広告で頻繁に目にするようになった「個人向け国債」とは? メリット・デメリットを解説
Aventure編集部
資産形成をする上で分散投資をするのは基本中の基本です。新型コロナウイルス感染拡大以降、米国を中心にインフレ気味となっており、FOMCは緩和縮小を示唆しています。先行き不透明な時代であれば、それだけ分散投資の意義は高まります。大盤振る舞いとも言える世界的な金融緩和下で株式・不動産への投資を加速した人も多いでしょう。そのリスクヘッジとして個人向け国債は大いに役立ちます。この記事では、日本の個人向け国債のメリットやデメリット、投資利回り、特徴を解説します。
なぜ、いま個人向け国債なのか?
2022年の株式市場は軟調な幕開けとなりました。FRBが急速なインフレに反応し、ブレイナード理事は1月13日にテーパリング(量的緩和の縮小)が終了したら、利上げを開始できる体制にあるとの認識を示しました。金利の上昇は企業の利益を圧迫する要因となります。FRBの動きを警戒してナスダックは13日に前日比2.5%安となりました。
それを受ける形で日本の株式市場も弱含んでいます。特に新興株市場が冴えません。1月14日はマザーズ、ジャスダックともに続落。マザーズは連日3%超の下落が続いています。また、米国市場でグロース株が売られた流れを受け、リクルートやキーエンスなど主力銘柄の下げも目立ちました。株式市場は金利の上昇に備えて下落基調です。
新型コロナウイルスが引き起こした予想外の商環境の変化により、これまで以上に経済の見通しがきかなくなりました。アメリカでの急速なインフレがそれを物語っています。
安全資産の筆頭に位置付けられているのが国の借金である国債です。個人向け国債は、一般投資家が手軽に投資できるよう設計されています。以下のような特徴があります。
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【個人向け国債の特徴】
〇元本割れ なし
〇1万円から購入可能
〇中途換金も1万円からOK
〇年率0.05%の最低金利保証
〇年12回毎月発行
〇半年ごとに年2回利子が受け取れる
※財務省のホームページより一部抜粋
https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/
日本の国債は元本の償還が保証されていると言っても過言ではありません。安全資産と聞いて金を思い浮かべる人が多いですが、金の価格は日々変動しており、比較的値動きも活発だと言えます。その点、国債は元本割れリスクがなく、利回りが得られる金融商品です。究極のほったらかし投資と言えます。
ただし、日本銀行が金融緩和を継続する日本においては、国の借金である国債利回りは極めて低い水準に抑え込まれています。それが最大のデメリットです。投資をする際はメリットとデメリットを十分に考慮しましょう。
※投資は自己責任の範囲内で行ってください。
個人向け国債の金利のタイプ
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個人向け国債は大きく2つのカテゴリーに分類できます。変動型と固定型です。実勢金利に応じて半年ごとに適用利率が変わるのが変動型。満期まで利率が変わらず、投資実行時にどれだけの利益が得られるのか把握できるのが固定型です。変動型の商品は「変動10」で、満期が10年に設定されています。固定型の商品は満期が5年の「固定5」と3年の「固定3」の2つがあります。
個人向け国債は金利の下限が年率0.05%に設定されています。つまり、変動金利でもこれを下回ることはないということです。
なお、国債の利子は受取時に株式投資と同じく20.315%分の税金が差し引かれることに注意してください。金利が0.05%だった場合、税引後利率は0.0398425%となります。
変動型:商品名「変動10」
【変動10:金利設定方法】
基準金利×0.66
※基準金利:利子計算期間開始日の前月までの最後に行われた10年固定利付国債の入札(初回利子については募集期間開始日までの最後に行われた入札)における平均落札利回り。
日本国債は財務省が売り手となり、銀行や証券会社、保険会社などの機関投資家が買い手となって入札が行われています。債券は価格が高いと利回りが低くなるという特性があります。入札結果は財務省がホームページで公開しています。
国債等関係諸資料
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/index.htm
2022年1月14日現在、財務省が募集している個人向け国債の金利は0.07%です。
固定型:商品名「固定5」「固定3」
【固定5:金利設定方法】
基準金利-0.05%
【固定5:金利設定方法】
基準金利-0.03%
固定型は発行時の利率が満期を迎えるまで変わりません。仮に基準金利が1.0%で100万円の固定5を購入したとすると、税引前で1万円を5年間受け取れることになります。近年は固定5、固定3ともに金利の下限である0.05%を上回ることはありません。
個人向け国債を購入する際は、投資期間と金利に注目してください。利子の受取には20.315%の税金がかかること、年2回利払いが受けられることを覚えておきましょう。
購入方法と購入単価
個人向け国債は1万円から購入することができます。個人向け国債を購入している人の36%が60歳以上であり、手堅く手軽に投資ができる商品というイメージが強いのかもしれません。
金融機関で口座を開設し、申し込めば購入できます。
楽天証券やSBI証券などのインターネット系の証券会社でも扱っています。もちろん、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行などのメガバンクや地方銀行、ゆうちょ銀行でも取り扱っています。
購入できる金融機関の一覧は財務省のページで確認できます。
https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/main/organization/all/index.html
中途換金の仕組みはどのようになっているのか
個人向け国債は中途換金ができます(ただし、発行から1年経過していることが条件です)。急に資金が必要になった場合や、別の金融商品に資金を振り分けたい際に便利な仕組みです。中途換金すると、変動・固定ともに以下の計算式が適用されます。
【中途換金】
額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額
※直前2回分の税引前各利子相当額×0.79685
購入から2年1か月後に中途換金すると、購入から1年半後と2年後に受け取った利子相当額に0.79685をかけた金額が差し引かれることになります。固定金利が1.0%で変わらず、100万円を投資していて、2年1か月後に中途換金したとすると、
半年後(1回目)の利子:5.000円
1年後(2回目)の利子:5,000円
1年半後(3回目)の利子:5,000円
2年後(4回目)の利子:5,000円
元本1,000,000円+利子20,000円-0.79685×(5,000円+5,000円)=1,012,032円
※この計算では税金の影響を考慮していません。
100万円を投資した場合のシミュレーション
個人向け国債で100万円を運用した場合、どれくらいの利払いが得られるのでしょうか。ここでは最低金利の0.05%を使います。
固定金利3年
・税引前
合計:1,500円
1年目:500円
2年目:500円
3年目:500円
・税引き後
合計:1,194円
1年目:398円
2年目:398円
3年目:398円
<h3>固定金利5年</h3>
・税引前
合計:2,500円
1年目:500円
2年目:500円
3年目:500円
4年目:500円
5年目:500円
・税引き後
合計:1,990円
1年目:398円
2年目:398円
3年目:398円
4年目:398円
5年目:398円
投資利回りだけを考えると、低すぎると感じる人が多いのではないでしょうか。国債を安全資産ととらえ、ポートフォリオを強固にするという考え方が持てるかどうかがポイントです。国債は米国の急激なインフレ、金利の上昇による株式の暴落など、不測の事態に備えるものと位置づけましょう。
個人向け国債のメリット・デメリット
世界金融危機のようなブラックスワンの際に強い味方となる個人向け国債。そのメリットとデメリットをまとめてみます。
メリット
・元本割れする可能性が極めて低い
・1万円から購入できる
・変動と固定金利から選ぶことができる
デメリット
・金利が低い
・換金性が悪い
デメリットとして換金性の悪さがやや目立ちます。中途換金額は「額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額(0.79685)」となります。中途換金調整額が引かれる点には注意が必要です。また、換金実施日は即日できるわけではありません。おおむね3営業日後となります。
債券型投資信託との違い
個人向け国債に似た金融商品に国債型と投資信託があります。代表的なものが三菱UFJ国際投信が運用する「三菱UFJ日本国債ファンド(毎月決算型)」です。これはマザーファンドを通じて実質的に日本国債に投資をし、安定した収益の確保と資産の成長を目指すものです。運用にあたり、残存期間20年程度までの国債を各年限ごとに分散して組入れます。個人向け国債と異なり、機関投資家は償還期間が10年~40年の超長期国債を購入することができます。この商品のように特に20年もの国債を運用するケースが多いです。極めて安定していることが特徴です。三菱UFJ日本国債ファンドのリターンを見ると(2022年1月7日現在)、6カ月のリターン(年率)が-1.68%、1年で-0.57%、3年で-0.08%、5年で0.27%となっています。
投資信託と個人向け国債の一番の違いは運用手数料の有無です。この商品は信託報酬が税込0.715%発生します。国債運用型の投資信託はリターンが信託報酬を上回ることがあります。ただし、投資信託の一部商品はつみたてニーサで非課税投資をすることができます。「三菱UFJ日本国債ファンド(毎月決算型)」はつみたてニーサの対象商品です。
分散投資に最適な個人向け国債
金利にだけ注目するのであれば、個人向け国債は効率の良い商品とは言えません。株式や不動産に集中して投資をしている人が、手持ちの資産を避難させるために使うなど、上手な活用方法が必要です。オミクロン株の登場で世界景気は再び不透明になりました。分散投資の一つとして個人向け国債を購入するのも良いかもしれません。