定番だった人気カートリッジ「SHURE M44G」の魅力と歴史
Aventure編集部
SHUREのM44Gは生産が終了してしまった製品ですが、今なおユーザーからの人気が高く、需要が高まっています。そこまで人気のM44Gとは一体どのようなものなのでしょうか。そこでこの記事では、M44Gの魅力や歴史、生産終了してしまった理由などを紹介します。この記事を読むことで、あなたもSHURE M44Gが欲しくなるかもしれません。
SHURE M44Gの歴史
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SHUREから発売されていたM44Gは、丈夫な上に手に入れやすい価格であったことから多くのオーディオファンに広く愛用されたカートリッジです。現在ではDJ用としても定番となっているM44Gが、どのような歴史を辿ってきたのか紹介していきます。
SHURE M44Gは1963年に登場
SHUREのM44Gは1963年に登場し、50年以上に渡って販売された歴史のあるカートリッジです。オーディオのリスニング用として発売され、世界中のオーディオファンに愛用されていました。
1980年代に入ると、同時期にSHUREから発売されていたM44-7というカートリッジがアメリカのDJたちの間で注目を集めます。M44-7はM44Gとほぼ同じ仕様で、出力電圧が若干大きいことが特徴です。スクラッチを始めとするDJたちのタフなプレイに耐える耐久性やコストパフォーマンスにも優れたため、DJ用カートリッジとして浸透しました。こうした経緯でSHUREのM44シリーズはDJ用としても定番となりましたが、日本ではM44Gが好んで使用されることが多かったようです。
SHURE M44Gが生産終了した理由
M44Gが生産終了した理由は、次第にユーザーの声に応えられなくなってきたことが挙げられます。人気の高い商品であったものの、M44Gを含むフォノグラフカートリッジ製造部門では、段々と会社の厳しい基準を維持することが難しくなりました。その上、基準が難しくなったことによる影響でコストや納入などの点からユーザーの声にも応えられなくなりました。
また、マーケットサイズが小さくなったことも挙げられます。現在ではスマホで音楽を聞けるようになり、レコードを利用する人が減ってきました。そのため、以前よりもM44Gの需要が減ったとも考えられるでしょう。
最終的に製造会社であるSHUREは、2018年の夏にM44Gを含めたフォノグラフカートリッジの生産終了を決断。公式サイトでは2018年5月1日に発表しました。
SHURE M44Gの代わりになるもの
M44Gはやむを得ない理由で生産終了してしまいましたが、針部分の交換なら代替品が存在します。それが、JICOの192-44Gです。
JICOは国内企業としての歴史が長く、安心して購入できるところも魅力といえるでしょう。価格もM44Gと同じく、1万円以下で購入できます。
SHURE M44Gの魅力
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M44Gの魅力は、丈夫さ、音質のよさ、手に入れやすい価格の3つが挙げられます。
それぞれ具体的にどのような魅力なのか、1つずつ見ていきましょう。
魅力1.丈夫さ
1つ目の魅力は丈夫であることです。M44Gは耐久性にも優れているカートリッジであり、丈夫であるという特徴を持っています。その背景として、熱処理されたアルミ製カンチレバーや0.7ミルの球形ダイヤモンド針の採用が挙げられます。
繊細な取り扱いが要求される高音質のカートリッジや針で聴く音楽は素晴らしいですが、その分慎重になってしまい、使用する機会が減ってしまうかもしれません。一方で、M44Gのように耐久性に優れたカートリッジであれば、普段遣いとして気軽に使用できるというところから、多くのオーディオファンの支持を集めたのでした。
1980年代以降はDJ用として浸透していることもM44Gの耐久性の高さを示していると言えるでしょう。
魅力2.音質
2つ目の魅力は音質です。M44Gの音質は低音が効いていることが特徴であり、ロックやジャズに向いていると考える方もいます。サウンドは立体的であり、迫力もあります。
魅力3.価格
3つ目の魅力は価格です。1万円以下で購入できたこともあり、予算が少ない方でも手が出せた存在でした。その上、価格が安いからこそ、初めてレコード針を購入する方にとっても購入しやすい存在でしょう。
M44Gを作っていたSHUREとは?
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ここまでM44Gの魅力や歴史を紹介しましたが、なかには製造していたメーカーがどのようなところなのか気になった方もいるのではないでしょうか。そこで最後の項目では、M44Gを作っていたSHUREについて紹介します。
1925年に創業されたアメリカの企業
SHUREは、1925年にシドニー・シュアによって創業されたThe Shure Radio Companyを源流とする、アメリカの音響機器企業です。現在では音響業界を代表するメーカーとなっており、さまざまな国でSHUREの製品が販売されています。なお、日本ではヒビノインターサウンド株式会社がSHUREの輸入代理店です。
マイクはアメリカ大統領も使用
SHUREでは、1939年に業界で初めての単一指向性マイクロホンであるモデル55を販売。アメリカ大統領の演説という大きな舞台でも活用され、1965年にはSHUREのマイクにおける看板製品のSM57を販売しました。
また、SM57と同じく代表的なものとしてSM58があります。こちらはライブパフォーマンスやスタジオレコーディングなどで使われるマイクで、音楽業界では業界基準と言えるマイクとなりました。
イヤホンは音楽プレーヤーの影響で爆発的普及
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SHUREのイヤホンは、2000年代におけるiPodといった音楽プレーヤーの登場で爆発的に普及しました。現在における主な製品としては、SE846やAONIC215などが挙げられます。
また、SHUREの場合はヘッドホンも販売。ヘッドホンの場合、AONIC40やSHR1840などがあります。イヤホンもヘッドホンもさまざまなシーンで活用できるものがそろっています。
まとめ
SHUREのM44Gは優れた耐久性や音質などが評価され、定番カートリッジと呼ばれるまでの人気となりました。しかし、会社の基準とユーザーの期待の板挟みになって生産が終了。現在では気軽に入手できないものとなっています。ただ、長年のユーザーの間で需要が高まっていることもあり、今なお人気の高いカートリッジであることに間違いないでしょう。