ラブレスナイフがナイフコレクターに愛されるワケを探る
Aventure編集部
ナイフの神様と呼ばれている「R.W.Loveless(ボブ・ラブレス)」が手掛けたナイフは、現在ではナイフコレクターに高額取引されているほどコレクターから愛されているナイフです。実用性だけでなく、優れたデザインを両立させ、所有欲を満たしてくれるラブレスナイフ。今回はコレクターでなくてもナイフに関心を持った人なら一度は憧れるラブレスナイフについて紹介します。
ナイフの神様と呼ばれたボブ・ラブレス
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ボブ・ラブレスがナイフを生み出すまで
「R.W.Loveless(ボブ・ラブレス)」は、本名をRobert Waldorf Loveless(ロバート・ウォルドーフ・ラブレス)といい、ナイフの歴史を作ったとも言われている、モダンカスタムナイフの創始者です。
彼は元々ナイフ職人であったわけではありません。 元船員であった1953年、緊急時にロープを切るなどの必需品であるナイフを探しており、当時アメリカで大人気だった「ランドールナイフ」を購入しに行きますが、あまりの人気の高さに予約制でなければ買えなかったことにショックを受けてしまいます。
そこでなんとラブレスは、自分でナイフを作ることを決心し、帰路にあった車の解体工場でナイフの材料となりそうなものを購入して帰ります。 その後、わずか3時間で1本の鋼材を研磨し、ナイフを完成させます。 これがのちのカスタムナイフ製造のスタンダードとなる「ストック&リムーバル製法」が生まれた瞬間でした。 ラブレスは、叩き上げでナイフを製作し、「ナイフの神様」と呼ばれるまでになりました。
そんな彼が求めていたのは、フィールドで実用使いされることでしたが、2010年に逝去してからラブレスが手掛けたナイフの価格が高騰しており、今は観賞用のコレクションとして取引されることが多いのも現実です。
ストック&リムーバル製法
ラブレスはそれまで鍛造(鉄の塊を熱して叩いて形作る製法)が主流であった製法から、ナイフの材料となる板材を研磨してナイフを形成するストック&リムーバル製法を生み出しました。
鍛造の知識や技術を持たない者でも製造できる画期的な製法で、現在ではこの製法はナイフ作りのスタンダードとなっています。 さらに、ラブレスが使用するのはステンレス鋼材なので、サビに強く扱いやすいのが特徴です。
フルテーパードタング構造
フルタング構造は、ブレードがハンドルの後ろまで貫通しているタイプのもので、バトニングなどのひねりや叩きの動きに対応できる強度があります。
ただし、このフルタング構造のナイフは重くて重心がハンドル側に偏ってしまうことがあり、カーボン素材のブレードだとサビやすいなど、難点もあります。 しかし、ラブレスはハンドルの後ろ部分のタングを薄く削り、強度と重量のバランスの取れた「フルテーパードタング構造」をも生み出し、ナイフ業界に革命をもたらしたといわれています。
ラブレスナイフの刻印
ラブレスナイフのブレードの刻印にはいくつか種類があり、女性のヌードが刻印された「ヌード」と呼ばれる刻印があります。
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中でも「ダブルヌード」と呼ばれる、ブレードの表面に女性の正面のヌード姿、背面に女性のヌードの後ろ姿が刻印されたものは特に希少価値が高く、コレクターの間でも人気です。
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ラグビー型といわれている刻印は、カスタムナイフメーカーでもこぞって同じような形の刻印がされるようになりました。
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日本人の弟子
ラブレスが認めた弟子は2人おり、一人はS.R.ジョンソン氏で、もう1人は相田義人氏でした。そのため、日本にもよく訪れていたとのこと。他にも、古川四郎氏やクザン小田氏がラブレスからの教えを受けています。
そして、ラブレスの2人目の妻は日本人だったことから、日本との繋がりも深いことが窺えます。
ラブレスナイフ
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「ナイフの神様」ラブレスは、デラウェアで3000本ほど、カルフォルニアに移ってからは5000〜6000本ものナイフを製作しました。
いいナイフがないならば作ってしまおう、と叩き上げで作り始めたナイフは、機能性とデザイン性をしっかり兼ね揃えており、一躍有名になりました。
ラブレスナイフのデザイン
ラブレスはデザインにも非常にこだわっており、機能性はもちろんのこと、同時に所有欲を満たせることが大事だと考えていました。
そのデザインは他のカスタムナイフメーカーがレプリカを製作するほどラブレスナイフのデザインは優れており、今でもカスタムナイフメーカーがラブレスデザインのナイフを作っています。
モデル紹介
ラブレスは様々なデザインのナイフを手掛けました。 今回はその中でも人気のモデルを紹介します。
シュートナイフ
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ドロップハンター
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セミスキナー
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スティッフホーン
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ファイター
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ランドール・セミスキナー
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希少価値の高いラブレスナイフでナイフ愛を満たす
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ナイフ製作の経験がないながらも、叩き上げで1本のステンレス鋼からナイフを作り出したラブレス。彼の生み出した技法は実に神がかっていました。そんなラブレスが作り出したナイフには物語があります。
惚れぼれするデザインに実用使いにも対応した機能性。そして現在では希少価値も高まり、所有欲をたっぷりと満たしてくれるラブレスナイフは、ナイフコレクターでなくても思わず手に取りたくなる珠玉の逸品です。