革靴の最高峰、オールデンチャッカブーツの魅力に迫る
Aventure編集部
数少ないメイドインUSAの革靴ブランド「オールデン」。オールデンのチャッカブーツは、カジュアルになりすぎず、本物の大人カッコイイが作れる名モデルです。本記事ではオールデンのチャッカブーツの魅力に迫ります。
革靴の王者オールデンとは
130年以上続く名ブランド「オールデン」。アメリカを代表するシューズメーカーとしてトップに君臨し革靴の王者とも呼ばれています。多くの人は一度足を踏み入れると、他のメーカーの靴は履けなくなってしまうというほど虜になってしまうほどの一級品です。革靴を愛する男性なら一度は憧れる老舗ブランドかもしれません。
伝統的なMade in USA
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1884年、アメリカ・マサチューセッツ州のミドルボロウにて設立されたオールデン。オールデンを生み出したのはチャールズ・H・オールデン(Charles H.Alden)です。創業当時は今のような既製品の販売ではなく、カスタムメイドのブーツなど受注生産を中心に行っていました。
創業から8年、マサチューセッツ州ノースアビントンに工場を移転し事業を拡大します。1931年、創設者のオールデン氏は引退。経営権は、オールデン氏のパートナーでもあったターロウ・ファミリー(Tarlow Family)に移行されました。
ターロウ家に所有権が移るも、現在まで4代にわたり靴職人一族としてオールデンを守ってきたのです。経営権の移行に伴いノースアビントンの工場は、ブロックトン・シティーへと移転し生産を続けます。1970年、オールデンの原点でもあるミドルボロウに最新設備を搭載させた工場を建設。オールデンが生まれた地で今も尚、革靴の生産を続けています。
1945年の第二次世界大戦後、有名俳優の依頼があり、オールデンは新たな靴の開発を手掛けます。そこで生まれたのは、タッセル調のローファーでした。クラシカルでヴィンテージライクなローファーが多くのハリウッド俳優を魅了し、オールデンの人気に拍車をかけました。モダンな高いデザイン性はもちろん、独自技術を搭載したオールデンの革靴は、アメリカから世界へ広がりやがて世界トップクラスのブランドへと昇り詰めたのです。
創業当時は多くの革靴メーカーが点在していたミドルボロウも、現在はオールデンの工場しか存在しません。メイド・イン・USAを作るのはアメリカでもオールデンを含む2社だけが生産をしています。
革のダイヤモンド「コードバン」
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オールデンが国境を超えて、世界中のメンズを惹きつける理由は、コートバンシューズにあります。コードバンとは馬のお尻のことを指し、上品で輝かしい光沢が出るのが特徴です。しかし1頭から少量しか採取ができないため、大変希少価値が高く、高級の革製品にしか起用されません。
オールデンではコードバンを使用したコードバンシューズを制作する際、原皮の入手からなめし、仕上げまでを行っているホーウィン社から仕入れをしています。全てのコードバンの工程を行っているのは世界でもアメリカのホーウィン社と、日本の新喜皮革しかありません。
一般的なコードバンは、馬のお尻に存在するように硬く伸びにくい革として知られています。さらに繊維が縦方向に並ぶことから、靴には不向きな素材なのです。しかし高い耐久性を持つことから靴づくりに非常に向いている素材ともいえます。
そこでホーウィン社は、硬くて厚みのあるコードバンに透明感のあるツヤを生み出す仕上げを施すことで、オールデンのしなやかな革靴を守り続けてきたのです。
履き続けられるグッドイヤーウェルト製法
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革靴メーカーとして130年も愛され続けるのは、グッドイヤーウェルト製法も関係しています。グッドイヤーウェルト製法とは、アッパーにリブといわれる連結パーツを縫い付け、さらにリブとソールを縫合する製法のことです。ソールが劣化しても張り替えができることから、長く履き続けられる製法として多くの革靴メーカーが取り入れています。
しかし、オールデンのグッドイヤーウェルト製法は、ひと味違います。インソールとアウトソールに松脂が練り込まれたコルクを敷き詰め、フィット感と高いクッション性を実現。さらに熟練職人の技術によって、アウトソールとウエルトの縫合部分を同幅にカットしています。
仕上げに塗料とワックスを塗り、ブラシで磨きをかければ、多くの人が虜となるオールデンの一足が完成します。
人気のラスト
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オールデンのように靴を作るためには木型が必要です。デザインや機能、さまざまな要素を決定するのに木型、すなわち「ラスト」と呼ばれる型なしでは製造ができません。オールデンの現行品では約12種類のラストが採用されており、過去の製品も含めるとその数は、約20種類に昇るといわれています。
モディファイドラスト
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オールデンの代名詞ともいえるモディファイドラストは、土踏まずの部分が大きく絞られており、トゥとヒールにゆとりのあるシルエットになっています。そのため土踏まずのフィット感があり、疲れにくく安定した歩行を実現しました。元々はアーチが深いユーザーに向けた矯正靴として誕生したのです。
バリーラスト
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オールデンのなかでも最も使われている木型でもあるバリーラストは、モディファイドラストと比較すると土踏まずが緩やかな設計です。
さらにトゥにゆとりを持たせることでエレガントな印象を生み出します。全体的にサイズが大きいため、本来のサイズからハーフ、もしくはワンサイズ落として選ぶと足に合いやすいかもしれません。
レイドンラスト
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レイドンラストは細身のシルエットが特徴的な木型です。フォーマルなドレスシューズはもちろん、カジュアルなシューズにも使われています。オールデンではチャッカブーツに多く起用されており、全体的にバランスのとれたラストといってもいいでしょう。
バンラスト
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ローファー専用として製造されたバンラストは、日本人の足型にしっくりハマるシルエットになっています。サドル部分に切込みが入っているコインローファーに採用されていることが多く、1950年代にアメリカの東海岸の学生の間で人気を集めた木型です。
ミリタリーラスト値379X
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1912年にマンソン・アーミー・ラストという木型を元にデザインしたオールデンのなかでもマイナーなラスト。全体的にバランスのとれたフォルムですが、足先にボリューム感を持たせています。歩行時の安定感と高いフィット性が得られることからタンカーブーツに起用されることが多いラストです。
オールデンチャッカブーツの魅力
オールデンが手掛ける紳士靴のなかでも、ファッション性が高く着回しがしやすいチャッカブーツ。チャッカブーツは、馬に乗った競技者がスティックで木製のボールを打ち合い、相手のゴールに入れて得点を争う「ポロ」という伝統的な民族競技の選手が試合後に履いていたブーツが起源となっているといわれています。
アーティスティックな経年変化
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オールデンのチャッカブーツのなかでもシェルコードバンを採用しているモデルは、履けば履くほど大胆な履きジワを楽しめます。持ち主の歩き方、使用頻度、手入れ次第ででき履きジワは、世界に一足だけのチャッカブーツになります。さらに磨く度に輝きを魅せるコードバンは、やがて味わい深くなり、よりエレガンスなブーツへと増していくでしょう。コードバンのような深い革の質感を楽しめるのは、オールデンのチャッカブーツが愛される大きな秘密といってもいいかもしれません。
プライベートでも履ける着回しデザイン
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スポーツが起源となっているチャッカブーツはカジュアルな装いにぴったりハマりますが、オールデンのモデルはフォーマルにもなり得る一級品です。一般的に着脱しやすいチャッカブーツはフォーマルなスタイルにはNGとされています。
しかし、オールデンはチャッカブーツのカジュアルさをラグジュアリーな印象に変えてしまうほど、深みのあるデザインです。細身のジーンズやチノパン、綺麗目なファッションにも馴染むため、セミフォーマルなコーディネートにも活躍するでしょう。
疲れにくい設計
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オールデンが採用しているコードバンを使ったチャッカブーツは、一度履くと他の革靴は履けなくなるほどの快適な履き心地が体感できます。その理由はトラディショナルで上質な革を起用しているだけではなく、オールデンの目指す「足にやさしい靴づくり」にありました。
元々、オールデンは足に問題を抱えた人でも快適に履ける矯正シューズも手掛けています。特に医療用矯正靴を元に作られた「モディファイドラスト」の履き心地は独特で、長時間歩いても疲れにくいと評判を集めています。
オールデンチャッカブーツの名モデル
伝統的な革靴ブランドとして最前線を走り続けるオールデンですが、現在アメリカ本国で展開されているモデルは多くありません。そのなかでも名モデルと称されるオールデンのチャッカブーツを紹介します。
1247
オールデンの名ラスト「バリーラスト」を採用した1247は、オールデンでお馴染みのホーウィン社が手掛けるブラッククロムエクセルレザーを採用したチャッカブーツです。牛脂、蜜蝋、植物性脂、魚脂など4種類以上の油脂をブレンドしたオイルを皮革にたっぷりと染みこませブラッククロムエクセルレザーを仕立てます。ウエルトとシューレースにブラウンを取り入れ、カジュアルなエッセンスを盛り込んだ一足です。
1272S
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南アフリカに生息する、鹿のようなツノを持った動物の皮を用いたオールデンのチャッカブーツ「1272S」。ほとんどが野生のため、採取した皮にはシワや傷が無数にあり、ナチュラルな状態の皮を味わえる希少価値の高い素材です。クロムエクセルレザーよりもオイルの配合量が多いため、しっとりしており全体的に重厚感をプラスしてくれます。
1352
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オールデンのチャッカブーツのなかでも名モデルとして知られている「1352」は、バリーラストとウィスキーコードバンを採用。コードバン特有の光沢にエイジングを重ね、ウィスキーのような色合いになることから「ウィスキーコードバン」と呼ばれています。ウィスキーコードバンは製造難易度が高いため、2015年には供給がストップしました。現在ではほとんど出回っておらず、かなり希少価値の高い素材で、日本ではほぼ入手困難といわれているオールデンの名作です。
1339
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オールデンの定番木型「バリーラスト」をベースに作られた1339は、ダークワインカラーでもあるダークバーガンディシェルコードバンを用いたチャッカブーツです。ダークバーガンディとは、もともとフランスのブルゴーニュ地方で生産されるワインの色を英語読みにしたことが由来とされています。名前の通りパープルのような鮮やかなブラウンが印象的です。
最高峰のチャッカブーツを手に入れるならオールデンで
世界のなかでも最高峰といわれる老舗革靴ブランド「オールデン」。ビジネスシューズをはじめフォーマルなイメージが強いですが、程よく大人かっこいいを作り上げてくれるチャッカブーツは、一足持っていたいモデルです。
他のブランドにはないオールデンのエレガンスな佇まいが、カジュアルな装いもバランスよくまとめてくれるでしょう。