしょうか?サスティナブルな素材を使い、プラダの独自技術を加えたニューラインです。本記事ではプラダ「リナイロン」の魅力を徹底解説します。
プラダとは
世界のトップブランドとして最前線に位置する「プラダ」イタリア発のハイブランドで、何百年にもわたり一族経営を続けている伝統的なファッションブランドです。世界中の人を魅了するプラダのコレクションは古くから愛されており、今も多くのファンを虜にしています。
プラダ兄弟が創業
1913年、プラダを創業したのはマリオ・プラダとマルティーノ・プラダの2人の兄弟でした。当時は、「プラダ」という名前ではなく「兄弟」を意味する「フラテッリ・プラダ(Fratelli Prada)」というブランド名だったのです。当時、イタリアでは牛革を使った製品が多く販売されていました。しかし、プラダ兄弟はワニ革やヘビ革に目をつけ、次々に新たな革製品を生み出します。フラテッリ・プラダ(Fratelli Prada)の革製品は、イタリアの上流階級が注目し、瞬く間に王室御用達ブランドになったのです。
時は流れ、時代は第二次世界大戦に突入します。多くの企業が厳しい物資統制を強いられ、プラダも革製品の入手が難しくなってしまいました。原材料の入手が困難になり、なおかつ需要も減少したことで、プラダブランドは経営難に陥ってしまったのです。やがて弟のマルティーノ氏は、プラダを離れてしまいます。その後のブランドの経営は、兄・マリオ氏一人で行うことになりました。
1945年になると第二次世界大戦が終戦を迎えました。プラダブランドに再び火がつくと思いきや、イタリアの王政が廃止されてしまい王室御用達ブランドではなくなってしまったのです。ブランドの業績は伸びず、兄・マリオ氏は息を引き取ります。マリオ氏の死後、娘のルイーザ・プラダが事業を引き継ぐことになりました。しかし、変貌する時代の変化や価値観に対応することができず、ブランドは低迷し続けてしまったのです。
救世主ミウッチャ・プラダの就任
低迷し続けるプラダブランドを救ったのがルイーザの娘、ミウッチャ・プラダ氏でした。1978年ミウッチャ氏は、オーナー兼デザイナーに就任します。プラダブランドの伝統を生かしつつも、新たな素材を用いり現代風にアレンジ。「日常を贅沢に飾る」をコンセプトとし、まさに新生プラダともいえる数々のアイテムを生み出したのです。ミウッチャ氏が手がけるニュープラダは人気を集め、長年経営に苦しんでいたブランドは見事に息を吹き返します。ミウッチャ氏が手がけたのは、現在もブランドに受け継がれているライン「ポコノ」です。「プラダといえば革製品」というイメージを取り払い、防水性、機能性に優れたナイロン素材を使用したラインを発表しました。「ポコノ」を見た世の女性たちは、瞬く間にプラダブランドの虜になったのです。その後、パトリッツィオ・ベルテッリ氏と結婚したミウッチャ氏。2人で手を取り合いながら、ビジネスパートナーとしてプラダブランドの経営戦略を練ります。やがて、プラダは世界のトップブランドへと返り咲きました。
「ミュウミュウ」の登場
1993年、ガーリーで女性らしいキュートな要素を取り入れた「MIU MIU(ミュウミュウ)」は、プラダブランドのセカンドラインとして発表されました。「BAD GIRL=不良少女」というコンセプトを掲げ、若い女性が大人になりつつも、独立心や型にはまらない想いが込められています。「ミュウミュウ」という名は、ミウッチャ氏の幼少期のあだ名を元に名づけられたといいます。モードでエレガントな印象を持つプラダとは180°真逆のデザインですが、プラダ同様、上質な革を使いプラダに並ぶ人気を集めています。
ハリウッド映画で広まる
プラダの認知度が若年層にも広がったのは、ハリウッド映画への進出でした。2006年、アメリカで公開された映画「プラダを着た悪魔」は、世界的なファッション雑誌VOGUE(ヴォーグ)の編集長でもあるアナ・ウィンターをモデルにし、おしゃれに興味がないアン・ハサウェイが彼女の元で献身的に秘書として働く様を描いています。映画内では、古着を好んでいたアン・ハサウェイも、次第にシャネルやヴェルサーチ、プラダといったハイブランドに身を包み、徐々に美しくなっていくのです。彼女が変貌を遂げるシーンは、まさに女性の憧れが詰まった一瞬といえるでしょう。映画「プラダを着た悪魔」は、326億円にものぼる興行収入を得るほど、世界の人々を魅了したのです。
プラダの人気ライン
女性、男性ともに人気が高いプラダブランド。古くから受け継がれているプラダの人気ラインを紹介します。
ポコノ
プラダブランドが再燃したきっかけとなった「ポコノ」。プラダの定番中の定番ラインで、第一号の誕生から現在にわたってブランドを牽引しています。もともとは、テントやパラシュートなどのミリタリーアイテムに使用されていたナイロン生地を、ハンドバッグやリュックに応用するといった、斬新なアイデアを発揮したミウッチャ氏。水に強く、丈夫で使いやすいポコノは1990年に日本でも大ヒット。まさにプラダブランドの火付け役となったのです。2019年にはサスティナブルの時代にのっとり、再生ナイロン素材を使用した「リナイロン(Re-Nylon)」コレクションを発表。2021年末までに取り扱うすべてのナイロン素材をリナイロン(Re-Nylon)に替えることを目標にしてきました。
カナパ
プラダのキャンバス素材を使ったアイテムといえば「カナパ」。海外セレブや人気モデルにも愛用者が多く「PRADA MIRANO」のロゴが入ったラインです。ちょっとした荷物を入れるためのミニバッグや通勤や、買い物用のバッグとしても使用できるMサイズは特に人気です。また、荷物が多い方や、旅行用におすすめのLサイズも販売しています。豊富なカラーバリエーションとサイズ展開で、日本でも大変人気が高いシリーズです。
プラダリナイロンの魅力
プラダ「リナイロン」は、世界中の海から回収されたプラスチックごみや漁網、埋め立てごみや繊維くずを再利用して作られた再生ナイロン素材を使用して作られたコレクションです。環境に配慮した取り組みが注目されるなか、プラダは自社のメインシリーズ「ポコノ」に着目。100%再生素材を使用した「リナイロンプロジェクト」を始動させたのです。
シーンレスで使える
プラダ「リナイロン」は、ちょっとした買い物や自転車での移動などカジュアルなシーンでも程よく品を纏ってくれる素材。ビジネスシーンやパーティーシーンでもかっちりしすぎずも、どこか上品なエレガントさを兼ねそろえたシリーズです。シーンを選ばずとも使用できるため、多くの人がリナイロンを好んでいます。
光沢のある質感
従来のナイロン素材と比較すると、質感に変化はなく、廃棄されるごみを原料としているエコニールを採用していますが、プラダの独自技術によってシルクのように滑らかな光沢と手触りを実現しました。
豊富なデザイン
リナイロンがリリースされた当初は、バッグのみの販売でしたが、現在ではスニーカーやブーツなどをはじめとする、アパレルアイテムにもリナイロンを採用しています。小物などにもリナイロン素材が使われているため、デザインが豊富です。今後もリナイロンのリリースが予定されているので、注目してみてもいいかもしれません。
丈夫な素材
プラダ「リナイロン」は、エレガントで使いやすいだけではなく丈夫な点も魅力の一つ。ナイロンのポコノは、もともと、アウトドアアイテムに使われていたので非常に丈夫な素材です。さらに、サスティナブル素材を使ってアップデートされた「リナイロン」。環境にやさしい素材を使用しながらも防水性にも優れているため、雨に濡れても安心して使用できます。
ナイロンとリナイロンの違い
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プラダには「ナイロン」と「リナイロン」の2種類のシリーズが発表されています。従来の「ナイロン」は、石油由来のものを原料に、合成繊維ポコノ素材を作っていました。しかし、サスティナブルの取り組みが浸透するなか、CO2の輩出や海洋汚染の原因になるため、リナイロンを発表したのです。リナイロンに使われているエコニール素材は、イタリアの繊維用糸メーカーが開発しました。世界中から回収した漁網や海洋プラスチックゴミ、廃棄カーペット、衣料品を原材料としている、いわゆる「サスティナブルな素材」です。使用している原材料は異なるものの、質感にほとんど変わりはありません。
人気のプラダリナイロンアイテム
今、プラダのなかで最も熱いラインナップとされている「リナイロン」シリーズ。ここでは人気のリナイロンアイテムをご紹介します。
Re-Nylon xサフィアーノレザー バックパック
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革新的な最新技術を用い、テクニカルな素材を使用したリナイロンレザーバックパックは、プラダを象徴するサフィアーノレザーのデティールが際立つアイテムです。さらにクロスハッチ加工とワックス仕上げが特徴の高品質のカーフレザーを採用し、品格のあるデザインに仕上げています。
Re-Nylon xサフィアーノレザー バックパック
高さ43.5㎝と大容量のリナイロンサフィアーノレザーバックパック。メインの収納部分はファスナー開閉になっており、開け閉めがしやすくなっています。随所にちりばめられたサフィアーノレザーと、リナイロンの光沢感が見事にマッチしたアイテムといえるでしょう。
Re-Nylon xサフィアーノレザー ベルトバッグ
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小物収納におすすめなサイズ感が印象的なベルトバッグは、サフィアーノレザーとリナイロンの異素材ミックスのアイテムです。エナメル素材のトライアングルロゴが光るため、カジュアルな装いにも、ラグジュアリーさを感じられます。
Re-Nylon ブルゾンジャケット
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リナイロン素材を採用したブルゾンジャケットは、スポーティーさを纏った一着。リブ付きの袖で、腕まくりも自由自在に行えます。雨に強く、運動シーンでも活躍するほか、プライベートでの装いにもぴったりなデザインです。
Re-Nylon バケットハット
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プラダのアイコニックなエナメルメタルのトライアングルロゴがあしらわれているのは、リナイロン素材のバケットハットです。アウトドアの印象を一切感じさせないシルエットは、リナイロンの光沢感によるものかもしれません。
Re-Nylon ベースボールキャップ
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ベーシックなベースボールキャップにリナイロン素材を用いたアイテムは、まるで革製品のような落ち着いた佇まい。トライアングルロゴとリナイロンの輝きが見事にマッチし、上品さを感じさせてくれます。
リナイロンでサスティナブルを纏う
多くの企業がサスティナブル素材を用いた製品を販売するなかで、リナイロンシリーズは一足先に販売されました。環境に配慮しながらも機能性とデザイン性に優れた製品を生み出せるのは、プラダの独自技術ならではです。ぜひ、一度リナイロンシリーズを手にとってみてください。