フォーマルだけじゃない。130年の歴史が生み出す名作オールデンストレートチップの魅力
Aventure編集部
130年以上の歴史を持つアメリカントラッドの代名詞「オールデン」。チャッカブーツやプレーントゥが定番とされるなか、ストレートチップは魅力を秘めた存在です。オールデンのストレートチップはフォーマルシーンだけではなく、カジュアルにも登場させたい一級品。本記事ではオールデンストレートチップの魅力に迫ります。
アメリカで語り継がれるオールデンとは
1世紀以上の歴史を刻み続けた革靴の名ブランド「オールデン」。経営権になりつつもメイド・イン・USAを貫き通し、多くの紳士を虜にしてきました。オールデンの靴に一度足を踏み入れると他メーカーの靴は履けなくなってしまうといわれる、ハイクラスの老舗革靴ブランドです。
創業
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アメリカ・マサチューセッツ州のミドルボロウにてオールデンの歴史はスタートしました。1884年、創業者のチャールズ・H・オールデン(Charles H.Alden)は、カスタムメイドブーツの受注生産を開始。1893年、同州のースアビントンに工場を移転し事業を拡大します。その後1931年に創業者のオールデン氏は退きます。
事業を継いだのはオールデン氏とともにパートナーとして歩んできたターロウ・ファミリー(Tarlow Family)でした。経営権をターロウ・ファミリー(Tarlow Family)に移行し、今日に至るまで靴職人一族としてオールデンを守り抜いてきたのです。経営権の移行とともに工場は、ースアビントンからブロックトン・シティーへと移転します。その後オールデンの生まれた地でもあるミドルボロウに最新設備を搭載させ、1970年に新たな工場を建設しました。オールデンが注目される大きなきっかけになったのは第二次世界大戦後に活躍していた有名俳優からの依頼でした。そこで生まれたのがタッセル調のローファーです。ヴィンテージライクなタッセルローファーは、ハリウッド俳優だけではなく多くの人を魅了しました。クラシカルでモダンなデザインに、オールデンの独自技術を融合させた革靴は国境を超えて世界中に広まったのです。根強いファンが定着し、あれだけ革靴工場があったミドルボロウも、今となってはオールデンの工場しか存在しません。
医療用矯正靴を製造
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オールデンが人気を集めているもう一つの理由は、履き心地の良さにあります。革靴制作に欠かせないラスト(木型)は、多くのメーカーがさまざま種類を生み出していますが、オールデンは圧倒的にバリエーションが豊富。そのなかでも注目したいのがモディファイドラストという木型です。O脚やX脚をはじめとする足に抱えた問題を改善するという目的で生み出され、独自の矯正サポート技術を搭載しています。履き口は程よく傾斜がついており、ウエストが絞り込まれ土踏まずが吸いつくような履き心地が得られます。しっかりとホールドしつつもつま先に開放感をもたせることで、オールデン独自のゆとりのある革靴に仕上がるのです。
広い足型
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長期間ともに過ごす革靴だからこそ、自分の足にぴったり合う一足を見つけたいもの。しかし、好みのブランドのラストが合わないなんてことも革靴購入時には、よくあります。そんなユーザーの悩みを解消したのもオールデンでした。さまざまな形の足に合うようにオールデンの現行品では約12種類のラストが採用。過去の製品も含めるとその数は、約20種類に昇るといわれています。あらゆる足型を網羅したラストも、オールデンが長年愛される秘密かもしれません。
革のダイヤモンド「コードバン」
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オールデンといえば「コードバン」も忘れてならない魅力の一つ。農耕用の馬のお尻から採取したコードバンは、希少価値が高く僅かな量しか入手することができません。その独特な光沢から生まれる美しさは「革のダイヤモンド」と呼ばれるほどです。さらにオールデン社が採用するアメリカ・ホーウィン社のコードバンは、底光りする輝きに独特の質感。ワックスでは到底再現できない真の光沢を宿しています。
ストレートチップの魅力
一直線に結ばれたラインが特徴的で、日本では「一文字」という名称で親しまれているストレートチップ。誠実な革靴の表情が生まれることから冠婚葬祭や式典などをはじめ、ビジネスシーンにもマッチングする革靴のデザインです。格式の高い雰囲気を纏っていることからストレートチップは、フォーマルな靴として印象付けられていますが、デザインによっては、実はカジュアルな装いとも相性が良い靴なのです。
シワがつきにくい
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履きジワがつきにくい特徴から、ストレートチップが冠婚葬祭向けといわれています。一文字の縫い目があることから、それより前に履きジワはつきにくいため美しさが保たれるのです。綺麗な革靴の状態を維持したい方におすすめといえるでしょう。
カジュアルシーンにも活躍
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フォーマルな印象が強いストレートチップですが、なかにはカジュアルなシーンでも合わせやすいデザインも存在します。靴紐を通す穴がある羽根が内側にある内羽根式は、英国王室の宮廷革靴に長く採用されてきた歴史があるためビジネスシーンや冠婚葬祭向けのデザインです。しかし外羽根式のストレートチップなら、1815年に起きたワーテルローの戦いで採用された「軍靴のデザイン」が起源とされているため、カジュアルな装いにも合わせやすいデティールとして親しまれています。
選び方
ストレートチップといっても、ブランドの特徴や種類によって魅せる表情は変わります。もちろん全体の雰囲気も大きく変わるでしょう。そこでここではストレートチップの選び方を紹介します。
ラウンドトゥ
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丸みのあるつま先が目を惹く「ラウンドトゥ」は、カーブが強ければ強いほどカジュアルな印象を与えるデザインです。つま先がラウンド型になっているため、つま先に余裕があり歩行時の圧迫感も軽減されます。
ラウンドトゥメダリオン
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つま先にパンチングというモチーフデザインがあしらわれたメダリオン。ラウンドトゥと組み合わせることで、よりカジュアルでラフな雰囲気をプラスします。各ブランドによってメダリオンの穴の数やデザインが異なるため、好みのデザインを探す楽しみも醍醐味といえるでしょう。
スクエアトゥ
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その名の通りつま先が四角い形状が印象的なスクエアトゥは、全体的にドレッシーな雰囲気を纏います。個性をだしつつ大人カッコイイにカジュアルを足せるため、通勤やプライベートでも活躍するシルエットです。
スクエアトゥメダリオン
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スクエアトゥにメダリオンが入ったデザイン。より、個性が強くなる印象を与えるため、デザインの変化や人と違ったストレートチップが欲しい方向けといえるでしょう。硬くなりすぎないビジネスシーンなどでも十分に活躍します。
オールデンストレートチップの人気モデル
革靴といったら誰しもが一度は憧れる名門「オールデン」。特にストレートチップは、男性にとって欠かせないデザインで一足は必ず持っておきたい革靴です。オールデンの革靴は、最高級素材「コードバン」を使用したものをはじめ、さまざまなラストも注目したいところ。一足ごとに纏う雰囲気が異なり、シーンによって使い分けもできます。そんな男性の憧れ、オールデンストレートチップの人気モデルを紹介します。
M8805HY
ブーツをベースとしたオールデンストレートチップデザインの革靴。素朴で上品なアッパーの艶を生み出しているのは、ホーウィン社のコードバンです。使い込むことで独特のしっとりとした味わいが得られるため長い期間愛せる一足になります。
足型は、オールデンのなかでも人気の高いバリーラストを採用しています。土踏まずが緩やかな設計になっているバリーラストは、日本人の足に馴染みやすく、日本では高い人気を誇ります。ドレッシーな印象を持つストレートチップに、カジュアルさをプラスしたブーツタイプは、さまざまなスタイルに合わせやすい、万能ブーツと呼んでもいいかもしれません。
907 STRAIGHT TIP BAL OXFORD
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内羽根式のアメリカントラッドを感じさせるオールデンストレートチップ907は、キメの細やかなアッパーが印象的です。さらに生後6ヶ月程度の仔牛の革「カーフスキン」を採用。カーフスキンは薄手で繊維構造が細かく、革の表面が滑らかな素材です。仔牛からしか採取することができないため、大変、希少価値が高い牛革として知られています。ラストには緩やかにラウンドしているハンプトンラストを使用。ノーズが短めでクラシックな印象があり、オン・オフともに取り入れやすいデザインといえるでしょう。
971 STRAIGHT TIP BLUCHER OXFORD
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オールデンが手掛ける革靴のなかでも、細身の木型「アバディーラスト」を採用した971。シンプルな内羽根式のストレートチップというフォーマルなデティールを持ちつつも、さらにスリムな足先は、よりドレッシーな雰囲気をプラスしてくれる一足といえるでしょう。また、素材には滑らかな触り心地が体感できるカーフスキンを採用。キメの細かい上質なカーフスキンとアバディーラストにより、高級感のあるラグジュアリーな一足に仕上がっています。
905 バーガンディー
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モダンで深みのある味わいを生み出しているバーガンディーの905の革靴は、ハンプトンラストを組み合わせたカジュアルシーンにも取り入れやすいデザインです。内羽根式でありつつも細かく施された一文字の縫い目は、オールデンならではのディテールといえるでしょう。そしてどこか品格のある存在感を保ってくれる素材感。細かいキメと滑らかさを持つカーフスキンレザーを採用し、履けば履くほど芸術的なヴィンテージシューズに仕上がります。アッパーにリブといわれる連結パーツを縫い付け、さらにリブとソールを縫合するオールデン自慢のグッドイヤーウェルト製法を搭載し、ソールが劣化しても履き続けられる革靴です。
558 Modified Cap Toe Blucher Black Calfskin
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オールデンが誇るモディファイドラストを採用した558。トゥは幅広く設計されており、土踏まずを大きく絞っています。医療用の矯正靴として長年オールデン社が研究を重ねて開発しただけあって、有無を言わせない履き心地を体感できるでしょう。上品なストレートチップにシングルレザーソールがマッチし、全体をスマートにまとめるためビジネスシーンはもちろん、プライベートでも活躍する革靴です。
オフの日も活躍するオールデンストレートチップ
フォーマルかつビジネスライクの印象が強いストレートチップ。しかし、デザインをはじめオールデンのように施されたディテールにより、プライベートでも履ける一足に仕上がっている革靴もあります。「履きやすく育てたい」オールデンのストレートチップは、そんな男性陣の心の奥底にある欲をかきたてる革靴といってもいいかもしれません。