逆立ち腕立てのメリットとは?トレーニング方法や注意点まで徹底解説!
Aventure編集部
自重トレーニングは器具を必要とせず自分の体一つで行えるため、手軽で安全なトレーニングとして多くのトレーニーに親しまれています。中でも「逆立ち状態での腕立て伏せ」は自分の体重でも高い負荷をかけることができ、上級者におすすめの方法の一つです。今回は逆立ち腕立て伏せのメリットを挙げていき、種類やトレーニング方法なども細かく解説していきます。
※当記事で説明する逆立ち腕立て伏せは、壁を支えにしすぎずに”可能な限り自分で倒立姿勢を保ち腕立て伏せを行うこと”を前提としています。倒立姿勢を保つのが難しい人は、まずは壁を使った逆立ち腕立て伏せに挑戦してみてください。
逆立ち腕立てで鍛えられる部位
逆立ち腕立て伏せは、自重で行うものよりも高い負荷で上半身を鍛えることができるトレーニングです。下半身の重さがダイレクトに負荷として掛かるのは「手首」「前腕」「上腕」「三角筋」で、バランスを取る際は「僧帽筋」「広背筋」「腹直筋」にも負荷が伝わります。鍛えられる部位について具体的に解説していきます。
手首
手首が鍛えられる理由は、手首から上の体重全てが負荷になっているからです。土台として一番下で体を支えているので、最も負荷がかかっています。また、バランスを取るためには「手のひら」「指先」で重心をコントロールするため、その点においても手首に負荷がかかると言えるでしょう。
前腕筋
前腕筋は通常、ダンベルやチューブで鍛えていくものですが、逆立ち腕立て伏せでも負荷をかけることができます。倒立状態でバランスを取るだけで前腕筋全体に力を入れることになるため、負荷をかけやすいです。
上腕筋
逆立ち腕立て伏せは上腕筋にも非常に高い負荷を掛けることができますが、主に鍛えられるのは上腕“三頭筋”です。力こぶと言われる上腕”二頭筋”にはあまり負荷が掛からないため、その部位は懸垂やダンベルなどで鍛える必要があるでしょう。
三角筋
肩の筋肉として目立ちやすい三角筋は、「前部」「側部」「後部」と部位が分かれています。ウェイトトレーニングではそれぞれの部位に対して角度を変えながら鍛えるものですが、逆立ち腕立て伏せの場合は全ての部位に満遍なく負荷が掛かります。つまり、バランスの良いメロン型の三角筋を自分の体重だけで作れるのです。
僧帽筋
僧帽筋は背中の筋肉に含まれ、首と三角筋の間に位置します。逆立ち腕立て伏せでは、最後に腕をしっかり伸ばしきることによって僧帽筋に効かせることができます。実際は腕立て伏せまでしなくても、「倒立シュラッグ」と呼ばれる、“通常の倒立状態からさらに肩を出して伸ばしきる動作”を繰り返すだけで鍛えられるのです。
倒立腕立て伏せを行う際に、最後まで腕を伸ばしきるようにすると僧帽筋を鍛えられます。自分でバランスを取るのが難しいため、この動作を行う際は壁を支えにすると良いでしょう。
広背筋
広背筋は逆立ち腕立て伏せと非常に相性がいい部位です。通常のうつ伏せ状態の背筋トレーニングよりも、高負荷・広範囲で効かせることができるからです。始めたばかりの段階では、少しだけ背中を反るように意識すると広背筋に効いているのをが実感できるでしょう。縦に真っ直ぐな逆立ち腕立て伏せでは、主に上部が鍛えられるため、効かせたい部位によって角度を調整をしてください。
腹筋
逆立ち腕立て伏せで腹筋も鍛えることができます。主に効く部位は「腹直筋」「腹斜筋」の2ポイントです。逆立ち腕立て伏せでバランスをとっている時に効きます。腹横筋には負荷が掛からないため、ウエストを細くする目的では期待はしない方が良いでしょう。
逆立ち腕立てのメリット
部位ごとに鍛える通常の自重トレーニングはもちろん「脂肪燃焼」「健康効果」などのメリットがあります。それだけでも十分だとも言えますが、逆立ち腕立て伏せができるようになるだけで、一気に自重トレーニングの世界が変わります。先述した「上半身への負荷が通常よりも高くなる」ということはもちろん、他にも思わぬ副産物として得られるメリットがあるのです。
効率よく鍛えられコストパフォーマンスが高い
逆立ち腕立て伏せでは上半身に高い負荷をかけられます。そのため、ボディビルダーのように身体を大きくすることが目的でなければ、ジムに行くことも器具を使うことも不要です。ちょっとしたスペースがあれば高負荷で鍛えられるため、コストパフォーマンスに優れたトレーニング方法だと言えるでしょう。
探究心がわいて楽しくなる
逆立ち腕立て伏せの鍛え方には、さまざまなバリエーション(種類は後述します)が存在します。次々にできるようになると、“技”として楽しみながら鍛えられます。パフォーマンス要素もあり、ここぞという場面で披露できるため、その点も視野に入れるとモチベーションに繋がるでしょう。
健康効果がある
逆立ちを習慣に取り入れると、さまざまな健康効果も得られます。逆さま状態になることで、加齢とともに下がる内臓を引き上げられ、血流促進効果により体内の疲労物質(乳酸・老廃物)が排出されます。アンチエイジング効果が高く、お肌を綺麗にする効果も見込めるのです。さらに脳に酸素と栄養が行き渡り、脳の活性化や薄毛の改善などの効果も大きなポイントでしょう。
※高血圧や心臓が弱いなどの症状がある方は、悪影響が生じる可能性があるため控えてください。
逆立ち腕立てのデメリット
逆立ち腕立て伏せはメリットが多くおすすめの種目ですが、デメリットも存在します。特殊な姿勢で高い負荷をかけることは普段行わないため、難易度が高くて人によっては危険性もあるトレーニングです。ここではデメリットについて解説していきます。
習得に時間がかかる
逆立ち腕立て伏せは、「上級者の方しかできないトレーニング」とも言えます。運動不足の方はもちろん、初心者の方はおそらく倒立姿勢を10秒保つことも難しいです。まずは通常の自重トレーニングで基礎体力をつけるところから始める必要があるため、長いスパンで向き合う必要があるでしょう。
気分が悪くなる可能性がある
逆立ち腕立て伏せは逆さま状態を数十秒間続けるため、頭に血が上ります。逆立ちを普段行わない方は、慣れない体勢で頭痛や吐き気を催す可能性があります。健康的なメリットが多いと先述しましたが、それはもともと健康体の方に限った話です。そのため肺や心臓などの臓器が弱い方や心配な方は止めるべきでしょう。不安な方は、医師に相談してから検討してみてください。
逆立ち腕立ての種類
逆立ち腕立て伏せ
逆立ち腕立て伏せは、ある程度のトレーニング経験と筋肉量がある方に打って付けのトレーニング方法です。段階的には、まず壁に足をつけて「壁倒立」の状態で腕立て伏せをして、一人でバランスが取れそうになったら足を話して自立します。最もおすすめな方法は、いつでも壁に触れられるほどの距離で逆立ち腕立て伏せをすることです。バランスが取れなくなるとトレーニングが続かないため、すぐに足を付けて調整をしながら行うと追い込みやすいでしょう。
倒立歩行
倒立歩行とは、逆立ち状態になって前後左右に腕の力で歩くことです。手を交互に地面につける度にバランス調整ができるため、倒立姿勢で止まり続けるよりも難易度は低いと言えるでしょう。「手首」「前腕筋」「三角筋」が鍛えられますが、逆立ち腕立て伏せより負荷は低いです。
ショルダータッチ
ショルダータッチは「壁倒立」の状態で、お腹側を壁に向けて行うことが前提です。片方の手を同じ側の肩にタッチして地面に戻し、逆の手も同じようにする流れをひたすら繰り返すことです。「手首」「前腕筋」「三角筋」に負荷がかかり、常に壁で支えられているため追い込みやすいと言えるでしょう。逆立ち腕立て伏せができない間はショルダータッチで力をつけることもおすすめです。
カエル倒立
カエル倒立は、両膝の内側を両肘の上に乗せて止まり続けるトレーニング方法です。逆立ちに慣れている方は割と簡単にできますが、初心者の方は前に倒れてしまう可能性があるため、壁のそばで行うか、前に補助をつけて行なってみてください。鍛えられる部位は「手首」「前腕筋」「上腕三頭筋」「三角筋」「僧帽筋」「広背筋」と広範囲です。カエル倒立状態から身体を持ち上げて倒立姿勢に持っていくこと事で、逆立ち腕立て伏せに近いトレーニングとして成立するため、これもおすすめの方法です。体力がついてきてから、ぜひ挑戦してみてください。
プランシェ
プランシェは「腕立て伏せの姿勢で足を浮かせる」というものです。体操では「上水平」と呼ばれ、一般人の方が習得するには1~3年の期間を要します。倒立姿勢は地面に対して垂直になっていますが、プランシェは地面と平行になるため強い筋力が必要です。正しい姿勢で行えば「三角筋」を中心に「手首」「前腕筋」「上腕三頭筋」「広背筋」「僧帽筋」「腹筋」に負荷が掛かります。難易度は非常に高いですが逆立ち腕立て伏せの最終段階とも言えるでしょう。プランシェには「開脚」「閉脚」がありますが、閉脚は5年スパンで考えた方が良いほど難しいです。閉脚のプランシェ(フルプランシェと呼ばれる)の状態で、さらに腕立て伏せができるようになると凄まじい負荷をかけられるでしょう。
逆立ち腕立てのやり方
逆立ち腕立て伏せのやり方は、非常にシンプルです。
・壁に背中を向ける形で逆立ちをして足を壁につける
・両手を肩幅程度に開いて地面を見る
・腕を曲げて額が地面スレスレの位置に来たら腕を伸ばす
最初はこのやり方で挑戦すると良いのですが、トレーニングの種類を増やすためにも、壁に頼らずに自分でバランスを取れるようにしましょう。少しずつ足を壁につける時間を短くしていき、自分で姿勢を維持するようにしてください。繰り返しているうちに「筋力」とともに「体幹」「バランス能力」もついてくるので、いずれはできるようになります。
逆立ち腕立ての注意点
逆立ち腕立て伏せに挑戦する際に最も注意すべきは、怪我のリスクを最小限に抑えることです。通常の自重トレーニングとは異なり、完全に身体を逆さに倒すため、ボディーコントロールが利きづらい状態になります。そのため「体勢が崩れて倒れる」ということを前提として取り組む方が安全です。これから挙げる注意点を参考にして、怪我や事故の防止に役立ててください。
基礎体力をつけて挑戦する
逆立ち腕立て伏せに挑戦するには、まずは基礎体力をつける必要があります。まずは「1分以上の壁倒立」「50回以上連続で腕立て伏せ」ができるようになるまでは、挑戦しないようにしてください。逆立ちに対応できる体をしっかりと作ってから挑むと、安全に始められます。
マットの上で行う
逆立ち腕立て伏せは、体を支えるだけの腕力(上半身の筋力)がないと、耐えきれずに倒れる危険性があります。頭から落ちると深刻な怪我に繋がりやすいことはもちろん、関節を痛めたり骨折したりする可能性も十分に考えられます。そのため、しっかりと基礎体力をつけてから段階的に練習しましょう。挑戦する際は体操マットやヨガマットなどの柔らかい場所で行なってください。
周りに物がない場所で行う
逆立ちトレーニングを行う前に必ず周りに何もないか確認してから行いましょう。 終了時などの着地が安全に行えます。
逆立ち腕立てで鍛えている映像
実際に逆立ち腕立て伏せで鍛えている映像を、「初心者から始めてできるようになった方」から「逆立ち腕立て伏せを極めている人」まで紹介していきます。
初心者が50日目で逆立ち腕立てに成功
逆立ちができないトレーニング初心者の方が、逆立ち腕立て伏せができるまでの過程を毎日記録した映像です。「絶対的な練習方法の正解はない」ということがわかります。日々のトレーニング内容を参考にしてみてください。モチベーション動画としても楽しめるでしょう。
逆立ちトレーニング講座
逆立ち腕立て伏せに入る前の段階である、逆立ち姿勢の強化トレーニング講座です。映像は英語で解説していますが、見よう見まねで練習できるかと思います。
逆立ち腕立てマスター
逆立ち腕立て伏せのフォームが綺麗な方の映像です。逆立ち腕立て伏せの目標にしてみてください。