冬のキャンプ場の選び方と通年で営業しているおすすめのキャンプ場を紹介
Aventure編集部
空気が透き通り、星空が美しい冬キャンプは春や夏よりも魅力があると主張するキャンパーが後を絶ちません。そしてそれは初心者から中級者にステップアップする通過儀礼のようなものでもあります。しかし、知識がないままに厳寒の自然に飛び込むのは命の危険に関わります。冬キャンプは十分な備えが欠かせません。この記事では、冬キャンプの魅力から注意すべきポイント、必要な装備、おすすめのキャンプ場まで余すところなく解説します。
冬キャンプの魅力
夏キャンプは身軽な装備で行けることや、水辺での非日常的なアクティビティが楽しめることが魅力です。自然のフィールドを満喫できることは間違いありません。しかし、冬の魅力を知ってしまうとそればかり繰り返してしまうと言います。ベテランキャンパーが愛してやまない冬キャンプの魅力は何なのでしょうか。
空が澄んで満点の星空を望める
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キャンプのハイシーズンである夏はもやがかかって見えにくいことがある星空も、冬になると空気が澄んで満点の星空が望めます。キャンプ場では周りに灯りがないため、星空を満喫するには絶好の条件が揃っています。日が短くなり、長い夜を過ごすことになる冬キャンプですが、コンパクトな望遠鏡を持って冬の大三角形を観察したり、撮影に勤しんだりするのもよいでしょう。
冬ならではのアクテビティを楽しめる
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冬キャンプだからといって、遊びを諦める必要はありません。凍った湖に穴を開けて楽しむワカサギ釣り。積雪地なら、かんじきのようなスノーシューを履いて歩くスノーシュートレッキング、そり遊びなども楽しめます。
シーズンオフでお得にキャンプ場が利用できる
キャンプシーズンといえば夏。多くの人が押し寄せるため、ハイシーズンとなり、キャンプ場の使用料も高くなりますが、オフシーズンとなる冬はリーズナブルなプランが出ていることがあります。そのため、夏キャンプよりお得に利用できるキャンプ場が多いのです。 また、ハイシーズンは混んでいるキャンプ場も空いていることが多いのも嬉しいポイントです。
他の季節には気になる虫がいない
春夏秋のキャンプにはつきものの虫。冬のキャンプではほとんどの虫が冬眠している季節ですから、気にする必要がありません。キャンプといえば虫対策が要といってもいいほど重要ですが、その対策をしなくてもよいことは、煩わしさから解放されて負担が減り、心身ともにとても楽になります。 虫が苦手だからとキャンプを諦めていた人にも試して欲しい冬キャンプです。
焚き火で暖まる楽しみ
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普段のキャンプなら煮炊きやバーベキュー、ぼんやりと眺めて思いを馳せることなどがメインとなる焚き火。冬キャンプでは焚き火で暖を取ることそのものを楽しむことができます。
冬キャンプの注意点
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冬場のキャンプにおいて、気をつけなくてはならないことは何でしょうか。油断すれば命取りとなる冬キャンプでの注意点をしっかり押さえておきましょう。
湯たんぽやカイロなどによる低温やけど
冬のキャンプでは防寒を確実にしないと命に関わることがあります。そのため、湯たんぽやカイロを使用することがありますが、長時間同じ場所に当てていると低温やけどをしてしまう可能性があります。使う際にはカイロは貼ったまま寝ないなど、十分注意してください。子供が使用する際には低温やけどだけでなく、やけどをしないように湯たんぽにはカバーをつけるなど、特に気を配ることが必要です。
外気温との温度差による結露対策
テントの室内と外気温の温度差があると、結露が発生します。結露が発生すると、テントの中はびしょ濡れになり不快なだけでなく、結露により室内の温度が低下してしまいます。
そこで、結露を防ぐためには定期的に換気をする、テントの素材選び(吸湿性の高いコットンをおすすめします)に気をつける、テントが濡れた際にしっかりと拭き取れるタオルを用意しておく必要があります。
低音により着火しにくくなる「ドロップダウン現象」
気温が低いことでバーナー類やライターなどガスを使う道具が火が着きにくくなる現象を「ドロップダウン現象」と呼びます。通常家庭で使用しているガス缶では、気温によっては火が着かないことがあります。
アウトドア仕様のライターやバーナー、ガス缶など、低温でも着火しやすいものがあるので、冬キャンプではそちらを活用しましょう。
日が短いため早め早めの行動を
冬は日が暮れるのが早いため、暗くなってからでは作業がしにくくなります。特にテントの設営は暗いと非常に困難な作業になってしまうため、早めに設営しましょう。日が暮れると一気に寒さも増すため、火起こしが必要な場合は早めに行っておくとよいでしょう。
テント内での火気使用で気をつけること
テント内での石油ストーブや薪ストーブの使用には十分注意しなければなりません。
薪ストーブには煙突があり、テントから排気できますが、石油ストーブではこまめな換気が必要になります。
薪ストーブでは煙突の掃除を怠らず、設営の際にはすすが溜まっていないか隅々まで丁寧に点検してから設営しましょう。また、数値が目で見てわかる一酸化炭素チェッカーも持参して、注意しながら使用することも重要です。
※テント内での石油ストーブの使用はどのメーカーも推奨していません。どうしても石油ストーブを使用したい場合は自己責任で使うようにしてください。
必要な装備
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冬キャンプを快適に過ごすには、冬ならではの装備が必要です。ここからはおすすめの装備を紹介します。
冬に使うなら断然コットン製のテント
冬のキャンプでは多少値段が張ってもコットン製テントの使用をおすすめします。というのもコットンには吸湿性があって結露しにくいため、冬キャンプの強い味方になってくれるからです。また、難燃焼性も高いため、テントの近くで焚き火をする際にも安心です。
燃焼暖房器具をテント内で使うなら必須の一酸化炭素チェッカー
燃焼系の暖房器具をテント内で使うなら、必ず一酸化炭素チェッカーも装備に追加してください。
数値が直接目で確認できるものだと、アラームが鳴るほどではない数値の上昇にもすぐに気づくことができて安心です。
電気使用の暖房器具
キャンプ場でAC電源が使える場合は電気ストーブや電気毛布、電気あんかの使用が手軽な寒さ対策として有効です。AC電源がない場合でも、充電式の電気ストーブやポータブル電源を利用して使うのが何より便利です。
下着や服などの重ね着をして体温調節を
下着や靴下は吸湿速乾性の高い、シルク100%やウール100%のものをおすすめします。これらの動物性の下着は、過酷な冬の登山でも使われています。吸湿して速乾(調湿)する素材でないと、服の中で汗をかいた場合、逆に体が冷えすぎてしまい、命に危険が及ぶことがあるためです。コットン製の下着は吸湿はしますが、速乾性はないため、体が冷えてしまうのでおすすめしません。
その上に長袖Tシャツやニット、フリースやボア素材のもの、ダウンコートや真冬にも使えるスペックのマウンテンパーカーなどを重ね着して調節します。
冬キャンプでは帽子や手袋も必需品となります。
足元を温めることを忘れずに
冬は底冷えするため、足元の装備にまで抜かりなく準備をしましょう。テント内ではテントシューズを使うとよいでしょう。ウール製やシルク製のタイツ(スパッツ)を履くことや、靴下を重ね履きすること、ボアや断熱性のあるフェルトなどが内蔵されているシューズを履くことでしっかり対策しましょう。
冬用の寝袋
冬用の寝袋では頭までしっかりと覆われるタイプの「ミイラ型」を使います。いわゆる「封筒型」と呼ばれる一般の寝袋よりも密閉性が高いため、暖かさを保つことができます。
コットや厚めのエアマットで底冷えを防ぐ
通常のマットでは底冷えするため耐えられません。そのため、地面との隙間が開くコットや、厚みがあったり、断熱素材を使っていたりする冬用マットを使いましょう。
カイロや湯たんぽなどのあったかグッズ
冬キャンプでは装備が多く荷物が増えることが懸念されますが、防寒グッズは多めに用意しましょう。特に、貼るカイロはたくさん持っていくと体のあちこちに貼って簡単に防寒できおすすめです。また、湯たんぽも焚き火で湯沸かしをしつつ気軽に使えるためおすすめできます。
キャンプ場を選ぶポイント
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冬キャンプ初心者が押さえるべき、冬でも快適なキャンプ場を選ぶポイントを紹介します。
AC電源が使えるか
冬キャンプ初心者には、AC電源が使えるキャンプ場をおすすめします。電気を使う暖房器具や電気毛布などで簡単に暖を取れるためです。
シーズンオフ価格が設定されているか
せっかくシーズンオフに楽しむ冬キャンプなのですから、お得に利用したいところ。キャンプ場それぞれでお得なプランや料金設定があるかどうか、しっかり確認しましょう。
夜間の最低気温
冬キャンプでの重要なポイントといえば気温。中でも夜間の気温が変わると装備も変わってくるので、キャンプ場周辺の気温チェックを欠かさないでください。標高が高くなればなるほど気温は下がるため、標高も踏まえてキャンプ場を選びましょう。
キャンプ場へのアクセス
キャンプ場に向かうまでのインターチェンジからの距離を確認しておきましょう。あまりに遠い場合、道中で積雪により身動きが取れなくなったり、自動車スペックによっては雪山に対応できなくなったりする場合があります。万が一に備えてインターチェンジから近めのキャンプ場をおすすめします。
サニタリーコーナー・炊事場で温水が使えるかどうか
クッカー類を洗うときや歯磨きをする際に、冷たい水のみだと過酷です。炊事場で温水が使えると、クッカー類の汚れ落ちも格段に違いますし、快適に過ごすことができます。
チェックインの時間
キャンプ場のチェックインの時間が遅いと、日が暮れる前に早く済ませなければならないテントの設営、火起こしなどが困難になります。チェックインの時間をチェックしておきましょう。
関東近郊のおすすめキャンプ場5選
冬キャンプでも快適に過ごせる関東近郊のおすすめキャンプ場を紹介します。
群馬県|星の降る森
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温水の炊事場やトイレでの温水使用が可能です。また、電源付きサイトもあるので、冬キャンプ初心者にもぴったり。群馬県沼田市に位置するこのキャンプ場は積雪もあるため、冬のアクティビティもしっかり楽しむことができます。バンガローやキャビンも併設されているため、万が一のために避難できるというメリットもあります。
◆SPEC◆
【Webサイト】http://www.star-forest.com
【住所】群馬県沼田市上発知町2543
【シーズンオフ価格設定】あり
【電源サイト】あり
【温水使用】可
【積雪】あり
【バンガロー・キャビン】あり
栃木県|サンタヒルズ
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こちらのキャンプ場は名前を見てわかる通り、年間を通してクリスマスの雰囲気を楽しめる一風変わったキャンプ場です。シーズン真っ只中のクリスマス期間の使用もおすすめ。積雪地帯のため、冬のアクティビティを楽しめるキャンプ場です。 ※凍結防止のため、貸切風呂やコインシャワーは12月〜3月の間は使用できなくなります
◆SPEC◆
【Webサイト】https://santahills.co.jp
【住所】栃木県那須郡那珂川町三輪967
【シーズンオフ価格設定】あり
【電源サイト】あり
【温水使用】可
【積雪】あり
【バンガロー・キャビン】あり
神奈川県|ウェルキャンプ西丹沢
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都心からアクセスしやすい西丹沢に位置するキャンプ場。センターハウスには広い露天風呂(有料)があり、冬キャンプで冷え切った体を温めるのにはうってつけ。「カモシカホール」なる遊技場があり、卓球を楽しむことができます。 カフェが併設されており、朝はモーニングビュッフェを楽しめます。ドッグランやドッグシャワーもあり、ドッグフレンドリーなキャンプ場です。 ※コロナ対策により貸切家族風呂は現在利用できません(2021年12月現在)
◆SPEC◆
【Webサイト】https://well-camp.com
【住所】神奈川県足柄上郡山北町中川868
【シーズンオフ価格設定】あり
【電源サイト】あり
【温水使用】可
【積雪】なし
【バンガロー・キャビン】あり
千葉県|有野実苑オートキャンプ場
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竹馬など、自然の中で遊べる遊具がある「子供ひろば」があり、ファミリー利用には嬉しい施設です。都心からおよそ90分というアクセスのよさも魅力のひとつ。 農園レストランが併設されており、地場の食材を使ったおいしい料理を味わえます。いちご狩り農園が2021年1月にオープンしたため、12月下旬から5月までおいしい苺を味わうことができます。
◆SPEC◆
【Webサイト】https://arinomi.co.jp
【住所】千葉県山武市板中新田207
【シーズンオフ価格設定】あり
【電源サイト】あり
【温水使用】可
【積雪】なし
【バンガロー・キャビン】あり
山梨県|PICA富士吉田
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富士山の麓にあり、富士山を望めるキャンプ場。子供向けに「キッズキャンパー・アカデミア」という体験型イベントがあり、ダッチオーブンの使い方や初めての焚き火体験ができます。お子様のキャンプデビューにもぴったりです。子供だけでなく、大人にとっても宿泊プランやイベントが多彩でたっぷり楽しむことができます。予約をすれば肉やダッチオーブンで焼くパンなどの食材を注文でき、食材を運ぶ手間を省けます。ゲストハウスには入浴施設があり、利用料金に入浴料が含まれているのが嬉しいところ。
※水曜・木曜日は定休日
◆SPEC◆
【Webサイト】https://arinomi.co.jp
【住所】山梨県富士吉田市上吉田4959-4
【シーズンオフ価格設定】あり
【電源サイト】あり
【温水使用】可
【積雪】なし
【バンガロー・キャビン】あり
自然を満喫できる冬キャンプの世界へようこそ
あえて寒い季節にキャンプに行く、ということ自体に尻込みしてしまうかもしれませんが、実はキャンプ場選びに気をつけて装備さえしっかりすれば冬キャンプも快適なものなのです。
いつもは混んでいるキャンプ場が空いていてのびのびと過ごすことや、澄んだ空気で満点の星空を望むこと、冬の寒い時期だからこそ焚き火でぬくぬくと暖まる楽しさもあります。
また、積雪地域では冬ならではのアクティビティにも挑戦でき、楽しみは広がるばかりです。
今度のキャンプは冬キャンプに挑戦してみてはいかがですか。