減量期にかかる期間の目安は?炭水化物は摂ってもいい?食事法も解説
Aventure編集部
バルクアップを目指す人なら「減量期」という言葉を一度は聞いたことがあるはず。
単なるダイエットと違い、体重を落としつつ筋肉を維持する期間を指しますが、減量期は取り組む期間を定め、食べるものや筋トレの内容にも気をつけなくてはいけません。この記事では、減量に必要な期間の目安や摂るべき食品、食事法や運動の取り入れ方などを解説します。
初めて減量期に挑戦するという人や、自己流で減量をしてみたが上手くいかなかった、無理なく減量してみたいという人はぜひ参考にしてみてください。
減量期とは?
減量期とは、筋肉量を維持したまま脂肪だけを落としていく期間を言います。摂取カロリーを減らして筋トレを行い、体重と脂肪を落とします。
摂取カロリーを増やして体重と筋肉を増やす「増量期」とは正反対のことを行います。減量期の考え方はダイエットに似ていますが、体重を落としても筋肉を落とさないようにするという点では、ダイエット以上に食事や運動に対する配慮が必要です。
なぜ増量期と減量期を分ける必要があるのか?
増量期は体重と筋肉を増やすための期間で、減量期は筋肉を維持しつつ体重と脂肪を落としていく期間です。なぜ増量期と減量期を分ける必要があるのでしょうか。
まず、大前提として筋肉を増やしつつ脂肪を減らすことはできません。筋肉をつけるためにはオーバーカロリー(摂取カロリー>消費カロリーの状態)の食事をしなくてはいけませんが、そうするとどうしても体に脂肪がついてしまいます。筋肉を増やそうと思うと、同時に脂肪もある程度増えてしまうのは仕方のないことなのです。
また、減量期にはアンダーカロリー(摂取カロリー<消費カロリーの状態)を維持しなくてはいけませんが、この状態のとき筋肉量は維持することしかできません。そのため、増量期で筋肉と脂肪が増えたら減量期で筋肉量を維持しつつ脂肪を減らすといったように思い切って二つの期間を分けてしまい、それぞれに集中する時期が必要なのです。
減量期期間の目安
減量期間の目安については諸説ありますが、一般には増量期の2倍の時間をかけてゆっくり減量すると良いと言われています。
増量に2ヶ月かけたのなら減量は4ヶ月を目安にします。特に、減量初心者の方が短期間で急激に減量期を終わらせようとすると、体調に異常をきたす恐れがあるためです。
しかし別の説として減量期が長過ぎることもあまり良くないと言われています。
減量の期間中はアンダーカロリーの状態が恒常的に続くので、その中で筋肉量を維持し続けるのは難しく、筋肉減少のリスクがあるためです。
もし減量を短期間で抑えられれば、その分筋肉が減少するリスクを抑えられるうえ、増量期に素早く戻れるメリットも。
この場合は、減量期を短く抑えられるよう普段から節制した生活を送るようにしておくなどの工夫が必要です。
自分の体調や経験に応じて、適する方法を選びましょう。
減量期に入るタイミング
減量期に入るタイミングは、増量期でしっかりと筋肉と脂肪をつけたあとです。脂肪も筋肉もついていない細身の体の人にはおすすめできません。
減量期に入るタイミングを測る基準としては体脂肪があります。体脂肪が15〜20%まで増えたら減量期に入るタイミングと思って良いでしょう。
逆に、体脂肪が10〜15%までに下がって「これ以上脂肪が落ちない」というところまできたら、増量期に切り替えるタイミングです。
減量期を成功させるポイントは?
減量期において最も大切なのが食事制限です。
基本的にはカロリーの摂取を抑えて脂肪を減らしていくことになりますが、筋肉量は維持しなくてはならないため、低カロリー・高タンパクの食事を心がけます。
また、脂質・糖質もカロリーの元となるため摂取量を減らしていくことになりますが、制限しすぎると今度は筋力を維持できなくなってしまうため、必要量は取らなくてはいけません。
タンパク質の摂取
減量期は増量期以上にタンパク質をしっかり摂取しなくてはいけません。
体内で筋肉は常に分解・合成を繰り返しており、筋肉の合成に必要なタンパク質を摂取できていないとせっかく身につけた筋肉が分解され減ってしまいます。減量期には増量期以上にタンパク質の摂取量に気を使いましょう。
摂取量の目安は【目標体重×2〜3g】です。
食事から摂取するのが最も望ましいですが、どうしても難しいようであればプロテインやサプリメントも併用しましょう。
運動
減量期でも筋肉量を維持するため、増量期と同じ負荷・回数で筋トレを行います。
減量期はアンダーカロリーの状態なので、パワーが落ちやすい傾向にありますが、ここで筋トレの強度を落としてしまうと、増量期に蓄えた筋肉が維持できなくなってしまいます。
減量期には、増量期につけた筋肉を維持するため、増量期に扱っていた最大重量での筋トレを継続します。
ただ、減量期には脂肪が減っているため、同じ強度の筋トレを行っていても関節を痛めやすい状態です。筋トレを行う際は以下のことに気をつけましょう。
・正しいフォームを心がける
・(どうしても苦しければ)重量は変えずにセット数を減らす
・重量やセット数は変えずにインターバルを増やす
また、筋トレと並行して脂肪を落とすための有酸素運動も取り入れましょう。有酸素運動は筋トレの後に20分以上継続して行うのが理想です。
減量期の食事法
このパートでは減量期の食事について詳しく解説します。
低カロリーでも栄養バランスのよい食事を
先述したように、減量期にはカロリーを制限しアンダーカロリー(摂取カロリー<消費カロリー)の状態を保つ必要があります。
しかし、このときでもカロリーは減らしつつも栄養バランスを意識した食事をしましょう。
栄養バランスが偏った食事で減量をすると健康を害したり、かえって脂肪が落ちにくくなったり筋肉が維持できなくなったりといった弊害が生まれます。
減量期の食事では以下のことに注意しましょう。
・摂取カロリーは基礎代謝以下にしない
・PFCバランスを意識する
PFCバランスとは、タンパク質(Protein)/脂質(Fat)/炭水化物(Carbohydrate)の3つの栄養素の摂取比率のことです。このバランスを意識した食事を摂ることで、筋肉を維持したまま健康的な減量を行えます。
以下の数値を参考にして、減量期の食事メニューを組み立てていきましょう。
・摂取カロリー:目標体重×20〜25kcal
・タンパク質:目標体重×2〜3g
・脂質:摂取カロリーの20〜25%
・炭水化物:残りのカロリー分
高タンパク食品を摂取
減量期に筋肉を維持し続けるためには高タンパク食品の摂取が欠かせません。
特に、低カロリー・高タンパクの食品を選んでメニューに取り入れるようにしましょう。先述したとおり、1日あたりのタンパク質の摂取目安は【目標体重×2〜3g】です。増量期よりも気持ち多く摂取しましょう。
減量期におすすめの食品を以下にいくつか紹介します。
・肉(牛や豚の赤身肉・鶏ムネ肉・鶏ササミ)
・卵
・大豆食品(豆腐・納豆・豆乳)
・ナッツ類
・魚介類(マグロ・アジ・イワシ・サケ・イカ・エビ・タコなど)
・乳製品(ヨーグルト・モッツアレラ、カッテージチーズなど)
・野菜類(ホウレン草・ブロッコリー・枝豆など)
炭水化物・脂質を減らしすぎない
減量と言うと、真っ先に「カロリーの高い炭水化物・脂質の摂取量を減らさなくては」と考えてしまいますが、減らし過ぎもよくありません。
特に、炭水化物は減らしすぎるとトレーニング時の出力が落ちてしまい、筋力の維持が難しくなります。炭水化物はタンパク質の吸収や脂肪の代謝にも使われるため、減量期であっても摂取しなくてはならない栄養素の一つなのです。
また、脂質については良質なものを選んで摂るようにしましょう。料理に使うときはサラダ油ではなく、オリーブオイルやココナッツオイル、アマニ油に変えます。食事のメニューも唐揚げや天ぷらといった揚げ物は避けるようにしてください。
低GI食品を選ぶ
減量期のメニューには低GI食品も取り入れましょう。
GI値とは「グリセミック・インデックス」の略で、食後の血糖値の上がりやすさを示した値です。
例えば、食事の際に白米やパンなどの高GI食品を摂ると、血糖値が急上昇します。
そうすると血中の糖分を分解するためインスリンが多量に分泌され、血糖値はぐっと下降します。
しかし、インスリンの作用にはこのほか、脂肪の合成や脂肪の分解を抑えて蓄積しやすくするといったものがあり、高GIの食事を摂り続けることは肥満や糖尿病のリスクに繋がるのです。そのため、減量期には低GI食品を選んで摂るようにし、血糖値の上昇を緩やかにしインスリンの急激な分泌を抑える必要があります。
低GI食品には以下の食品が挙げられます。
・そば
・玄米
・スパゲティ(全粒粉)
・オートミール
・ライ麦パン
・大豆食品
・きのこ類
・葉野菜・ブロッコリー
・チーズ・ヨーグルト
食事の回数を増やす
減量期でも食事の回数を増やしましょう。
食事の回数を増やすと言っても1日の摂取カロリーは増やさず、1回あたりの食事量を減らして間食を取り入れるなどこまめに食事を摂るようにします。
食事の回数を増やす目的は、空腹状態を避けることです。空腹状態で筋トレを行うと、筋肉の修復が間に合わなかったり、体内のタンパク質が足りず筋肉が分解されてしまいます。
また空腹時、急に食事を摂ると血糖値が上がりやすくインスリンが過剰に分泌されてしまう恐れも。減量期は1日3食に加えて間食を挟むよう意識しましょう。間食には食べやすいプロテインバーやゆで卵、チーズ、ナッツなどがおすすめです。
減量は無理のないペースで
減量は無理のないペースで行いましょう。急激な体重減少は体への負担が大きく、体調不良やリバウンドを招く可能性もあります。では、初心者はどの程度のペースで減量を進めるべきでしょうか?
初心者は1ヶ月2kg〜減量ペース
筋肉を減らさずに減量できる最速のペースは週当たり体重の0.5〜1%と言われています。体重60kgの男性なら月3〜6kgといったところでしょうか。
これ以上速いペースで体重を減少させようとすると、筋肉も一緒に落ちてしまったり、基礎代謝が落ちて痩せにくくなってしまいます。
また、減量初心者のうちは無理のないペースで行うためにも、まずは低めの目標として「月あたりマイナス2kg」の減量をおすすめします。
よほど体脂肪率の高い人でない限りは、月4kg(週当たり1kg)以上のペースで減量を進めると、体に疲労感を感じ仕事や日常生活に支障がでる恐れもあるでしょう。
体脂肪1kgを消費するのに必要なカロリーは約7,200kcalで、月2kg減らすとなると14,400kcalです。
これを1日当たりに均すと、毎日約480kcal(ご飯約0.9合分)を減らす計算になります。
これはご飯なら約1合、パスタ(和風)やラーメン(塩・醤油)なら1食分相当です。
減量が停滞したときは?
減量を始めてすぐの頃は体重は順調に落ちていきますが、ある時突然ぴたりと体重減少が止まってしまうことがあります。これを停滞期といいます。
人間の体には変化を嫌い、体の環境を一定に保とうとする「恒常性」があり、急激な体重の減少が起こると、体は危機を感じて基礎代謝を下げ、体重減少を止めようとしてしまうのです。では、この停滞期に入ったらどうすればよいのでしょうか?
停滞期を脱する方法を以下の項でいくつか紹介します。ここで紹介する方法は全て一度には行わず、ひとつずつ試しながら停滞期を乗り越えるようにしましょう。
食事の見直し
まずは食事内容を見直します。
嗜好品は摂っていないか、摂取している脂質や炭水化物のうち、減らせるものがないかを見直します。ある程度の期間減量を続けていると、中だるみしてしまうこともあるでしょう。停滞期は、再度気を引き締めて減量に取り組むきっかけにもなるはずです。
有酸素運動
筋トレに加えて、有酸素運動を行いましょう。有酸素運動には抜群の脂肪燃焼効果があるため、20分程度を目安に取り入れることをおすすめします。
ウォーキング、ランニング、縄跳びなど続けやすいものがいいでしょう。ジムに通っているなら全身運動となるスイミングもうってつけです。
チートデイを取り入れる
チートデイとは、週に1回だけ高カロリーの食事を摂取する日を設ける方法です。低カロリーの食事に適応して基礎代謝の落ちた体に対し、高カロリーの食事を与えることによって、基礎代謝を引き上げ減量を促進する効果があります。
また、節制で溜まったストレスを発散させるといった意味でも効果的です。
停滞期に入ったらチートデイを週に1回程度、定期的に取り入れてみましょう。減量が上手くいったらチートデイの間隔を2週間に1回、3週間に1回と伸ばしていきます。
減量期を正しく取り入れて減量を成功させよう
減量期はただのダイエット期間ではありません。食事制限で脂肪を落としつつ、筋トレで筋肉を維持するための期間です。ただ体重を落とせば良いわけではなく、カロリーを抑えつつ必要な栄養素は摂取するなど、食べるものや食べ方、タイミングなど綿密な計画立てが必要です。
本記事を参考に減量期を正しく取り入れ、減量を成功に導きましょう。