【初心者でも大丈夫】フルマラソンを完走するための練習方法を紹介!
Aventure編集部
「フルマラソン完走」はランナーなら誰でも一度は目指したことのある目標ではないでしょうか?
しかしマラソン初心者はもちろん、経験者であってもフルマラソン完走はかなりハードです。通常のジョギング練習に加え、筋力トレーニングや心肺機能を向上させるためのポイントトレーニングも必要です。
本記事では初心者またはブランクのあるランナー向けに、フルマラソン完走を目指して取り入れたいトレーニングや目標の立て方、走る上で必要な心構えを解説していきます。
「初めてフルマラソンに挑戦するが、どんなトレーニングをしたらいいかわからない」「フルマラソンを完走するために自分に必要なトレーニングは何か知りたい」という人はぜひ参考にしてみてください。
練習方法を決める前に、まずはフルマラソンの目標を設定する
フルマラソンに向けてトレーニングを始める前に、まずは目指すべきゴールを設定しましょう。
「○時間以内に完走」「歩いてもいいから完走する」と自分の目標をどこに置くかによって、必要なトレーニングは変わります。
とにかく制限時間内完走
歩きつつでも良いので制限時間内完走を目指すなら、スピードよりも長距離を走り切る持久力をつけましょう。忘れてはいけないのは、制限時間です。多くの大会では6〜7時間が一般的ですが、途中にある関門時間にも注意しましょう。
「〇キロ地点を〇時〇〇分までに通過しなければいけない」と決まっているため、制限時間までに関門にたどり着かないと、タイムオーバーとなってしまいます。また、後半につれてペースが落ちることを考慮しても「5時間程度で完走する」といったようにタイムは少し前倒しで設定したほうが良いでしょう。
具体的な時間にすると、以下のようになります。
42.195km÷5時間=約8.4km/時≒約4.2km/30分
目標タイムを決めて走る
目標タイムを決めて走るなら、持久力だけでなくスピードやペース配分も重要です。フルマラソンを5時間以内で走ることを「サブ5」、4時間以内で走ることを「サブ4」と言います。初心者であればまずはサブ5を目指しましょう。サブ5はマラソン参加者の約半数が達成しており、しっかりトレーニングをして臨めば初心者でも十分到達できるレベルと言えます。
具体的には以下よりもやや速いペースで走る必要があります。
42.195km÷5時間=約8.4km/時≒約4.2km/30分
フルマラソン経験者や中級ランナーであれば、サブ4が視界に入ってきます。サブ4を達成できるのは全ランナーの3割未満と言われており、サブ5に比べて難易度はぐっと上がります。とはいえ、練習を積んでいけば決して手の届かない目標ではありません。
具体的には以下よりもやや速いペースで走る必要があります。
42.195km÷4時間=約10.5km/時≒約5.3km/30分
フルマラソンの練習前に押さえておきたい基本の体作り
普段あまり走っていない人なら、ジョギングなど走る練習に入る前に、まず走るための体作りをする必要があります。ランニング初心者や、経験者でもブランクのある人が、体作りをせずにいきなり走り始めて足を痛めるというケースはよくあります。遠回りなようですが、基礎的なことから始めて徐々にトレーニングの強度を上げていくようにしましょう。
フルマラソン4~6ヶ月前の練習方法:筋力トレーニング
フルマラソン4〜6ヶ月前の時点では、走る練習を始める前に、まず筋力を強化します。
足の筋トレ
足の筋トレは以下の3つを中心に取り組みましょう。筋肉をつけることで、地面に着地したときの衝撃を走る力に変えやすく、疲れにくい足になります。
①ウォーク
ランニング初心者にまず取り組んでほしいのはウォーキングです。普段歩くスピードよりやや早足で30分ほど歩いてみましょう。運動不足の人であれば、それだけでもかなりハードに感じるはずです。体が慣れてきたら、歩く時間を40分、50分と伸ばしていきましょう。
②スクワット
走る動作には一見関係がなさそうに見えるスクワットですが、足の筋肉だけでなく体幹を強化できるため、走る際のフォームが安定して怪我や疲労に強い下半身が作れます。通常の自重スクワットを週に2〜3回の頻度で、10〜15回×2〜3セットを目標に取り組んでみましょう。
③自転車
足にかかる負担を和らげつつ、ハムストリングスなど足の大きな筋肉を鍛えられます。また、心肺機能の向上も目指せます。ジムや、通勤・通学でも構いません。15〜30分を目安にできるだけ毎日継続してみましょう。
全身筋トレ
全身の筋トレは以下の4つを中心に取り組みましょう。マラソンに必要なのは脚力だけではありません。腕や腹筋を始め、全身の筋肉をバランスよく鍛えましょう。体のどこか一部でも筋力の不足している部分があると走っているうちに体がぶれたり、フォームが崩れたりすることにも繋がります。
①〜③の筋トレは各10〜15回×2〜3セット行います。
①腕立て伏せ
長距離のマラソンは「上半身で走る」と言われています。腕を振って上半身を動かすことで足に動きが伝わり、走りを楽にしてくれます。
②つま先立ち
つま先立ちは「第二の心臓」と言われるふくらはぎを鍛えるのに有効なトレーニングです。ふくらはぎは、走るときに地面を蹴ったり、着地するときの衝撃を受けとめる役割を果たす重要な部位です。
③腹筋
腹筋を鍛えることで、走る際の姿勢が安定します。上半身がぶれずに安定したフォームで走り続けられるため、ランニングの効率が良くなり、マラソンタイムの短縮や総距離の更新が狙えます。
④水泳
水泳は全身の筋肉をバランスよく鍛えるだけでなく、フルマラソンの完走に必須の心肺機能も強化できます。クロールや背泳ぎなど様々な泳法で泳ぐことがポイントです。週に1〜2回、1時間で600〜1,000m泳ぐことを目標にしてみましょう。
フルマラソン完走のためのランニングメニュー
このパートでは具体的なランニングメニューを紹介します。
フルマラソン1~3ヶ月前の練習方法:ラントレーニング
フルマラソン1~3ケ月前に取り入れたいラントレーニングは以下の通りです。
<3ヶ月前のトレーニング>
フルマラソンに求められる基礎的な持久力を鍛えます。ゆっくり長く走って、ランニングに体を慣らします。気温の高い日中などは避け、気持ちよく走れるスピードで余裕を持って走るようにしましょう。トレーニングの頻度は週3回以上が理想です。1日以上の休養日を挟むようにしましょう。
<2ヶ月前のトレーニング>
これまでのトレーニングを振り返り、練習量を増やします。フルマラソン本番に挑む前に、走る距離の短い大会(10kmやハーフマラソン)などに参加して、トレーニングの成果を確認してみましょう。余裕があれば30km走や3〜4時間のランニングに挑戦してみても良いかもしれません。
フルマラソンでは、長時間走り続けられる足とスタミナが必要ですから、コンディションに応じて、筋力強化や後述するラントレーニングを行います。
<1ヶ月前のトレーニング>
トレーニング量を徐々に減らしていき、スタミナとコンディションの維持に努めましょう。本番できちんと力を発揮できるよう、日常生活でもストレスを減らし、十分な睡眠をとって体を休ませます。
①3週間前
週2〜4日のペースで練習を続けます。これまで通りのラントレーニングを行い、強度や量は増やさないようにします。一度、ハーフまたは30km程度の距離を試しに走ってみましょう。
②2週間前
フルマラソン本番まで2週間を切ったら、徐々にトレーニング量を減らしていきます。これまでの70〜80%程度が目安です。体に疲れが残っていたり、痛みがあれば、練習時間や回数を減らしてもOKです。
③1週間前
フルマラソン本番の1週間前には、トレーニング頻度は週2〜3日、走る時間は普段の50〜70%程度に抑えます。新たな練習を取り入れたり、追い込みをかけてはいけません。心と体を整えることを最優先にし、特に大会前日は完全休養日にします。
ラントレーニングのやり方
ただなんとなく走るばかりでは、タイムや距離は伸びません。ここでは通常のラントレーニングで意識したいことのほか、練習の質を上げるポイントトレーニングを紹介します。
時間走
時間を決めて走る方法です。全くのランニング初心者なら、まずは5分や10分でも構いません。少しずつ走る時間を伸ばしていき、やがては30分、60分と長時間走れる体を作ります。この段階では「もう少し走れる」と思っても無理をしないことが大切です。
距離走
距離を決めて走る方法です。ある程度の時間走れるようになったら、次は距離を目標に走ります。フルマラソン完走を目指すなら、練習時点で20〜25kmは走れるようにしておきましょう。
また、マラソンには30km地点を超えると急に足が動かなくなる「30kmの壁」というものがあります。もし余裕があれば、一度30kmを走って「壁」を体感してから本番に臨めると良いですね。
LSD(ロングスローディスタンス)
LSD(ロング・スロー・ディスタンス)とは、ゆっくりペースで長く走るマラソンの基本トレーニングです。
通常のジョギングよりもゆっくり走るため運動強度は低いですが、長時間走ることで心肺機能や筋持久力を高め、マラソン向けの体を作れます。速さや距離は考慮しなくて構いません。90〜180分を目安に走って持久力を鍛えましょう。
インターバルトレーニング
インターバルトレーニングとは、高負荷のランニングとジョギングを交互に繰り返し、スピードと心肺機能の強化を目指します。
「速いスピードで走る(ランニング)→ゆっくり走る(ジョギング)」を繰り返します。
速く走るランニング時は全力疾走の80%くらいの力を意識し、ゆっくり走るジョギング時は心拍数や呼吸を整えます。初めはランニング400m、ジョギング100mを5〜10セット繰り返しましょう。慣れてきたらランニングの距離を600m、800m、1000mと伸ばしていきます。
ペース走
ペース走は決められた距離を決められたペースで走り続けるシンプルなトレーニングです。練習段階でペースを体に覚えさせる目的で行います。マラソン本番で目標とするペースで5km、10km程度を走ってみましょう。
フルマラソンに挑戦するときの心構え
フルマラソン完走には、体だけでなく心の準備も必要です。
トレーニングの基本は練習・食事・睡眠
トレーニングだけでは体は成長しません。
「練習で体を疲労させたら食事で栄養をとり、睡眠で体力・筋力を回復させる」の繰り返しで鍛えられていきます。そのため、トレーニングにおいては練習・食事・睡眠はセットで考え、けっしてトレーニングのために睡眠をけずったり、食事をおろそかにしてはいけません。
フルマラソンに向けてトレーニングを始めたら、食事には今まで以上に気をつけなくてはいけません。栄養バランスの取れた食事を1日3食規則正しくとります。米・パンなどの炭水化物、肉や魚といったタンパク質に加え、野菜・きのこ・海藻類などビタミン・ミネラルも重要です。トレーニング量が増えてきたらエネルギー源となる炭水化物を多めにとりましょう。
また、長距離ランナーは鉄分不足になりやすいため、息切れや疲れやすいなどの症状が出てきたら、青魚・レバーなどで鉄分を補給します。
今の自分に合った練習法を見つける
マラソンのトレーニング方法は豊富にあります。たとえ、マラソン上級者やプロであっても自分にあったトレーニング方法を見つけるのは難しいと言われています。重要なのは誰かの真似をするのではなく、自分の実力やコンディションと照らし合わせ自分にあったトレーニング方法を選ぶことです。
もし、「自分には合わない」「ハードすぎる」と感じたら、無理に続けようとせず、適宜調整していきましょう。
自分の能力を過大評価しない
マラソンは心臓や肺に負担のかかるスポーツです。これからマラソンを始める人の中には、マラソンやスポーツの経験者がいるかもしれません。ですが、「昔は結構走っていたからこれくらい走れるはず」「他でスポーツやっていたからマラソンも走れる」と考えるのは危険です。突然ハイペースのランニングを始めると体がついていかないこともあります。心拍数を測るなどして自分の体の状況を把握し、無理のない範囲で練習に取り組みましょう。
本番直前は練習しすぎない
本番の1週間前から前日までは最終調整期間です。最優先は体調維持で、適度な睡眠やバランスの良い食事、規則正しい生活を心がけてお酒も控えます。体は動かし続けますが、疲れの残らない程度の軽い練習に留め、疲労を残さないようにします。焦ってハードなトレーニングをしてはいけません。
当日の過ごし方
体が本格的に始動するには起床後約6時間かかるといわれています。起床時間はスタート時間から逆算して決めます。大会当日はしっかり朝食をとり、会場までの移動や時間には余裕を持って行動しましょう。
会場にはスタートの2時間前に入り、ストレッチやウォーミングアップは30分前には終わらせておきます。スタート前には必ず水分を取り、エネルギーを温存した状態でスタートラインに立ちます。
フルマラソンの練習方法は自分の能力と目標に合わせて考える
マラソン大会は誰かとタイムを競ったり勝ち負けのある勝負ではありません。特にマラソン初心者なら、「完走する」「◯時間以内にゴールする」と自分で決めた目標を達成することが最も大事です。自分のペースで、景色を眺めながら余裕を持って走れるとなお良いでしょう。もし途中で体に不調を感じたり、痛みを感じたらリタイアするのもひとつです。まずは走ることを楽しむのがマラソンを長く続けるコツといえるでしょう。