国内生産にこだわり続けるアレンエドモンズ。大統領が愛した名モデルも紹介
Aventure編集部
アメリカが誇る国内生産を手掛けるブランドは現在、オールデンとアレンエドモンズの2社しかありません。経営難に陥るもアレンエドモンズは国内生産にこだわり靴を制作。その歴史は100年により紡がれています。本記事ではMade in USAを守り続けるアレンエドモンズの魅力に迫ってみました。
アメリカが誇るアレンエドモンズとは
アメリカントラッドの精神を長年受け継ぐアレンエドモンズ。アメリカ大統領をはじめ、多くの著名人が特別なシーンで履くなど米国のなかでも企業規模は大きく、数少ないMade in USAを守り抜くブランドです。アメリカを超え、世界中の人に合いやすい革靴として多くのユーザーに愛されています。
創業
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1922年アメリカ・ウィスコンシン州のベルギー町で創業したアレンエドモンズ。靴職人のアレン・エドモンズ氏が小さな工房を開き歴史がスタートしました。「世界で一番豪華で履き心地の良い手作りシューズを作りたい」そんな夢を胸に掲げていたエドモンズ氏。彼が手掛ける革靴は、創業以来、釘のシャンクなど一切釘を使わずに製造を続けてきました。釘を使わないことで歩行時の足首の屈曲に合わせやすく、高い履き心地を得られることから、多くの男性に支持されました。
豊富なサイズ展開とフレキシブルに曲がる履き心地が評価され、まるでオーダーメイドシューズのようだと評価されたのです。現在は750人にものぼる熟練職人が5つの工場に分けられており、212の工程を経て一足一足丁寧にアレンエドモンズのブランドを守り続けています。
数少ないMadeinUSA
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現在、アメリカ国内では98%以上の靴製品が海外で輸入生産されていまが、アレンエドモンズは、数少ない国内生産を行っている企業です。
1990年代、アメリカの革靴業界全体が経営難に陥ります。そこで多くの企業はアメリカ国内の製造を中止しイタリアやイギリスなど、革靴の製造販売が盛んに行われた地へ工場を移転したのです。
多くのアメリカ企業がヨーロッパに生産拠点を移すなか、アレンエドモンズの元会長兼オーナーでもあるジョン・ストレンヴェルク氏は、アメリカ国内での製造を継続するという表明をしました。そして2003年100万ドルを工場の改修費用として投資。さらに靴の組み立てラインをチーム化することで、業務の効率化を測りました。経営難という苦難と向き合いつつもMade in USAにこだわり続けたことで、現在、国内生産を行っているブランドは、老舗革靴ブランド・オールデンとアレンエドモンズの2社しかありません。
事業規模ではオールデンを抜きアメリカ国内でもトップを誇ります。
歴代のアメリカ大統領も愛用
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第二次世界大戦後、アメリカの勝利を支えた革靴としてロナルド・レーガン、ジョン・F・ケネディ、ジョージ・ブッシュ、ビル・クリントンなど、多くの大統領がアレンエドモンズに足を通します。
Made in USAを貫くアレンエドモンズは、歴代の大統領が着用してきたアイテムとしても話題なり世界でも有名なエピソードです。次第にアレンエドモンズの革靴はホワイトハウスの初登頂や、大統領就任演説時に履くことが習わしになっていました。
オバマ大統領が履かないことで話題に
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歴代の大統領が着用していたアレンエドモンズ。しかし第44代アメリカ大統領、バラク・オバマ氏は大統領就任式時に、アレンエドモンズの革靴を着用しませんでした。彼が履いていたのは、Made in USAでもないコールハンの革靴だったのです。さらにオバマ氏がアレンエドモンズの革靴を履いていないことを発見したのは、アレンエドモンズの役員、ポール・グランガード氏でした。
今までにない出来事にアレンエドモンズはホワイトハウスに手紙を送ったといわれています。当時、オバマ氏がアレンエドモンズの革靴を履かなかったことはアメリカ国内でニュースになったほどです。さらに国境を超えてオバマ氏がアレンエドモンズの革靴を履かなかったニュースは世界へ発信されました。
しかし、この出来事をきっかけにさらにアレンエドモンズは認知度を高めます。オバマ氏は、大統領就任式では着用しなかったものの、その後アレンエドモンズの靴を着用。2009年にはトレーディングポストとアレン・エドモンズのダブルネームで、オバマ氏にオマージュを捧げたトリビュートモデルも発表されています。
アレンエドモンズの魅力
創業から100年余りの歴史を刻み続けるアレンエドモンズは、なぜ歴代のアメリカ大統領に語り継がれるほど人気があるのでしょうか?それは、アレンエドモンズの母国への愛と変化する時代のなかでこだわり続ける製法にありました。
変わり続けることのない製法
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アレンエドモンズでは、高級革靴の製造に用いられるグッドイヤーウェルト製法を採用しています。アッパーにリブといわれる連結パーツを縫い付け、さらにリブとソールを縫合するグッドイヤーウェルト製法は長く履き続けられる伝統的な手法です。しかし、グッドイヤーウェルト製法は非常に複雑で手間がかかります。
さらにアレンエドモンズは360°グットイヤーウェルト製法といって、アッパー以外にも靴全面の360°がグッドイヤーウェルト製法で作られているため、長時間歩いても疲れにくくなっているのです。さらに、品質の低下によるリスクを軽減するためコストがかかりつつも、変わらず国内生産を貫き通しています。
コルクを詰めて馴染みやすく
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360°のグットイヤー製法に加え、アレンエドモンズの快適な履き心地を生み出しているのは釘を使わない製法にありました。通常、土踏まずを支えるために硬い鉄の芯「シャンク」を用いるのが一般的ですが、アレンエドモンズの革靴は、シャンクを仕様する代わりに靴底の全面にコルクを採用しています。コルクから生まれる自然な反発が足に馴染みやすく軽快な履き心地が体感できます。
圧倒的なサイズの豊富さ
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さらにアレンエドモンズはラストの豊富なバリエーションも人気の一つ。さまざまな足の形の顧客に対応するため、足の長さだけではなくワイズもAAAA~EEEといったラインナップを展開しています。どんな足形にも順応するため、アメリカ以外のユーザーも取り込んでいます。圧倒的なサイズの多さが、世界的に成功を収めたといってもいいかもしれません。
アレンエドモンズの人気モデル
100年以上語り継がれる伝統的な独自製法を詰め込んだアレンエドモンズの革靴。革靴フリークだけではなく、日々革靴を履くビジネスマンなら一度は体感したいブランドではないでしょうか?
そこでアレンエドモンズの人気モデルをまとめてみました。
パーク・アベニュー
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アレンエドモンズの王道中の王道ともいわれる「パーク・アベニュー」。冠婚葬祭にも使用できる内羽根ストレートチップのオーソドックスタイプで、アレンエドモンズの名作ラスト#65をベースに制作されています。ボリュームのあるシルエットでありつつもウェストは低く絞られているため快適な履き心地を体感できます。
シェルコードバン仕様とカスタムカーフ仕様の2種類展開されているラインナップも、注目したい点です。アレンエドモンズのオリジナル素材でもあるカスタムカーフは、一般的な革靴よりも油分を多く含んでおり、独特のツヤが印象的。撥水性に優れているため、雨はもちろん汚れにくいという特徴があります。
多少の雨でも履ける実用性の高さと、忠実で立体的な設計が、多くの人に支持されています。
マックニール2.0
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丸みのあるラウンドトゥがありつつ無骨なディテールを詰め込んだマックニール2.0は、渋みのあるグレインレザーを採用しています。精巧な切り返し部分にステッチ技術を施したウィングチップでバランスを取り、アメリカントラッドらしい佇まいを演出。デニムなどのカジュアルな装いもスマートにまとめてくれます。
アレンエドモンズの王道でもある「パーク・アベニュー」と肩を並べるほど人気のモデルです。
ケンウッド
アッパー(甲革)部分に穴の空いたベルトが付いている革靴、ペニーローファーの一種でもあるビーフロールローファーの代表、ケンウッド。ローファーのなかでもカジュアルな雰囲気を持つビーフロールローファーは、アメリカの王道のシューズの一つです。
緻密にあしらわれたギザギザのピンキングは、他のブランドでは再現できない技術の高さを感じます。ヒール部分で踏み押さえてぬぐ「キックバック」が搭載されているのも注目したい点。従来の「ローファー=怠けもの」という意味合いを覆すディテールは、アレンエドモンズならではのギミックです。
ダブルモンクストラップ「MORA2.0」
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2本のストラップでホールドするダブルモンクストラップをベースとした「MORA2.0」。#108のラストを採用し、ほっそりとしたラウンドトゥで絶妙な曲線美を描く一足です。
さらに甲を覆う大きな革を留めるバックルは八の字気味に開き、今までにないダブルモンクモデルを作り上げました。機能的でエレガントな「MORA2.0」は、ビジネス、カジュアルにも使える革靴です。
ニューオリオンズ
アレンエドモンズが展開する革靴のなかでも、目を惹くデザインが印象的なニューオリオンズは、個性的な仕上がりを感じる一足。熟練職人による甲の編み込みが施されたアッパーは、技術力の高さが感じられます。フォーマルな装いよりもジャケットスタイルなどオフの日のコーディネートに活躍するモデルです。
コードバンチャッカブーツ
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Made in USAのなかでも、希少価値の高いホーウィン社が手掛けるコードバンを使用した、アレンエドモンズのチャッカブーツ。コードバンとは馬のお尻のことを指し、上品で輝かしい光沢が出るのが特徴で、履けば履くほど独特な輝きが得られます。履きこむことで深みが増し、さらに足への馴染みも感じるため、革靴を育てる楽しみを感じたいならおすすめの一足です。
一足は持っていたいMadeinUSA
さまざまな苦難を乗り越えつつもMade in USAにこだわり続けたアレンエドモンズは、今ではアメリカの数少ない国内生産社として母国の技術を守り抜いています。長年語り継がれる職人技術を守り、なおかつ変わらない製法が落とし込まれたアレンエドモンズの技術を体感してみるのもいいかもしれません。ぜひこの機会にアレンエドモンズのシューズをチェックしてみてください。