今日のGジャンカルチャーを作ったリーバイス デニムジャケットについて徹底解説
Aventure編集部
ファッションの定番アイテムとして、多くの人に愛されている「Gジャン(ジージャン)」。リーバイスが18880年代に開発したアイテムが起源となり、今日の定番になりました。この記事では、デニムジャケットの歴史や特徴からヴィンテージ品の見分け方や購入時の注意点まで解説していきます。
リーバイス デニムジャケットの起源と歴史
デニムジャケットは日本では「Gジャン(ジージャン)」という名で呼ばれています。「jean jumper」という言葉から生まれた和製英語で、英語では「jean jacket」や「denim jacket」という名称です。そんなデニムジャケットの起源と歴史について、まずは解説していきます。
1880年代にリーバイスが開発したアイテムが始まり
この投稿をInstagramで見る
デニムジャケット、通称「Gジャン(ジージャン)」は、ファッションアイテムの定番としてメンズ・レディース問わず世界中で愛されています。原型となったものはリーバイスが1880年代に開発した「リベティッド ブラウス」というアイテムです。
ブラウスはフランス語のブルゾンが語源で、ジーンズやオーバーオールと同じようにリベットがついたブラウスという意味になります。「衣料品の補強具としてリベットを使用する方法」で特許を取得していたリーバイスならではの商品名で、このアイテムが後のデニムジャケットに大きな影響を与えているのです。
デニムジャケットとして展開したのは1936年
この投稿をInstagramで見る
1889年の春にリーバイスが西部全域の販売店にスプリングボトムパンツのサンプルを送った際のカタログ・パンフレットには、デニムだけでなくジャケットも表示されており、ジーンズ誕生時とほぼ同時期からリベティッド・ブラウスとジーンズがセットで提供されていました。
リーバイスがリベティッド・ブラウスをデニムジャケットとして展開したのは1936年です。「506XX」という通称ファーストタイプのものをリリースします。そこから徐々にディティールを変化させていき、「セカンド」「サード」「フォース」の4つのタイプが生まれたのです。
デニムジャケットのベースとなった5種類のうちの4つがリーバイス
この投稿をInstagramで見る
「ファースト」から「フォース」までの分類は日本の古着業者が分類したものだそうです。リーバイス社が行ったものではありません。リーバイスの4タイプに加えて、リーの「101-J」も今のデニムジャケットのベースとなったと言われています。主に5種類のデザインが今の基準になっていますが、多くのブランドがデザインベースとして用いるのはファッション的にも高い評価をされている「サードタイプ」のものです。
タイプ別のデニムジャケットの特徴
リーバイスのデニムジャケットはタイプごとにディティールが異なります。時代の変化とともに形を変えており、それが古着好きやデニムフリークに愛されているのです。ここではタイプ別の特徴を解説していきます。
左胸のみのポケットやシンチバックが特徴的なファーストタイプ
この投稿をInstagramで見る
リーバイス初のデニムジャケットとして1936年に生まれたのが「506XX」です。ファーストタイプと呼ばれており、世界中に愛されているデニムジャケットの礎となっています。このモデルの特徴は、前立てのボタン脇にあるアクションプリーツと呼ばれるヒダや、左胸の低めの位置に取り付けられたフラップポケットです。
ロットナンバーが記されたパッチは革でできており、1955年以前に作られたファーストタイプは全て革パッチで作られています。シンチバックと呼ばれるリベットで補強されたバックルベルト式のアジャスターも特徴的です。背中のヨーク部分にも2つのプリーツが設けられ、立体的で動きやすいデザインになっています。
第二次世界大戦終結後に生まれたセカンドタイプ
この投稿をInstagramで見る
第二次世界大戦が終わりアメリカに好景気が訪れた1950年代に、リーバイスはデニムジャケットのモデルチェンジを行います。戦後の物資統制もなくなった中で誕生したのが「507X」です。セカンドタイプと言われており、シルエットや主なデザインはファーストタイプを踏襲しています。
ファーストタイプとの違いは、胸ポケットが両胸にある点とシンチバックがボタン式のサイドアジャスターへと変わった点です。胸まわりに立体的なゆとりを作り動きやすくするフロントプリーツや、股上の深い太めのデニムと連携するショート&ワイドのボックスシルエットなどをファーストタイプから引き継いでいます。
シンチバックがサイドアジャスターへと変わったことで、着たままでもウエストのフィット感を調整できるようになりました。ワークウェアとしての性格が強かったファーストタイプに機能性とファッション性が付与されています。ファーストタイプと同じく、1955年以前に製造されたものはパッチが革製に、それ以降は紙製のパッチになっている点が製造された年代で異なる点です。
デニムジャケットの完成系と称されるサードタイプ
この投稿をInstagramで見る
1950年代後半から1960年代前半にかけて、デニムがワークウェアからファッションアイテムへと変化していきました。そんな中、デニムジャケットもファッションとして楽しむ傾向が若者の間で広まっていたのです。リーバイスは時代の変化を敏感に察知し、デニムジャケットをファッションアイテムへと進化させるべく大きなモデルチェンジを行います。そんな時代背景を経て生まれたのがサードタイプと言われる「557XX」です。
この投稿をInstagramで見る
最大の特徴は、ファーストタイプやセカンドタイプについていたアクションプリーツがなくなったことです。V字型の切り替えによって立体感を生み出し、ベース型のフラップポケットと連動したフロントデザインを採用しています。両胸のポケットはこれまでよりも位置が高くなっており、それに伴いヨークの切り替え線も変更。今なお多くのブランドが手本とするデザインを確立したのがサードタイプなのです。
セカンドタイプからサイドアジャスターは引き継ぎ、タックボタンもジンクからカッパーへと素材を変更しています。また、ステッチはオレンジとイエローが混ざっている点も特徴です。パッチは1958年頃の仕様変更に伴い、レザーではなく紙パッチが使われています。生産効率の高さを重視したシンプルかつ洗練されたデザインはデニムジャケットの完成系と言われており、英語圏ではサードタイプのみを「トラッカージャケット」と呼ぶこともあるそうです。
ファッションアイテムとしてデニムジャケットを完成させたフォースタイプ
この投稿をInstagramで見る
1966年から67年はアメリカの文化が劇的に変化した期間だと言われています。若者が主導したカウンターカルチャーがファッション、アート、映画、音楽などあらゆる分野に波及しました。そんな中でリーバイスはフォースタイプを生み出したのです。
フォースタイプは1966年に発売されたリーバイス「70505」が原型となっています。パッと見た感じではサードタイプとあまり変わらないという人が多いですが、シルエットの変化が大きいです。これまでワイド&ショートだったシルエットが、スリム&ミドルへと変わっています。
この投稿をInstagramで見る
シルエットの変化に合わせて紙パッチの大きさもひと回り小さくなり、サイドアジャスターのタブもやや太めの四角い形になっています。ステッチカラーがイエローの割合が減り、ほとんどがオレンジになったのも変化の一つです。それまでデニムジャケットとして完成していたデザインを、ファッションアイテムとして完成させたのがフォースタイプだと言えます。
90年以上形を変えず、独自のデザインを貫いてきたフィフスタイプ
この投稿をInstagramで見る
リーバイスのファーストタイプからフォースタイプまでが圧倒的な存在感を示す中で、独自のポジションを確立しているのがLee(リー)の「101-J」です。リーバイスと異なり、1931年に誕生してから今日にいたるまで基本的なデザインが変わっていません。
デザインはリーバイスのサードタイプと似ていると言われているものの、サードタイプがリリースされる30年以上も前から存在しています。デザインの特徴は、丸みを帯びたフラップやフロントのジグザグステッチ、斜めにカットされた胸ポケットなどです。リーバイスという王道から少し外れたデザインではあるものの、独自の立ち位置で愛されて続けています。
デニムジャケットのヴィンテージ版と復刻版の見分け方
この投稿をInstagramで見る
デニムと同じく、デニムジャケットにも90年近くの歴史があります。時代ごとによって織り機や素材が異なり、独自の風合いがあるのもヴィンテージものを魅力です。ここでは、ヴィンテージ版と復刻版の見分け方について解説していきます。
製品タグの有無
復刻版には日本製・アメリカ製問わず、必ず内側に製品タグがついています。一方でヴィンテージものには製品タグがついていません。ものによっては、タグがカットされていることもあるため、製品タグの有無だけで判断するのは危険ですが、一つの参考になります。
ボタン裏の刻印の確認
製品タグの有無と合わせて行いたいのが、ボタン裏の刻印の確認です。ヴィンテージものは「17」、日本製は「J〇〇」、アメリカ製は「555(5はアメリカナンバー、55はバレンシア工場のナンバーです)」となっています。この刻印と合わせて確認するのが確実な見分け方です。
ヴィンテージデニムジャケットを購入する時に知っておくと良いこと
この投稿をInstagramで見る
ヴィンテージのデニムジャケットは、サイズが大きくなっても、着丈はそこまで変わりません。例えば70505の場合、サイズ34の着丈は通常55cmから56cmほどです。それに対してサイズ40が56cmから58cmほど、サイズ42も同じくらいの着丈になっています。サード以前の古いモデルは着丈が短いなど、モデルによる着丈の差はあるものの、そこまで差はないと覚えておくと良いでしょう。
サイズによって異なるのは身幅
デニムジャケットのサイズによって大きく異なるのは身幅(横幅)です。現行品ではサイズが変わると着丈も変わるのが一般的ですが、ヴィンテージの場合は身幅のみが変わると覚えておきましょう。
組み合わせるインナーによってサイズを選ぶ
この投稿をInstagramで見る
ヴィンテージのデニムジャケットは着丈ではなく身幅が主に異なるため、組み合わせるインナーの厚みやサイズ感によってサイズ選びに注意が必要です。Tシャツや薄手のインナーと合わせてタイトに着る場合と、スウェットなど厚手のインナーを組み合わせる場合によって適正サイズが2サイズほど異なってきます。
タイプ別の違い
タイプ別に異なるのはアームホールの大きさです。ファーストタイプとセカンドタイプはアームホールが小さく、サードタイプとフォースタイプはアームホールが大きくなっています。アームホールが小さいものは、インナーの重ね着と相性が悪いです。腕周りのシルエットが細くスッキリしたシルエットは魅力的ですが、持っているアイテムの着こなしとの相性を考えて選びましょう。
世界のデニムジャケットのベースになった名作を
リーバイスのデニムジャケットは世界中のブランドがデザインのベースにする名作です。時代の変化の中で輝きを増し続けるアイテムを、ぜひあなたも手にとってみてください。