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注目を集める「MMT(現代貨幣論)」をわかりやすく解説、手持ちの資産はどうなるのか?

Aventure編集部

政治家や経営者の間でMMT(現代貨幣論)がしきりに議論されるようになりました。MMTとは、ジャパニフィケーションと呼ばれる低インフレ、低成長、低金利に苦しむ日本のような国においては、大胆な財政出動によって景気を刺激するべきだというものです。大幅な財政赤字は金利の急上昇を招いて経済に混乱をもたらす。その常識とは真逆の発想です。MMTはインフレ効果が期待でき、社会保障制度やインフラの充実が望めるという夢のような経済理論です。しかし、国債を無限に発行すれば財政破綻を招くことも考えられます。MMTは本当の国を救うのでしょうか。それによって個人が保有する資産が暴落することはないのでしょうか。この記事はMMTを徹底的に解説する内容です。


MMTの概要と基礎的な考え方

 

 
 
 
 
 
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MMTは「Modern Monetary Theory」の略語で、日本語に訳すと「現代金融理論」です。アメリカの経済学者でニューヨーク州立大学ストー二ーブルック校の教授であるステファニー・ケルトンが主な提唱者です。

MMTの考え方は非常に単純です。政府がいくら自国通貨建ての国債を発行しても、決して財政破綻をすることはなく、財政出動によって景気を刺激し続けることができるというものです。つまり、日本のように長期の不況にあえぐ国は、国債発行残高を気にすることなく積極的に財政出動するべきだと説きます。

これまでの経済学の通説は、財政赤字の拡大が金利の上昇を招き、民間企業の投資を抑制してしまうため、財政の健全化が重要としてきました。MMTはその経済学の常識と真っ向から対立する新たな考え方です。

身の丈に合わない多額の借金をしている日本

 

 
 
 
 
 
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MMT理論が正しいことを裏付けるものとして、よく日本が引き合いに出されます。2021年の日本の借金は1,200兆円を上回っています。財政赤字額が最も多い国はアメリカで2,000兆円を上回っています。日本が特異なのは、対GDP比でみた場合に借金の額が230%を上回っていることです。アメリカは109%ほど。すなわち、アメリカの財政赤字額が巨額であることは間違いありませんが、その借金に見合うだけの返済能力を有していることになります。しかし、日本は対GDP比の借金額は世界一で、返済能力があるのか疑わしいということになります。事実、2020年6月に格付け会社S&Pは日本国債を従来のポジティブ(強含み)からステーブル(安定的)に引き下げました。

ところが、10年もの日本国債の利回りは0.07%で極めて安定的に推移しています。かつてギリシャの財政破綻が囁かれ、ユーロからの離脱が懸念されていた時期がありました。そのときのギリシャ国債の利回りは45%まで上昇しました。国債などの債券は、破綻危機が訪れると債券価格そのものが急降下し、利回りが異常な水準まで上がります。ギリシャは破綻を免れ、ECB(欧州中央銀行)が救済しました。それによって現在のギリシャ国債の利回りは1%程度です。
不況から抜け出すことのできない日本が、多額の借金を抱えているにも関わらず無風状態でいられる。この事実こそがMMT理論の正しさを証明しているというのです。

日本が財政破綻しない理由

 

 
 
 
 
 
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ギリシャと日本では大きな違いが一つあります。自国通貨建ての国債を発行できるかどうかです。日本は円建ての国債を発行できますが、ユーロに加盟するギリシャは独自通貨の国債を発行することができません。ギリシャはかつて流通していたドラクマを撤廃し、EU加盟国で流通するユーロを採用したからです。ここが一番のポイントです。

ギリシャがユーロ建ての国債を返済するためには、財政黒字を達成して返済するしかありません。しかし、日本はすべて自国通貨建ての国債を発行しているため、自国通貨を発行して借金を返済すれば良いということになります。

ペソという自国通貨を発行するアルゼンチンはデフォルトを何度も起こしている、経済通はそのように考えるでしょう。事実、2020年4月に格付け会社がアルゼンチン国債を「デフォルト状態」に次々と格下げしました。新型コロナウイルス感染拡大の影響でエネルギーや観光業などに深刻な影響が出たため、債務の一部を返済することができなくなったためです。

しかし、アルゼンチンがデフォルトを起こしているのは外貨建て国債です。アルゼンチンは手持ちの外貨が少なく、インフレ率が高い傾向があります。そのため、自国通貨建ての国債を高金利で発行しなければなりません。自国通貨を発行し続けて国債の返済に充当した場合、通貨が信用力を失ってハイパーインフレに陥ってしまいます。

一方、日本の外貨準備は2020年11月の時点で1兆3,846億ドルに達しています。これは中国に次いで世界第2位の水準です。もし、日本の国債が大暴落することになった場合、円も暴落します。大量のドルを売って暴落した円を買い集め、国債の返済に充当することができます。


MMT理論が国債を廃止せよと叫ぶ理由

自国通貨の発行機能を持つ日本のような国においては、国債をいくらでも出せることの説明がつきました。

実はMMTの主張の中には国債廃止論があります。現状は国債を発行して資金を調達し、高速道路などの建設に投じます。これを実物資源を民間から徴収し、通貨を発行して支払いを済ませ、後に税金として国民から徴収する。このような流れに変えるのが国債廃止論です。MMT理論における国債は、借金をする建前を作って体裁を整えるものであり、中央銀行が政府を監視するために行っている足かせに過ぎないとしています。

政府予算は収入とは関係なく通貨発行によって決められます。このままだと政府が際限なく通貨を発行してしまうため、過度なインフレが起こります。そのため、政府は市場に流れた通貨を吸収しなければなりません。吸い上げる役割を果たすのが税金です。通貨発行量と税による徴収額が一定であれば、理論的には通貨の流通量がつりあいます。つまりインフレが起こりようもないということです。現在の日本のようにデフレで賃金水準が低いのであれば、政府支出を増やして通貨の流通量を増やせば解決します。賃金水準を満たすだけの仕事を政府主導で生み出すことができるためです。


MMTのメリット

 

 
 
 
 
 
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MMT論者が提唱する経済システムを確立した場合、大きく3つのメリットがあると考えられます。

雇用の促進

MMTでは就業保証プログラムを提唱しています。これをJGPと呼びます。政府が最低賃金を決めて労働者を直接雇用し、失業者が出ないようにするシステムです。

政府は公共工事などに対して、自由に支出することができます。理論上は不況が存在しません。JGPは最低賃金で雇用することが条件となっており、景気が好転して民間企業の賃金水準が上がれば、労働者は自動的に政府のもとから離れて民間へ移ります。

日本は賃金水準を上げることに腐心していますが、このプログラムを取り入れると、自動的に賃金水準が固定されます。民間企業の賃金が下がり続けた場合、労働者は政府のもとへと駆け込みます。労働者が集まらなければ、企業は賃金水準を上げて人を雇うしかありません。就業保証プログラムは雇用を促進するだけでなく、賃金水準を保つ役割も持っています。

インフラの拡充

財源を気にせず公共工事に費用を投じることができます。リニアモーターカーの建設予算として3兆円が投じられていますが、工事は遅々として進んでおらず、資金不足に陥っていると言われています。追加の予算が必要になったとしても、すぐに調達できるわけではありません。リニアモーターカーを稼働させることにより、本当にその金額を返済できるかわからないからです。

しかし、通貨を自由に発行できるのであれば、必要な予算を素早く確保することができます。工事のスピードも上がり、完成時期は早まるかもしれません。

新たな技術が誕生しても社会生活に活かすには時間がかかります。その障害の一つが予算問題です。政府が素早く財源を確保できれば、太陽光発電、電気自動車、自動運転など、将来的に役立つ技術をいち早く取り入れることができるでしょう。

社会保障制度

日本が抱えている根源的な問題に少子高齢化社会があります。日本は多額の年金や医療費を高齢者のために支払う必要があり、原理的には働ける世代の若者がその分を負担しているという図式です。しかし、高齢化社会によって若者だけでは支えきれず、国債発行で社会保障制度を支えているのが実際の姿です。

本来、現役世代に子育て給付金や待機児童ゼロ問題を解決する予算に回し、働きやすい社会を作ることが重要です。しかし、投票率が高い高齢者を手厚くしているのです。政府は働く世代への支出を増やすことができます。


MMTのデメリット

 

 
 
 
 
 
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政府は国債発行額に足をとられることなく、失業率や物価上昇率に応じて公共工事のプロジェクト量を増やしたり、減らしたりすることで景気を調整する。この考え方は合理的で何の問題もないように見えます。
しかし、一番の懸念点が過度のインフレ。ハイパーインフレです。

ハイパーインフレ

日本銀行の黒田総裁はMMTに対して、極端なインフレを招く恐れがあるとコメントしています。MMT理論は不景気の間は通貨を発行し、公共工事を増やして雇用を促進するというものでした。逆に好景気になれば通貨の流通量を抑制するというものです。ポイントは不景気のときに通貨を自由に発行できるということです。

政治の人気を左右する一番の要因は経済であり、景気です。安倍政権が長期政権で安定していた背景には、アベノミクスという大胆な金融緩和策、それによる株価の上昇がありました。政府が通貨の発行量をコントロールできるようになると、基本的には人気をとるために通貨を増やそうとします。増やしすぎれば当然インフレになります。場合によってはコントロールが効かずにハイパーインフレになる恐れがあります。

MMT理論は「インフレにならない限り」このシステムは問題ないという大前提があります。しかし、インフレは簡単に制御できるものではありません。これは歴史が物語っています。


ハイパーインフレを引き起こした事例

 

 
 
 
 
 
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旧ソ連が崩壊して計画経済から市場経済に移行し始めた1992年、物価上昇率は2508%となり、歴史的なインフレに見舞われました。旧ソ連は生産や分配、金融を国家が計画的に制御していました。それが自由経済へと移行したため、経済が混乱したのです。

旧ソ連は軍事費を拡大するために大量の国債を発行しており、財政赤字が続いていました。このとき通貨の発行量が過剰気味になっていたのです。物資は国有企業が制御していましたが、それが民間に渡ると不当に儲けようとする心理が働きます。通貨量が過剰だったところに自由経済が導入されたため、ハイパーインフレとなりました。
ロシアは無計画に市場経済を取り入れたわけではありません。慎重な判断を重ねた結果でした。それでもインフレを制御することはできなかったのです。

ハイパーインフレに見舞われると現金の価値が著しく下がるため、資産価値を失うことになります。預金は貯蓄の意味を失います。企業が活動している限り、株式や債券は保有していた方が良いでしょう。特に電気、ガス、食品などの生活必需品に関わる企業は、急激な市況の変化でも倒産する可能性が低く、安全性は高いと考えられます。

ハイパーインフレ時に最も有効な資産は金です。金は外貨に変えやすく、本質的な価値が変わらないため、安全資産として有効です。


中立的な立場で解釈するのが妥当

MMTはデフレを脱却する切り札として、政治家や経営者を中心に取り沙汰されるようになりました。一見すると夢のような経済理論ですが、インフレという経済最大の危機もはらんでいます。とんでも理論と呼ばれる理由はそこです。MMTが正しいかどうかはさておき、デフレから脱却できない日本ではしきりに議論されることは間違いありません。事実、この理論を盾として積極的な財政出動を進言する山本太郎議員率いるれいわ新選組は、2021年11月の選挙で3議席を獲得する大躍進を遂げました。

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