ボルダリング

自宅でできるボルダリング上達のためのトレーニングを徹底解説

Aventure編集部

ボルダリングのトレーニング

体一つでさまざまな色分けをされた岩や壁をよじ登るボルダリングは、全身の筋肉をすみずみまで使います。もっとも効率的な上達方法はジムに通いながらトレーニングを行うことですが、頻繁に通えない方も多いのではないでしょうか。今回は自宅でできるボルダリングのためのトレーニング方法を解説していきます。


ボルダリングとは

道具を使用せずに岩やクライミングウォールを登るボルダリングですが、いまいちルールが掴めない方も多いのではないでしょうか。ここではルールや魅力などを解説していきます。

フリークライミングの練習として行われていた

ボルダリングは、ロッククライミングという大きなジャンルの中に細分化された一つの競技です。山の中の岩を登るアルパインクライミングや、支点支持具を使うエイドクライミングなどの競技が複数存在します。

ボルダリングはその中でもフリークライミングに分類され、安全対策にロープを用いるトップロープクライミングや、各地点にロープをかけながら登るリードクライミングの練習メニューとして位置付けられていました。

1990年代後半に競技化され、大会のルールではスピードや高さではなく、指定された課題を完登することが基準となります。チョークと呼ばれる白い粉(炭酸マグネシウム)を滑り止めとして手のひらに付け、3~5メートルの人口の壁で道具やロープを使用せずに、体一つで登ることが特徴です。

ルール

ボルダリングのルールはスタートからゴールまで、ホールドと呼ばれる石をつたって登ることです。石のそばには目印のテープが貼られており、難易度ごとに色や形が異なります。同じ難易度でもコース(課題)がいくつかあり、テープに書かれた数字で分けられています。スタートとゴールは両手で触ることが原則ですが、ルールによっては左右どちらかの手を指定される場合も珍しくありません。一度も落下せずにゴールを触れたらクリアです。

魅力

ボルダリングは手軽に始められ、楽しく取り組めてダイエット効果も得られる部分が魅力です。室内ジムではシューズがレンタルでき、動きやすい服装と着替えを用意すればすぐに始められます。初めての場合はスタッフからレクチャーを受けられ、課題をクリアすると達成感を味わえるでしょう。全身運動で体幹力が鍛えられてダイエット効果が高いことも人気の理由の一つです。消費カロリーは水泳の1.3倍だと言われており、楽しみながら引き締まった体が手に入ります。


ボルダリングは体の使い方が大切


ボルダリングには体を支える強い筋力が必要だと思っている人は多いかもしれません。ですが、それ以前に、効率よく登るための体の使い方や戦略が大切です。ここではいくつかポイントを解説していきます。

重心の置き方で疲労度が変わる

ボルダリングはホールドに足を置いたり、指を引っ掛けたりして体を固定させます。足はつま先で立つと楽にバランスが取れて、次のホールドへ移動しやすくなります。どうしても止まれないポイントは、胸やお腹を壁にべったりと付けてバランスを維持することも時には必要です。難易度が高くなるにつれて工夫が試されるため、これもボルダリングの醍醐味と言えるでしょう。

それぞれの体に適した登り方を探る

同じコースでも体型や筋力によって、ホールドの渡り方や掴み方などが変わってきます。手足が長い人は腕を伸ばしてやっと掴める場所でも、短い人はジャンプをして移動しなければ渡れません。その分跳躍力や握力などを鍛える必要がありますが、体が小さい人は体重が軽いため、疲れにくいという強みがあります。自分の特徴を知り、登るスタイルを決めることが重要だと言えるでしょう。

一番楽に渡れるルートを決める頭脳も必要

スタートからゴールまで続くホールドを一つずつ確認して、登り方をイメージしてから開始することが重要です。登っている途中で考えていると疲労が蓄積し、後半に力が入らなくなる場合があるからです。最短コースでスムーズに渡ることが重要なので、先にポイントごとに出す足や手を決めておきましょう。難易度が低い場合は同じ登り方になりがちですが、高難易度になるほど個性が試されるため、考える力が必要になります。

体幹力

体幹を鍛えることで体の軸が安定するため、多少バランスを崩しても耐えられるようになります。登り方のパターンを増やすことができ、疲れにくくなるでしょう。ホールドの場所によっては変則的な体勢でバランスを取る必要があるため、難易度が高くなるにつれて強い体幹が重要になってきます。体幹を鍛えることで深層部のインナーマッスルも強化されるため、腰痛予防になったり痩せやすくなったりします。

前腕筋・腹筋・広背筋

上半身の筋肉を鍛える場合、前腕筋と腹筋と広背筋のトレーニングがおすすめです。前腕筋は握力の強さにも繋がり、体重を支えるために必要です。腹筋は傾斜の強い壁を登ったり、足を上へ引き上げたりする際に使います。広背筋は体全体を上へ引き上げる際に使われる部位なので、登る動作では常に消耗します。ボルダリングをする際に疲労を感じやすい部位は重点的に鍛えていきましょう。

握力・指の保持力

握力と指の保持力は優先的に鍛えておきましょう。背筋の力や体幹が強くても、ホールドを掴む力がなければ先へ進めないからです。握れるほどのホールドは握力を鍛え、小さいホールドはつまむ力が必要なため、指の保持力(つまみ続ける力)が必須です。それぞれのトレーニング方法は後述しているので、参考にしてください。

下半身の跳躍力・瞬発力

ボルダリングでは、ジャンプをしなければ先に進めないような場面があります。足場が狭く思い切りしゃがみこむことも難しいため、少しの勢いで力を出せる跳躍力と瞬発力が必要です。ふくらはぎや太ももなどの下半身はもちろん、背筋や体幹の力も同時に使うため、バランスよく鍛えることが重要だと言えるでしょう。

全身の柔軟性

柔軟性を高めると広範囲に手足を伸ばせるため、遠くにあるホールドも楽に渡れるようになります。渡り方のバリエーションや選択肢が増えるため、クリアできる確率も高まるでしょう。多少無理な体勢を取ったり、落下しても怪我を防ぎやすくなるという点も大きなメリットです。


自宅でできるトレーニングメニュー


ボルダリングに通う頻度が少ない場合は、自宅でトレーニングをして体力をつけておく必要があります。いつでも通える人でも、指の皮がめくれて取り組めない場合もあるでしょう。ここでは自宅でできるボルダリングのためのトレーニングメニューを解説していきます。

プランク

プランクは体幹やインナーマッスルを鍛えるための代表的なトレーニングです。両肘とつま先をつけて、まっすぐに姿勢を保ちます。その状態で左右の足を交互に肩に近づける動きをすると、腹筋への負荷も高まるのでおすすめです。横向きになって片方の肘と、足の甲の側部で耐えるようにする方法もあり、さまざまなアプローチができます。

つまみトレーニング

指の保持力を鍛えるためには、物をつまむトレーニングが最適です。ペットボトルに水や砂を入れると、握るための筋トレ道具になります。人差し指と中指、中指と薬指、薬指と小指の3パターンでそれぞれ2本ずつ同時に、手のひら(親指でも可)で挟んでつまんでください。予算があればフィンガーボードを使うのも良いですし、公園にある低い鉄棒で地面に足をつけて、指だけで体重を支えるトレーニングもおすすめです。

スクワット

遠いホールドに向かってジャンプするための瞬発力と跳躍力を鍛えるには、スクワットがおすすめです。下半身を鍛えることで全身の脂肪燃焼につながり、体重が落ちやすくなる点も重要です。運動に慣れていない人は通常のスクワットを行ってください。慣れてきたらジャンプスクワットやバーピージャンプに切り替えて、ジャンプ力を鍛えていきましょう。

懸垂

懸垂は前腕筋、腹筋、広背筋、握力を鍛えることができる万能のトレーニングです。家に設置できるチンニングスタンドを使ったり、公園の鉄棒などで行いましょう。懸垂ができる環境がない人は、後述するチューブトレーニングで鍛えると良いです。

チューブトレーニング

トレーニングチューブは場所を取らず安価で始めることができます。ローイング系の動作やデッドリフトなど、背筋を使って引っ張る種目がおすすめです。同時に体幹や腹筋、握る力まで鍛えられため、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

ストレッチ

ストレッチはトレーニングというよりも、可動域を広げるために行いましょう。肩甲骨や股関節を広く動かせるようになるだけで、あらゆる角度のホールドや傾斜に対応できるようになります。毎日お風呂上がりの体が温まっている状態で、5~15分ほど行うことをおすすめします。


トレーニングの注意点

ボルダリングは強いフィジカルが必要ですが、やみくもに鍛えると後に悪影響が出てきます。クライミング競技の一つなので、登るためだけに特化した体作りをしましょう。ここではトレーニングをする際の注意点を解説していきます。

不必要な筋肉はつけない

ボルダリングの動作に必要ではない筋肉は、つけないようにしましょう。大胸筋や三角筋などを大きく発達させると、可動域を狭める可能性があるからです。体重が余計に増えることも良くありません。多くのスポーツに通ずるものですが、ボルダリングではその影響が顕著に出ます。そのため、スタートからゴールまでの動きを想定した鍛え方が望ましいと言えるでしょう。

体重が増えない鍛え方をする

ボルダリングで次々に難易度の高いコースをクリアしていく上で、体重の軽さは非常に重要になってきます。握力や体を引っ張る力があっても、体重が重ければ疲労が溜まりやすいからです。そのため、おもりで負荷をかけて筋肥大させる鍛え方は適していません。ボルダリングは自体重の範囲で鍛えて体重が増えないようにしましょう。ほかにも体重を増やさない方法として、アイソメトリックストレーニングで神経系を鍛えることもおすすめです。

こまめに水分補給を行う

トレーニング中は、10〜15分おきにコップ一杯分の水を補給するようにしましょう。脱水症状などの体調不良を予防できるからです。ほかにも、トレーニング中に水分量を維持することで筋肉が柔らかく作られ、瞬発力を発揮しやすくなることも大きなポイントです。


継続的に鍛えることが大事

ボルダリングは手足の運び方や体重のかけ方が重要で、細かな技術と戦略が求められる競技です。しかし、難易度が上がるにつれて角度が険しくなったり、ホールドが掴みにくくなったりするため、フィジカルの強さも必要になってきます。より高難易度のコースをクリアしていくためにも、継続的に鍛えていきましょう。

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