インタビュー

佐々木陽さんインタビュー「経営に必要な逆算思考がキャンプの醍醐味」

佐々木陽

佐々木陽(あきら)さんは、自ら立ち上げたコンサルティング会社にてSaaS企業の支援をする傍ら、教壇に立って情報技術に関する教育活動にも力を入れています。時間に追われる日々を送る佐々木陽さんを魅了してやまないのがキャンプ。忙しい隙間を縫って安息のひとときを得ていると言います。他の経営者や役員などとともに、自然の中で同じ夜を過ごすことも少なくありません。ビジネスとプライベートの垣根がなくなるキャンプは、「会社経営と同じ」と語ります。ファミリーキャンプからソロキャンプまで、豊富な経験を積んできた佐々木陽さんに、その魅力を語りつくしてもらいました。

【プロフィール】
佐々木陽(ささきあきら)
東急エージェンシーからリクルートに転職し、国内外の事業開発責任者を務めた後にスタートアップ企業に転職。デジタル技術のノウハウを得た翌年にOneteamを創業し、2019年にコラボレーションツール「Oneteam」を東証一部上場企業へ事業売却。現在はSaaS事業者向けのコンサルティング会社deflagの代表を務める傍ら、株式会社ベーシック執行役員CSO、情報経営イノベーション専門職大学の客員教授として活動の幅を広げている。


高級ホテルよりも贅沢な時間が過ごせるキャンプに夢中

――キャンプにハマったきっかけを教えてください。
僕は岩手県の自然の中で小学校時代を過ごしたのですが、そのときにボーイスカウトに入っていました。家族全員が野外で過ごすことが好きで、いとこを巻き込んでグループキャンプをしていました。
当時は、海や山など、いろいろな場所に行きました。大人になった今でも離島や海沿い、丘の上、森の中など様々な場所でキャンプをしています。やはり、ボーイスカウトや家族キャンプが原体験になっていますね。焚火を囲んで飯盒炊爨をしたのも小学校のころで、「外で食事をするのはなんて美味しいんだ」と思いました。
自然の中で周囲を見渡すと、何も視界を遮るものがなく、空や雲、海がどこまでも続いていました。その美しい光景が少年の目に焼きついたのだと思います。食事の満足感や星空、朝焼けの美しさ、日常生活の煩わしさから解放された自由な時間に充足感を覚えていました。あの日見た光景を今も思い出します。ひどい虫刺されの記憶とともにね(笑)。

――社会人になってからもずっとキャンプを続けていたのでしょうか?
それは無理ですよ(笑)。会社に入りたてのころや、管理職をしていたときは、時間・車もなくてとてもそんな余裕はありません。時間に余裕をもってキャンプに行けるようになったのは、ここ3、4年です。ある程度の収入があり、自分で時間をコントロールできるようになってからですね。生活に余裕が出てくると、リゾートホテルやシティホテルのそこそこの部屋に泊まれるようになります。もちろん居心地は悪くないのですが「何か物足りないな」「もっと自然、というか“人間”に近いところに行きたいな」という欲望が湧いてきました。そんな時にふと子供のころの記憶が頭をよぎりました。
まさかキャンプがこんなにブームになるとは思わなかったですね。

――かつてのように家族やグループで行くことが多いのですか?
家族でも行きますし、大人数の仲間たちと行くこともあります。デュオなどの少人数パターンもあります。もちろんソロも。いろんな経験をしてきたので、実は持っていないギアがないと言えるくらいです。


ギアの基本色は3つに抑えるのがポイント

――キャンプのカテゴリーによって使うギアが異なりますね?
そこがキャンプ好きを興奮させるポイントかもしれません(笑)。テント一つとっても、グループの場合と少人数とで選ぶものが全く異なります。例えば、ノルディスクというメーカーが製造しているコットン素材を使ったアスガルドというテントは、グループでワイワイ楽しむときにしか僕は使わないです。見た目が華やかで居住性が高く、温度管理もしやすいためです。
Duoやsoloでは設営に時間をかけたくないので、ドイツのヘイムプラネットというメーカーが出しているザ・ケイブというテントを使っています。これは空気で自立する珍しいタイプなのですが、組み立てに時間がかからず、大勢で楽しむ時間がたくさんとれます。
ソロやデュオなどでは自然と遊ぶことを目的にすることが僕は多いので天候によっても選ぶテントは変わります。僕はヒルバーグという世界最高峰のメーカーが大好きなのですが、その中でもスタイカやサイタリスというテントが気に入っています。重心が低い構造になっていて、風速20メートルを超えても動じない強度を持っています。海沿いや標高の高い場所でも使えるものです。
ヒルバーグはレッド、ブルー、イエロー、ブラックレーベルというカテゴリーに分かれています。軽さや居住性など、それぞれのレーベルに特徴があります。僕はブラックしか持っていません。この中で最も耐久性が高いものです。

――やはり、行きつくところに行きつくのですね。
堅牢なテントであることはとても重要です。2021年2月に静岡県富士宮市の「ふもとっぱら」というキャンプ場に行ったのですが、そのとき風速8メートルの強い風が吹いていました。同じ日に近くのエリアでキャンプをしていた人が、スノーピークのランドロックのテントをたてていました。そのテントはすぐにポールが折れて、撤収していました。
キャンプをするのに最も注意を払うべきなのは、雨ではなくて風です。強い風が吹くときはキャンプをしないという選択も必要だと思いますし、それでもやりたい場合は、その条件に耐えられるギアを装備していないといけません。
見た目やブランドでギアをそろえる人が多いですが、まず目的を考えるべきだと思っています。

――佐々木さんはギアの色にもこだわっています。
キャンプには様々な道具が必要で、数多くのメーカーが商品を出しています。何も考えずに感覚でそろえてしまうと、自然の中に並べたときに色が馴染まないのです。僕は幼少期の思い出が原点としてあるので、自然な色に近いギアを選ぶようにしています。グレー、ステンレス、ライトな木目調の3色でまとめています。木目調を取り入れたギアはいくつもあるのですが、ライト系かダーク系かで雰囲気はガラリと変わります。僕はライトな木目調を意識して集めています。
ただし、これは僕の趣味です。人によっては赤や白、茶色などを選びます。色を合わせる楽しみは人それぞれです。ポイントになるのは多色でなんとなくギアを揃えると、統一感がなくなるということですね。僕は色を3つまでに抑えることを大切にしています。3つに絞るだけで統一感と高級感が生まれます。


ゴールから考える逆算思考でキャンプを楽しむ

――タープのおすすめはありますか?
DDタープですね。様々なサイズが出ているのですが、僕は全種類持っていますよ(笑)。DDタープの特徴は、張り方が無限にできる点です。場所や目的に合わせて自由に設営できるのです。見た目も媚びている感じがなく、無骨で自然によく溶け込みます。耐久性もあって非常に気に入っています。
DDタープはDDハンモックというメーカーが作っていて、その名の通りハンモックで有名な会社です。YouTubeや雑誌などで、木にハンモックを吊るして楽しんでいるものがありますが、注意が必要です。最近は木が傷ついてしまうことが多く、キャンプ場によっては使用が禁止されています。使用する際はキャンプ場が許可しているかどうか確認してください。

――最近のキャンプはどこに行きましたか?
7月は長崎県の福江島。8月が西伊豆のプライベートキャンプ場「アクアビレッジ」で、9月は宮古島に行く予定ですね。
キャンプの行程を組む企画力が腕の見せ所であり、醍醐味の一つだと僕は思っています。例えば福江島は、地元の漁港の人たちとつながりがあり、新鮮な魚を用意してもらっています。そこから移動して、キャンプ場についたらどれくらいの時間で設営するかまで考えます。もちろん、その場で食べる料理やそれに合うお酒も決めておく。そうすると、自ずとそろえるギアも決まってきます。
この考え方って何かに似ていません?

――経営戦略ですね。
そうです、逆算思考です。ゴールから考えて、必要なものが見えてくる。キャンプはこれが大事です。そしてそれを考える時間が最高に楽しい。自然が相手だからうまくいかないことが多いのも面白いです。

――企画からギア選び、キャンプ当日の過ごし方まで、楽しむ方法がいろいろあります。
僕の周りでは、企画とギア選びを楽しんでいる人たちが多いですね。仲間の企画に乗ってキャンプに行くと気づかされることも多いです。自分とは違う切り口で楽しませてくれたりね(笑)。企画力のある人は仕事もできるイメージが強いです。

――キャンプ場ではどのような時間を過ごしていますか?
ワンエッセンスを大切にしています。キャンプに一つエッセンスを加えるのです。例えば、釣り、サップ、カヌーです。僕は特にサップが好きですね。海や湖、川など、景色が開けた場所でゆったりと水の上を走るのは何ともいえない充足感が味わえます。非日常体験の極みだと思います。

――Instagramでキャンプの様子を投稿していますね?
キャンプの様子を発信するツールでもあるのですが、仲間同士でコミュニケーションをとる手段として活躍しています。僕はFacebookでキャンプ情報を交換したりもしているのですが、今の主流はInstagramですね。DMでやり取りをするようになりました。
インターネットで情報は十分得ることもできるのですが、知っている人が実際に使っているところを見るのが一番わかりやすいです。写真がメインなので見た目もよくわかります。
ベテランのキャンパーになるほど、ギアにこだわっている人が多いです。Instagramで目にしたものに対して、コメントが聞けるのはとても大きいです。情報を得るのは、こうした生の声が一番ですね。

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