初心者におすすめ!胸筋を自重だけで鍛えられる筋トレを部位別に紹介
Aventure編集部
分厚く大きな胸筋は、男らしく逞しい体作りには欠かせません。そんな理想の胸筋は実はジムやマシンがなくても、自宅でできる自重トレーニングで手に入れられます。
本記事では胸筋の各部位やその働き、また部位別のトレーニングメニューや鍛え方のコツを紹介します。「胸をパンプアップして逞しい体を手に入れたい」「自重トレーニングだけで胸筋を大きくしたい」と考えているならぜひ読んでみてください。
胸筋とは?
胸筋は大きく分けて大胸筋と小胸筋の2つの部位から構成されています。
大胸筋
大胸筋は胸にある大きな筋肉で、上部・下部・外側・内側の4つの部位に分けられます。このパートでは各部位について、位置とその働きを解説していきます。
①大胸筋上部
大胸筋上部は、大胸筋のうち鎖骨から始まり腕まで伸びている胸の上側の部位を指します。主に、腕を下から上へ上げる「外転」と呼ばれる動作で使われます。具体的には腕を肩より高く上げたり、背伸びをしたりといった動作です。
この部位を鍛えるメニューは豊富で、鍛えるのも比較的容易なため、最も発達しやすい部位と言われています。
②大胸筋下部
大胸筋下部は、大胸筋のうち腹筋や肋骨に接している胸の下側の部位を指します。主に、腕を上から下へ下ろす「内転」と呼ばれる動作で使われます。具体的には腕を肩より低く下げたり、横に上げた腕を体側に下ろすといった動作です。
大胸筋の中では少し鍛えにくい部位だと言われています。しかしここをしっかり鍛えると筋肉が盛り上がって胸筋と腹筋の境目がはっきりしますので、メリハリのある体を作れます。
③大胸筋外側
大胸筋外側は、腕側についており、大胸筋の輪郭にあたる部位を指します。主に、腕を体の横に広げたり閉じたりする「外水平屈曲」と呼ばれる動作で使われます。
具体的には斜め前に腕を伸ばしたり、ドアを開けたりする動作です。ここを鍛えることで胸筋の輪郭を強調し、存在感のある胸を作ることができます。大胸筋トレーニング全般で鍛えられるため、初心者はまずこの部位の成長を意識して取り組んでみてもいいでしょう。
④大胸筋内側
大胸筋内側は、大胸筋の中心にあたる部位を指します。主に、腕を内側に向ける「内水平屈曲」と呼ばれる動作で使われます。具体的には手を合わせたり、ハグなどの動作です。
使用頻度が低い部位のため、大胸筋内側は外側よりも鍛えにくいと言われています。しかしここを鍛えると胸の中心にくっきりとしたラインができ、大胸筋の見栄えをさらに良くすることができます。
小胸筋
小胸筋とは、肋骨の中ほどから伸びて肩甲骨に繋がっている三角形の筋肉です。
大胸筋外側の下へ埋まるように位置しているインナーマッスルの一つで、あまり目立つ部位ではありませんが、肩甲骨の動きや呼吸を補助する働きをしています。具体的には肩を前に突き出す動きで周辺の関節を安定させたり、息を吸うときに肋骨を引き上げたりします。
この部位を鍛えることで胸が引き上げられハリのある胸筋を作れます。そのほか野球やテニス・バレーボール等、投球の動きがあるスポーツのパフォーマンスがアップするといったメリットも。
大胸筋を鍛えるメリットとは?
このパートでは大胸筋を鍛えるメリットを紹介します。
基礎代謝アップ
どんな部位でも、鍛えることで筋肉量がアップすると基礎代謝が向上します。特に大胸筋は大きな筋肉ですので、鍛えることで増える筋肉量は他の部位よりもずっと多く、基礎代謝を効率よくアップさせることができます。
基礎代謝がアップすれば太りにくく痩せやすい体になりますので、筋肥大だけでなくダイエット効果も期待したいトレーニーには大胸筋トレーニングがおすすめです。大胸筋全体をバランスよく鍛えることでさらに高い効果が得られるでしょう。
スタイルアップ
大胸筋を鍛えることで手に入る分厚い胸板と逆三角形のシルエットは男性なら誰もが憧れる理想の体型でしょう。
盛り上がった大きな胸筋にはTシャツやスーツはもちろん、どんな服も映えます。また、胸筋がしっかり鍛えられていれば胸筋と腹筋の境目がくっきりとついたメリハリのある体に仕上がるため、服を着ているときだけでなく、脱いだときも違いをアピールできる体を作れます。
筋トレの質向上
大胸筋は上腕三頭筋・上腕二頭筋・三角筋といった肩や腕周りの筋肉を鍛えるトレーニングでも使われているため、大胸筋を鍛えることで、自動的に他の部位を鍛えるトレーニングのパフォーマンスも底上げされます。
また、大胸筋のトレーニング自体も大胸筋だけではなく付随する腕や肩といった部位を動員します。腕や肩のトレーニングのパフォーマンスが伸びないと悩んでいる人は、ひとまず大胸筋を鍛えてみるのもいいですね。
成果が出やすい
男性の胸は女性と違って脂肪がつきにくく、比較的がっしりしているため大胸筋トレーニングの効果が出やすい傾向にあります。
腹筋のシックスパックは、腹周りの脂肪を落として体の表面に浮かび上がらせるまでに時間がかかりますが、脂肪の少ない胸筋は発達した筋肉が体の表面に現れやすく、目に見える成果がスピーディーに得られます。
頑張って筋トレに取り組んでいても、その変化が見えづらいと継続することは難しいでしょう。筋トレのモチベーションアップのためにも、他のトレーニングと並行して大胸筋トレーニングを行うことをおすすめします。
【目的別】自重トレの回数
筋肥大が目的なら1セット10回、ダイエット目的なら1セット20回を目安に取り組みましょう。
【部位別】大胸筋の自重筋トレメニュー
それぞれの部位は異なる動きで動員されるため、部位ごとに別々の種目でアプローチします。
ノーマルプッシュアップ(大胸筋全体)
The Perfect Push Up | Do it right!
ノーマルプッシュアップは大胸筋全体を鍛えられる最もオーソドックスなトレーニングです。
体を下ろすときはゆっくりと、上げるときは素早い動きで行いましょう。
<ノーマルプッシュアップのやり方>
1.腕を肩幅より拳2つ分ほど広く取って床につきます
2.頭から足先までが真っ直ぐ一直線になるよう足を伸ばし、つま先で体を支えます
3.肘を曲げて胸を床につけるイメージで体を下ろします
4.床ギリギリのところまできたら肘を伸ばして元の位置に戻ります
<セット数>
10〜15回×3セット
<コツ>
・腰を落としたり背中を反らせない
・顔を前に向けて行う
・呼吸を止めない
ワイドプッシュアップ(大胸筋上部・下部・外側・小胸筋)
ワイドプッシュアップでは大胸筋上部・下部・外側に加えて小胸筋を鍛えられます。
通常のプッシュアップよりも広い手幅で行うため、肘が外に開きすぎないよう注意しましょう。
<ワイドプッシュアップのやり方>
1.腕を肩幅の2倍ほど広く取って床につきます
2.頭から足先までが真っ直ぐ一直線になるよう足を伸ばし、つま先で体を支えます
3.肘を90度になるよう曲げて胸を床につけるイメージで体を下ろします
4.床ギリギリのところまできたら肘を伸ばして元の位置に戻ります
<セット数>
10〜15回×3セット
<コツ>
・腹筋に力を入れ、体幹を安定させる
・肘が開いてしまうときは右手の中指を2時の方向へ、左手の中指を10時の方向へ向けて手をつく
・呼吸を止めない
ダイヤモンドプッシュアップ(大胸筋内側)
ダイヤモンドプッシュアップは大胸筋内側に強い刺激を与えられるトレーニングです。
床についた両手の親指と人差し指でダイヤモンドのマークを作ってプッシュアップを行います。
<ワイドプッシュアップのやり方>
1.両手を床につき、親指と人差し指でダイヤモンドのマーク(◇)を作ります
3.頭から足先までが真っ直ぐ一直線になるよう足を伸ばし、つま先で体を支えます
3.肘を曲げて胸を床につけるイメージで体を下ろします
4.床ギリギリのところまできたら肘を伸ばして元の位置に戻ります
<セット数>
10〜15回×3セット
<コツ>
・脇を締め、肩がすくまないように行う
・体を上げるときは胸を絞るように筋肉を収縮させる
・呼吸を止めない
インクラインプッシュアップ(大胸筋上部・下部)
インクラインプッシュアップは大胸筋上部・下部を鍛えられるトレーニングです。
台や椅子など高さのあるものに手をついて斜めの体勢で行います。
体の角度で負荷を調整できますので、自分に合った負荷で取り組んでみましょう。
<インクラインプッシュアップのやり方>
1.台や椅子・ベンチなど高さのあるものの上に両手をつきます
2.腕は肩幅より拳2つ分ほど広く取ります
3.頭から足先までが真っ直ぐ一直線になるよう足を伸ばし、つま先で体を支えます
4.肘を曲げて胸を座面につけるイメージで体を下ろします
5.座面ギリギリのところまできたら肘を伸ばして元の位置に戻ります
<セット数>
10〜15回×3セット
<コツ>
・真っすぐの姿勢を保つ
・爪先を揃える
・呼吸を止めない
デクラインプッシュアップ(大胸筋上部・下部・外側)
デクラインプッシュアップは大胸筋上部・下部・外側を鍛えられるトレーニングです。
台や椅子など高さのあるものに足を置いて斜め下を向く体勢で行います。
通常のプッシュアップに比べて負荷が大きいため、角度をつけすぎてフォームが崩れたり関節や筋肉を痛めたりしないようにしましょう。
<デクラインプッシュアップのやり方>
1.台や椅子・ベンチなど高さのあるものの上に両足を置きます
2.腕は肩幅より拳2つ分ほど広く取って床につきます
3.頭から足先までが真っ直ぐ一直線になるよう足を伸ばし、つま先で体を支えます
4.肘を曲げて胸を床につけるイメージで体を下ろします
5.床ギリギリのところまできたら肘を伸ばして元の位置に戻ります
<セット数>
10〜15回×3セット
<コツ>
・顔を上げ、体は真っすぐの姿勢を保つ
・体を真下に下ろすよう意識する
・体を下ろすときはゆっくり、上げるときは素早く動く
ディップス(大胸筋下部・小胸筋)
ディップスは大胸筋下部と小胸筋を鍛えられる高強度のトレーニングです。
通常はディップスバーを使って取り組みますが、器具がない場合は椅子を使っても構いません。
椅子を使う場合は、動いたり倒れたりしないようにしっかりと固定しておきましょう。
<ディップスのやり方>
1.椅子を左右に一脚ずつ用意します
2.指を外側に向けて椅子の背に手を置きます
3.膝は少し曲げて両足をクロスさせます
4.上体をやや前傾させ、肘を曲げてゆっくりと体を下ろしていきます
5.90度になるところまで曲げたら、肘を伸ばして元の位置に戻ります
<セット数>
10回×3セット
<コツ>
・姿勢は真っすぐのままで、やや前傾姿勢をとる
・膝は腰より上には上げない
・動作はゆっくりと行う
効果アップのコツ
このパートでは大胸筋のトレーニングメニューを効果的に行うコツについて解説します。
正しい姿勢・フォームで行う
鍛えたい部位にしっかりアプローチし、効果的に鍛えるためには正しい姿勢とフォームで行うことが大事です。
フォームが誤っていると、鍛えたい部位が鍛えられないばかりか関節や筋を痛めたり、怪我の元になったりします。
特に負荷の高いメニューに挑戦するときは終盤にかけてフォームが崩れやすくなるため注意しましょう。
鍛えたい部位を意識する
動作中は常に鍛えたい部位にきちんと刺激が入っているかを意識するようにしましょう。
どの部位にどんな刺激が入っているか、どんな効果があるかを理解して行うことで、筋トレ効果はさらにアップします。
「効いているかどうか分かりづらい」「効果部位が意識できていない」という人は動作をゆっくりにしてみると筋肉への刺激を感じやすくなりますので、ぜひ試してみてください。
反動をつけずにゆっくり行う
体にかかる負荷が大きすぎたり、疲れてくるとその状況から早く抜け出そうとして反動を使った動作になりがちです。
しかし反動を使ってしまうと筋トレ効果が半減するばかりか怪我の原因になる恐れも。
筋肉はゆっくり動かすことで刺激を与えられ、効率的な筋肥大に繋がります。
もしどうしても反動を使ってしまう人は、負荷を下げたり回数を減らしたりして取り組んでみましょう。
休息日を設け、超回復を促す
効率的な筋肥大を目指すなら、毎日トレーニングを行うべきではありません。逆のように思えるかもしれませんが、筋肉は筋トレで負荷を与えられ破壊された筋線維が修復されることで筋肥大を起こします。
この現象を『超回復』と呼びますが、筋肥大は筋トレをしたそのときではなく、その後の超回復期間によって促されます。
超回復期間は部位によって異なり、大胸筋の場合は72時間(3日間)と言われています。
筋肥大を狙うなら、しっかりと負荷をかけて筋トレをした後には休息日を設けて筋肉を回復させましょう。
複数のメニューを組み合わせて行う
同じメニューだけを繰り返し行うよりも、様々なメニューを組み合わせて異なる部位を鍛えたり、アプローチを変えたりすることで、筋トレの効果はアップします。
特に胸筋は複数の部位に分かれていますので、それぞれ違う角度から刺激を与えて鍛えることでバランスよく形の良い大胸筋を作れます。
また、いくつものメニューを並行して取り入れることで筋トレのマンネリ防止にも繋がるでしょう。
自重トレーニングのデメリット
このパートでは自重トレーニングのデメリットを解説します。
一つの部位だけを鍛えることはできない
自重トレーニングではマシントレーニングと異なり、基本的にひとつの部位だけに絞って負荷をかけることができません。
例えば、プッシュアップなら大胸筋だけでなく三角筋や上腕三頭筋にも刺激が入るため、大胸筋だけに全ての負荷をかけて鍛えることができないデメリットがあります。
負荷を調整できない
自重トレーニングでは、マシンや器具を使ったトレーニングのように細かく負荷を調整することができません。
プッシュアップなら足を台に載せたり、膝をついたりといった方法で負荷を調整します。
負荷の微調整は、自分の感覚を頼りに行うしかありません。
自分の体重以上の負荷をかけられない
自重トレーニングは、自分の体重を利用したウェイトトレーニングです。
そのため、自分の体重以上の負荷はかけられません。
もちろん負荷が自重だけでも筋肥大効果はありますが、ある程度筋力のついている人や、より短期間で効率良く筋肥大を目指したいという人なら物足りなく感じることもあるでしょう。
もし自重では負荷が足りないと感じた時は、器具やマシンなど自重以上の負荷を扱えるトレーニングへの移行をおすすめします。
モチベーションが維持しづらい
自重トレーニングは、基本的に器具やマシンがなくても体一つで実践できるため、いつでもどこでも手軽にできるといったメリットがあります。
しかし、いつでもどこでもできる分、さぼるのも簡単です。
特に自宅トレーニングではトレーナーがつくジムトレーニングに比べて、モチベーションが保ちにくい人もいるでしょう。
自重トレを継続させるためには毎日決まった時間にトレーニングを行ったり、トレーニングの成果を記録したりなどして、モチベーションを維持する工夫が必要です。
大胸筋を育てるためには栄養補給も忘れずに
大胸筋を育てるためには、筋肉のもととなる栄養を補給することも重要です。成長に必要な栄養が足りなくては、いくら筋トレを行ったとしても筋肉が疲労するばかりで肥大しません。
肉や魚に含まれるタンパク質を中心に、炭水化物・ビタミン・ミネラルなどの栄養も摂取しバランスの良い食事を心掛けましょう。プロテインやサプリメントを活用してもいいですね。