人気のハンドアックス「ハルタホース」と「ハスクバーナ」徹底比較
Aventure編集部
キャンプ中級者になると手に入れたくなるのがハンドアックス。薪割りはナイフでもできないことはありませんが、斧を使った方が圧倒的に効率的です。硬い節目が入った薪も楽々と割ることができます。ナイフのバトニングに限界を感じた人には絶好のアイテムです。
しかし、使い慣れないハンドアックスは何を基準にして選んだら良いか分からないもの。この記事では、使いやすく低価格な2大ブランド「ハルタホース」と「ハスクバーナ」の人気モデルを比較し、購入する際のポイントや特徴、ブランドによる違いを解説します
斧、鉈、ナイフの違い
道具には目的があり、使用する人の課題を解決するという使命を持っています。斧、鉈、ナイフはそれぞれ最適な使用目的があります。ハンドアックスを購入する前に、目的に沿っているかどうかを確認してください。
場合によってはモーラナイフのようなタフなナイフや、古くから日本人に親しまれてきた鉈の方が使いやすいことがあるかもしれません。
斧が活躍するシーン
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斧は重くて厚みのある刃物である点がポイントです。主に樹木の伐採や薪割りをするための道具です。力をかけて振り下ろし、硬い材料を叩き切るのに適しています。木材を割りやすいよう、刃が根元に向かって開いているのが特徴です。
破壊力:◎
携行性:△
軽量:×
鉈が活躍するシーン
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鉈は枝打ちの道具として使われます。ナイフよりも刃が頑丈にできているため、薪割りも可能です。ただし、重量がそれほどないため、重さを利用して叩き割ることには適していません。枝を細かく切ることには向いています。
破壊力:△
携行性:〇
軽量:〇
ナイフが活躍するシーン
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ナイフは肉やロープなどの柔らかいものを切る道具です。モーラナイフなど安価で強靭なナイフが登場したことにより、バトニングと呼ばれる薪割りにも使われるようになりました。しかし、ナイフは硬い材料を切ったり、割ることに適していないために刃こぼれなどの危険性があり、ナイフを使いこなす技術力が要求されます。
破壊力:×
携行性:◎
軽量:◎
重量のある斧は硬い木材を割ることができます。薪拾いが許可されているキャンプ場で薪割りをしたいと考えているのであれば、最適な道具となります。小回りが利きづらいため、ブッシュクラフトには向かないかもしれません。
いろいろな作業ができるマルチツールが欲しいのであれば、鉈の方が適していることもあります。
ハンドアックスの基本的な選び方
斧の特徴は大きく2つあります。重さと柄の長さです。重量があり、柄の長いものは大きな木を切るのに適しています。キャンプで使われるのは、片手で扱うことができる小型のハンドアックスです。ハチェットとも呼ばれています。
軽く、柄の短いものになればなるほど、力が失われると考えてください。重力と遠心力がかからなくなるためです。超小型のハンドアックスは見た目は美しいものの、性能はナイフと変わらないことがよくあります。
ハルタホースとは
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ハルタホース(Hultafors)は、1883年にスウェーデンで誕生した工具メーカーです。伝統あるブランドとして知られており、同じ斧メーカーであるフルツブルック社を傘下に収めています。そのため、ハルタホースの斧はスウェーデン鋼を使用し、フルツブルックの工場で生産されています。
ハルタホースの刃には「HB」の刻印があります。これはフルツブルックの工場で作られていることを証明しています。1600年代から続く工場で、熟練の職人の手によって作られています。伝統と歴史に裏打ちされた製品です。
ハルタホースの代表的なハンドアックス
ハルタホースの斧は種類が豊富ですが、キャンプに最適なハンドアックスは以下3つに絞られます。
・オールラウンド
・スカウト
・オーゲルファンミニハチェット
オールラウンド
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ベストセラーの「オールラウンド」です。その名の通り、使いやすくて携行性が高いオールラウンドでの使用が想定されています。キャンプ場での薪割り、枝打ち、木材の切断、ペグ打ちはもちろん、庭に生えたツルの切断や杭打ちにも活躍します。
ハルタホースの柄は強靭なヒッコリー素材を使っており、頑丈で経年劣化がしにくいという特徴があります。全長が50cmに設定されており、ハンドアックスにしてはやや長めです。力仕事に向いています。
【概要】
・材質 刃:スウェーデン鋼 柄:ヒッコリー
・サイズ 斧頭の長さ7.5cm 斧刃9cm 全長50cm
・重量 1,235g
スカウト
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全長38cmのハンドアックスと呼ぶに相応しい道具です。柄が緩やかにカーブしており、手になじんで仕事がしやすい設計になっています。
標準で革製シース(カバー)がついており、持ち運びに便利です。また、デザイン性も優れています。アックスホルスターを購入すれば腰に提げて運ぶことができます。その際もシースがついていれば安心です。
ハンドアックスをキャンプメインで使うという人には最適です。
【概要】
・材質 刃:スウェーデン鋼 柄:ヒッコリー
・サイズ 斧頭の長さ15cm 斧刃9cm 全長38cm
・重量 900g
オーゲルファンミニハチェット
ハルタホースで最も小型のモデルです。全長は24cmに抑えられています。
簡単な薪割りや枝打ちが想定される野営などで、ナイフよりもタフな使い方が多い人におすすめです。スカウトと同じくシースが標準装備されており、携行性の高さは抜群と言えるでしょう。
このサイズであれば、リュックなどのバッグの中に入れておくことができます。
【概要】
・材質 刃:スウェーデン鋼 柄:ヒッコリー
・サイズ 斧頭の長さ13.5cm 斧刃7.5cm 全長24cm
・重量 600g
ハスクバーナとは
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ハスクバーナはスウェーデンに本拠地を置く工業製品メーカーです。チェーンソーや芝刈り機、オートバイなど様々なものを製造・販売しています。もともとは王室に納める狩猟用の猟銃(マスケット銃)を製造するメーカーでした。
1800年代後半からオートバイの製造をはじめ、1900年中盤からチェーンソーなどの野外用具を多く手掛けるようになりました。近年では建設業界向けの解体ロボットも製造しています。工業製品としての品質の高さ、環境性能、コストパフォーマンスに優れた会社です。
ハルタホースが職人の生み出す粋な道具だとすると、ハスクバーナは質の安定した優秀な工業製品だと言えるでしょう。
ハスクバーナの代表的なハンドアックス
アウトドアで使いやすいハスクバーナのハンドアックスを3つ紹介します。使いやすさが重視された道具ばかりです。
・キャンプ用斧 38cm
・手斧 38cm
・ハイキングハチェット
キャンプ用斧 38cm
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全長が38cm、斧刃7.5cmのモデルです。ハルタホースのスカウトと全長は同じですが、こちらのモデルは斧刃が7.5cmに抑えられています。ヘッドを小さくすることにより、取り回しが良いハンドアックスに仕上がっています。
薪割りはもちろん、この大きさであればフェザースティックにも使えるでしょう。重さも700gであり、スカウトと比べて200g軽くなっています。
本革のシースが付属し、携行性も高いものに仕上がっています。ハンドメイドである点、柄がヒッコリーである点もハルタホースと同じです。
万能かつ持ち運びにも優れたハンドアックスだと言えます。
【概要】
・材質 刃:スウェーデン鋼 柄:ヒッコリー
・サイズ 斧頭の長さ13.5cm 斧刃7.5cm 全長38cm
・重量 700g
手斧 38cm
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キャンプ用斧との違いは、刃の大きさ。斧頭が15cm、斧刃が8cmとやや大きめに設計されている点です。オールラウンダーとして幅広い使い方が想定されているモデルです。
手斧38cmにもシースが付属しますが、キャンプ用斧のように全体を覆う仕様にはなっていません。刃の部分だけがカバーされます。持ち運びを考えると、キャンプ用斧の方が優れていると言えます。
斧刃はスカウトよりも1cm小さくなっています。取り回しの良さは手斧38cmの方が上です。ただし、重さは手斧38cmの方が重く、1キログラムあります。
キャンプのみならず、自宅でも使いたいという人に向いているハンドアックスです。
【概要】
・材質 刃:スウェーデン鋼 柄:ヒッコリー
・サイズ 斧頭の長さ15cm 斧刃8cm 全長38cm
・重量 1,000g
ハイキングハチェット
ハスクバーナの中で最も小型のハンドアックスです。ハルタホースのオーゲルファンミニハチェットと全長は同じですが、刃はハイキングハチェットの方が一回り小さくなっています。重さもハイキングハチェットの方が100g軽く、持ち運びしやすいモデルです。
極限まで小さく収まるハンドアックスを探しているのであれば、最適な道具です。
【概要】
・材質 刃:スウェーデン鋼 柄:ヒッコリー
・サイズ 斧頭の長さ12cm 斧刃7cm 全長24cm
・重量 600g
「スカウト」と「キャンプ用斧 38cm」の比較
キャンプに最適なハルタホースの「スカウト」とハスクバーナの「キャンプ用手斧38cm」。それぞれの違いに注目します。
デザイン性
デザインは主観的なものでもあるので、「気に入った方が勝ち」というところですが、良し悪しというよりも違いに着目して説明します。
スカウトとキャンプ用斧38cmの大きな違いが刃の色。スカウトはシルバーでキャンプ用斧はブラックです。刃物としての美しさが際立つシルバーか、無骨な斧らしいブラックかで選び方は変わってきます。
どちらも柄は木目が美しいヒッコリー材を使っています。使い込むうちに柄の色はダークチェリーへと変化します。その質感と刃の色味がどのようにマッチするか考えるのも良いでしょう。
シースはスカウトが刃先だけを覆うのに対し、キャンプ用斧38cmは全体を覆う設計になっています。シースだけを取り出すと、機能面ではキャンプ用斧に軍配が上がります。
長さ
全長はどちらも同じ38cmです。キャンプで使用するなら、どのブランドであってもこのサイズを選ぶのが良いでしょう。適度な破壊力を持ち、取り回しがしやすく、持ち運びしやすいサイズです。
ポイントは刃の大きさが違うことです。斧刃はスカウトが9cm、キャンプ用手斧が7.5cmです。わずか1.5cmですが、その違いは非常に大きいです。当然、スカウトの方が力をかけられます。破壊力はスカウトが上です。しかし、細かな作業をするのであれば、キャンプ用手斧の方が上です。
手の力や大きさでも違ってくるため、実際に手にするのが一番でしょう。
重さ
スカウトが900g、キャンプ用斧が700gです。200g異なります。リュックを背負って公共交通機関を使ったり、自転車でキャンプ場に向かうことが多ければ、軽いキャンプ用斧を選んだ方が良いでしょう。
重さは関係なく、力強さ重視であればスカウトの方が良いです。
キャンプに最適なハスクバーナ、オールラウンダーのハルタホース
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ハスクバーナのハンドアックスは持ち運びに優れ、使いやすいという特徴があります。ハルタホースは伝統を重んじ、斧本来の役割を重視しています。コストパフォーマンス、使い勝手の良さというキーワードにピンとくる人はハスクバーナ。伝統、こだわり、斧らしさを追及したい人にはハルタホースのハンドアックスが良いかもしれません。
最近はハンドアックスをカスタムして楽しむ人も多く、キャンプ好きにはおすすめのアイテムです。ナイフが使いこなせるようになり、もう一歩進みたい。そう思ったらハンドアックスを手にしてください。