ロータリーミキサーの代表「E&S DJR400」の基本情報と魅力
Aventure編集部
ミキサー自体はさまざまな種類がありますが、その中でもロータリーミキサーの代表的な存在として「E&S DJR400」が挙げられます。この記事では、「E&S DJR400」の基本情報や特徴などを紹介します。ミキサーの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
E&S DJR400を知る前に
ミキサーを始めて購入する方の場合、「E&S DJR400」よりもロータリーミキサーが何なのかわからないかもしれません。そのことを踏まえて、「E&S DJR400」を紹介する前にロータリーミキサーの基本情報を見ていきましょう。
ロータリーミキサーとは?
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ロータリーミキサーとは、ツマミを使って音を操作するタイプのミキサーです。現在一般的に利用されているリニアフェーダー式のミキサーは、フェーダーを調整して音を操作します。一方のロータリーミキサーは、ツマミを操作して音を調整していくというものです。
ロータリーミキサーは、ディスコミュージックが流行していた時代に誕生しました。時代や流行の流れと共にリニアフェーダー式のミキサーが一般的となりましたが、ロータリーミキサーが廃れたわけではありません。現在でも利用されており、カルト的な人気と捉えられる場合もあります。
ロータリーミキサーが人気である理由
ロータリーミキサーが人気である理由は、個性的な部分と文化的な部分の2つにわかれます。
個性的な部分としては、各ミキサーによって音の個性があることです。ロータリーミキサーは内部のパーツにこだわって作られており、メーカーによっても特徴が異なります。そのため、自分に合うロータリーミキサーを選べるという楽しさがあります。
もう1つの文化的な部分とは、ロータリーミキサーがDJカルチャーの黎明期に使われていたことが挙げられます。ロータリーミキサーは、ディスコミュージックが流行していた時代に誕生したものです。Paradise Garageといった有名なクラブで使用されてきた歴史もあり、ダンスミュージックの伝統を重んじる人々から今なお愛されています。
ロータリーミキサーにぴったりな音楽
ロータリーミキサーを使うのであれば、ハウスミュージックやテクノミュージックなどがおすすめです。基本的にロータリーミキサーは「4つ打ち」と呼ばれる、等間隔でバスドラムを「ドンドンドンドン」と鳴らす音楽に適しています。ハウスミュージックやテクノミュージックでは、「4つ打ち」がよく使われていることもあり、ロータリーミキサーにぴったりです。
ただ、上記で挙げたジャンル以外にもロータリーミキサーは活用できます。近年ではクロスフェーダーが備わったものやUSB接続ができるものなど、さまざまな種類が登場しています。そのため、ハウスミュージックやテクノミュージック以外のジャンルでも活用できる存在です。
E&S DJR400の基本情報
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ロータリーミキサーの基本情報を把握した上で、「E&S DJR400」がどのような機材なのか見ていきましょう。どのような歴史や魅力を持つものなのでしょうか。
パリで生まれたハンドメイドの人気ミキサー
「E&S DJR400」は、フランスの首都であるパリで生まれたロータリーミキサーです。ハンドメイドで制作されており、世界的な知名度を誇るものの、年間100台ほどーしか制作されていません。
「E&S DJR400」はコンパクトなロータリーミキサーであり、新たなロータリーミキサーブームのきっかけにもなりました。現在でも人気が高く、ロータリーミキサーの代表的な存在として世界中で愛用されています。
DJR400が誕生したきっかけ
「E&S DJR400」が誕生したきっかけには、DJ DEEPというフランスのハウスミュージックシーンを代表する人物の影響があります。DJ DEEPは当時持っていたミキサーを修理してもらうために、「E&S DJR400」の開発会社を立ち上げたジェローム・バーブに依頼しました。
その後、DJ DEEPとジェローム・バーブの間で新しいアイデアが誕生。試作品を作っていく中で、「E&S DJR400」が生まれました。「E&S DJR400」が誕生したのはロータリーミキサーの流行が終焉しかけていた2000年代であり、「E&S DJR400」によって新しいロータリーミキサーの時代が開かれました。
E&S DJR400の主な機能
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「E&S DJR400」は4チャンネル仕様で、3バンド・アイソレーターが備わっています。チャンネルごとにローとハイのEQが備わっていることから、各チャンネルによる調整が可能です。
その上、センドリターンが備わっている「E&S DJR400FX」というモデルもあります。センドリターンがあることにより、好きなエフェクターをつないで楽しめます。
操作性に関してはスムーズであり、アイソレーターの効きも問題ありません。なお、アイソレーターに関しては別の項目で紹介しています。
E&S DJR400における音の特徴
「E&S DJR400」は柔らかい音色が特徴で、長時間聞いても苦にならないでしょう。これは豊かなローと落ち着いたハイの影響であり、EQにも強烈なクセがないことからどんなジャンルの音楽にも扱いやすい存在です。
持ち運びが楽なところも魅力
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「E&S DJR400」の魅力は機能や音だけではありません。持ち運びしやすいところも魅力的なポイントです。
「E&S DJR400」はコンパクトなロータリーミキサーであり、重くない製品です。人によっては、中身が入っていないと思うほど軽いと思うかもしれません。それほど重量感が少ない製品であることから、持ち運びしたいときにも活用できます。
DJR400の特徴「アイソレーター」とは
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上記で挙げたように、「E&S DJR400」はアイソレーターが備わっています。アイソレーターを簡単に説明すると強力なイコライザーであり、全てのツマミを絞ってしまうと音が完全に無くなります。
アイソレーターを使う際の注意点
アイソレーターというは強力であるがゆえに、きちんと操作する必要があります。プレイヤーの腕がどのくらいのものなのかバレてしまうほど目立ちやすいものであることから、ここぞというところで活用するようにしましょう。
アイソレーターを操作する際には、「音楽にさらなる魅力を追加する」という足し算的な考えではなく、「今の音楽に必要ないものを取り除く」という引き算的な考えで操作することがコツです。EQの操作にも当てはまることですが、引き算的な考えで操作することにより、雰囲気を悪くさせることなく、音を操作できるようになります。
DJR400のアイソレーターが他のミキサーに与えた影響
「E&S DJR400」の特徴でもあったアイソレーターは、その後登場したロータリーミキサーに影響を及ぼしました。実際に「Rane」や「Condesa」といったメーカーが、アイソレーターを内蔵した卓上のミキサーを販売しました。
例として、「Condesa」の「Carmen V」という製品はアイソレーターをオンオフできる機能が備わっており、オンにすると迫力が増します。
E&S DJR400を入手する方法
ここまで読んだ方の中には、「E&S DJR400」を入手したい方と思った方もいるかもしれません。もしそうであれば、以下の方法を使ってみましょう。
ネットショップ
基本的に「E&S DJR400」はネットショップで購入できます。ただし、もともとの生産台数が少ないことから、場合によっては在庫待ちとして1〜2ヶ月ほどかかる場合もあります。また、金額も高価なものであるため、なんとなくで買うのではなく自分で納得した上で購入するようにしましょう。
レンタルして試すのもおすすめ
もし一旦利用した上で購入したいのであれば、レンタルしてみましょう。実際に触ってみることで、操作性や音などを確かめられます。ネットショップだと実際に触れることができないため、まずはレンタルして実際に操作し、その上で購入するかどうか考えると良いでしょう。
ロータリーミキサーは、実際に触らないと気づけない部分もあります。例えば、トリッキーなプレイを好む人の場合、ロータリーミキサーだと操作が厳しいと思うでしょう。一方、プレイよりも音質にこだわる方にとっては、ロータリーミキサーがぴったりだと思うはずです。
新たな時代を切り開いたロータリーミキサー「E&S DJR400」
「E&S DJR400」はロータリーミキサーの新たな時代を切り開いたものであり、現在でも世界各国で利用されています。日本でも入手できるため、ミキサーを探している方は「E&S DJR400」を利用してロータリーミキサーの音色に魅了されてみてはいかがでしょうか。