コインランドリー投資は本当に儲かるのか? 脅威の利回り10%の魅力に迫る
Aventure編集部
近年、コインランドリー投資への注目が集まっています。洗濯機や乾燥機の設備投資に1,500万円から2,000万円ほどかかるものの、マンション投資やアパート経営よりも手軽に行える点が最大のメリットです。電気、水道、家賃などランニングコストも抑えられ、利用者のトラブルもほとんどありません。運用管理コストが低いこともメリットの一つだと言えます。
コインランドリーへの投資は本当に儲かるのでしょうか?また、デメリットはどのようなところにあるのでしょうか。この記事では、コインランドリー投資の基本的な考え方からメリット・デメリット、始め方を解説します。
コインランドリー投資とは
コインランドリー投資は、マンションやアパート、その他相応しい場所に運営に必要な設備投資を行い、ランドリーサービスを提供して収益を得るものです。男女共同参画局によると、平成29年の共働き世帯は1,188万世帯となりました。昭和55年は614万世帯。1.9倍に拡大しています。平日に洗濯、乾燥させるだけの余裕がなく、コインランドリーで洗濯を済ませる世帯が増加しているのです。また、狭小住宅など日の当たりにくい物件を選んで購入する世帯も見られます。洗濯ものが乾きにくく、コインランドリーを使うケースが多くなっているのです。
厚生労働省の「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査」によると、2013年のコインランドリー店舗数は16,693となり、1997年と比較しておよそ6万店舗増加しています。コインランドリーの需要は年々増加しています。
コインランドリーはフランチャイズに加盟するか、個人で経営するかで違いはあるものの、初期投資は2,000万円程度に抑えられます。アパートやマンションで数千万円から億単位の資金が必要になることに比べれば、低投資で始められます。運用管理にも手間がかからず、手を出しやすい投資だと言えます。
メリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
〇空室リスクがない
〇節税効果が望める
〇人件費がかからない
〇狭小地や二等地、三等地などの地代が安い場所でも出店できる
空室リスクがない
マンションやアパート、ビルなどの不動産投資の場合、空室によって収入が入らないリスクがあります。特に近年はリモートワークが推進され、都市部のオフィスの空室率はやや上昇傾向にあります。また、マンションやアパートから郊外に移り住む人も増えました。新型コロナウイルス感染拡大後の新常態は、これまでの不動産投資の定石が通用しません。
その一方で、コインランドリー投資は機械が故障しない限りは稼働しないということがありません。収入がゼロになるリスクは低いと言えるでしょう。
節税効果が望める
節税効果が高いこともメリットの一つです。中小企業等経営強化法に基づく税制措置により、洗濯設備を購入した場合、耐用年数に関わらず全額減価償却できる即時償却か、取得価格の10%の税制控除を受けることができます。ただし、これは2023年3月末までの税制優遇措置で、担当省庁に経営力向上計画を提出して認定を受ける必要があります。
また、経営力向上計画の認定を受けた場合、日本政策金融公庫から融資を受けやすくなり、初期投資の自己資金を抑えられる可能性も高まります。
人件費がかからない
コインランドリーは概ね無人での営業が可能です。人手が必要なのは、清掃・集金・洗剤などの補充だけです。オーナー自身がこれを行えば、人件費はかかりません。パート、アルバイトを雇ったとしても、1日2時間×1,000円×20日=40,000円程度です。オーナーの中には手の空いている家族に依頼するケースもあるようです。
狭小地や二等地、三等地などの地代が安い場所でも出店できる
5坪ほどのスペースで始められると言われており、狭い場所に出店できる点も魅力です。また、繁華街に出店する必要もありません。どちらかというと、飲食店などが出店しづらい住宅街の方が向いており、駅から離れた二等地、三等地にも出店することは可能です。地代・家賃が低く抑えられる点もメリットの一つです。
デメリット
〇差別化が図りにくい
〇売却益など大きく儲けることができない
〇故障によるクレームなどのトラブル
〇コインの盗難など無人店舗の犯罪リスク
〇ランニングコストがかかる
差別化が図りにくい
基本的には設備投資で誰でも始められるため、競合との差別化を図りにくいというデメリットがあります。フランチャイズに加盟をして認知度の高いブランドで始めることもできますが、ロイヤリティや加盟料などが発生します。
立地条件で差別化が図れない場合、Googleマップで上位に検索されるよう工夫したり、外観や内装を目立つものにするなど、他店との違いを出す必要があるかもしれません。
売却益など大きく儲けることができない
収益ビルなどは買った後に資産価値を上げ、一定の利回りを得た後、売却して大きく儲けることが可能です。しかし、コインランドリーは機械が古くなれば資産価値が目減りするのが普通です。店舗を売却して大きく儲けることはしづらいでしょう。
また、飲食店はオープン直後は顧客が集まり、儲けが出やすくなりますが、コインランドリーは少しずつ認知が広がって顧客が集まります。出店当初は赤字が出る可能性があるでしょう。客単価も800円~1,000円と低い傾向があります。
故障によるクレームなどのトラブル
少ないとはいえ、機械の故障によるトラブルは避けられません。トラブルを回避するための仕組み(外部業者への委託など)を整えておくことをお勧めします。衣服がなくなった、色落ちしたなど、機械とは関係のないところで発生するクレームもあります。悪質なクレームも少なくなく、顧客対応も事前に想定する必要があります。
コインの盗難など無人店舗の犯罪リスク
無人による24時間営業となる店舗が多く、深夜帯の盗難など犯罪リスクもあります。その他、落雷や火災による店舗の消失もゼロではありません。各種保険がありますので、必要に応じて加入すると良いでしょう。
ランニングコスト
水道光熱費がかかります。売上高の30%程度が目安です。
初期投資に必要な費用と準備
洗濯機や乾燥機は1台50万円~100万円前後で購入できます。容量やタイプによって変動します。洗濯機の価格上限は250万円程度です。その他両替機、内装費が必要になります。設備類は耐久性が高く、20年~30年は使えます。
初期投資額は2,000万円ほどとなりますが、ロードサイド店舗で躯体からとなれば費用は嵩みます。スモールスタートで様子を見るのが一般的です。水道光熱費は売上の30%ほどです。
利回り
2,000万円で利回りはどれくらいになるでしょうか? シミュレーションをしてみます。
【月間の売上】
〇客単価:1,000円
〇1日客数:30人
〇月間売上:900,000円
【月間の費用】 〇水道光熱費:900,000×30%=270,000円
〇洗剤などの経費:40,000円
〇家賃:150,000円
〇人件費:40,000円
〇月間経費合計:670,000円
※減価償却費:170,000円
実質利回り=月間利益230,000円×12=276万円÷2,000万円×100=13.8%
想定実質利回りは10%を超えました。多くのオーナーは10%を上回る利回りで経営しています。低リスクであることを考えると、比較的効率の良いビジネスです。
このシミュレーションはあくまで想定上のものであり、立地条件などによって1日の客数は変わります。また、導入する機械によって客単価も変動します。経営計画を立てる際は、想定したターゲットなどを基にして作成してください。
※初期投資の2,000万円を10年で償却して利益を出すと考えた場合、月間17万円の減価償却費が発生します。初期投資を借り入れではなく自己資金で賄った場合、月間60,000円、年間720,000円が純利益となります。
成功するポイントをチェック
コインランドリーは立地がすべてと言えます。商圏を見極めてターゲットが誰になるのかを調査しましょう。例えば、大学が近くにあれば一人暮らしの学生がターゲットになります。マンションが立ち並ぶ住宅街であれば、共働き世帯の女性がターゲットとなるでしょう。郊外であれば主婦層も視野に入ります。
学生が中心であれば、通学路にあった方が目につきやすくなります。共働き世帯は買い物途中の道にある方が認知しやすいでしょう。郊外であればショッピングモールなどの近くにあると有利になるかもしれません。
キャッシュレス化やスマートフォンとの連携、カフェの併設、Wi-Fiの提供などにより、競合他店との差別化を図ることは可能です。しかし、認知されることが大前提であり、立地条件を見極めることは何よりも重要になります。新規顧客獲得がひと段落したら、顧客を繋ぎとめるための施策(無料Wi-Fiなど)を構築しましょう。
コインランドリー投資の始め方
コインランドリーを出店するためには、土地や物件などの不動産を取得する(または借りる)必要があります。コインランドリーは稀に居抜き物件もあります。不動産仲介会社に事業を始めたい旨を相談しましょう。ロードサイド型では、もともとコンビニだった店舗を改装するパターンがよく見受けられます。
次のステップとして必要な機材を集めます。機材は多くの事業者が開発・販売しており、目的に沿ったものを揃えます。中古機器も出回っています。初期費用を安く抑えたい場合は活用すべきです。ただし、耐用年数や故障のリスクがあることを忘れないでください。
一通りの機材がそろう目途がついたら、保健所へ届け出ます。コインオペレーションクリーニング営業施設開設届、洗濯機の配置図、設備の概要を提出します。施設の検査を経て、合格すれば営業可能です。検査自体はさほど厳しくなく、ハードルは低いでしょう。
長期目線での投資に最適なコインランドリー
コインランドリーは地味な投資手法です。薄く長く稼ぐ方法だと捉えるべきでしょう。ただし、不動産投資のような莫大な初期投資は必要なく、気軽に始められます。共働き世帯や単身世帯の生活の利便性を上げられる事業であり、社会貢献の度合いが強いことも魅力です。節税によるメリットも魅力的ですが、税制優遇措置は2023年3月末までとなります。コインランドリー投資を検討している人は早めに計画を練ることをおすすめします。