筋力トレーニング効果を高める食事のタイミングを徹底解説
Aventure編集部
筋力トレーニングで筋肥大をしていく場合、バランス良く栄養を摂る必要がありますが、食事の摂取タイミングも重要です。トレーニング時間に合わせて調整すると筋肥大に効果的なため、今回は筋トレにおける食事の適切な摂取タイミングと内容について解説していきます。
筋トレと食事の関係
筋肉をつけるためには、筋トレだけでなく食事内容も充実させる必要があります。食事なくしてトレーニングの効果を上げることは不可能なので、ここでは筋トレにおける食事の重要性について解説していきます。
バランスよく栄養を摂る必要がある
筋肉を構成するのはタンパク質なので、食事の中で積極的に摂取することで、筋肉量を増加・肥大させることができるからです。
また、筋トレは無酸素運動のため糖(炭水化物の一部)をエネルギーとします。炭水化物を制限していると糖が不足状態になり、運動時に筋肉がエネルギーとして消費されるため、結果的に痩せてしまいます。
他にも筋トレによって傷ついた筋肉を修復させるためのアミノ酸が不足していたりすると、筋肉痛がなかなか治らないです。筋トレ生活を送る場合は、タンパク質だけでなくバランスよく栄養素を摂取することが、結果を出すために重要なのです。
タイミングにより摂取すべき栄養素が異なる
筋トレを始める前は、筋肉を動かすためのエネルギーを補給する必要があります。無酸素運動は糖を必要とするため、トレーニング前は糖質(炭水化物)を意識して食べると良いです。
筋トレが終わった直後は、筋繊維が傷ついており栄養素の吸収率が高いため、食欲がなくても比較的簡単に口に運べるプロテインやアミノ酸のサプリメントを摂取するようにすると良いです。これは筋肉の修復・肥大化を行う超回復を最大限生かすために重要なプロセスです。
その後、45分以内に食事を取ることができれば効率よく栄養素を吸収できます。摂取すべき栄養素はタンパク質、炭水化物・脂質・アミノ酸・ミネラルを含んだ料理を食べましょう。
目的により栄養素の優先度が異なる
トレーニングを行うにしても、バルクアップ・ダイエット・健康維持・アスリートなどによって摂取する栄養素の優先度が変わってきます。
バランスのよい栄養を摂取するための参考として、三大栄養素の指標であるPFCバランスにならって比率を見ていきましょう。
P:タンパク質 F:脂質 C:糖質 / 炭水化物
バルクアップ / P3:F2〜3:C4〜5
ダイエット / P3〜4:F1〜2:C4〜6
健康維持 / P3〜4:F1〜2:C4〜6
アスリート / P2:F2:C6
トレーニングの前と後に食事をとるメリット・デメリット
トレーニング効果を発揮させるためには食事や栄養補給のタイミングに注意する必要があります。ここではトレーニングの前と後に食事をとるメリットやデメリットを解説していきます。
トレーニング前に食事をとるメリット
トレーニングを行う1〜2時間前に食事をしておくことで、食べたものがエネルギーとなるため追い込みやすくなります。これは自重トレーニングよりも、おもりを持って行うウェイトトレーニングの方が顕著に感じられるでしょう。バーベルやダンベルを上げ下げする回数が増えたり、最後の一踏ん張りができるようになります。
また、筋肉からのエネルギー消費を防ぐことができるのもメリットの一つです。トレーニングは無酸素運動のため、体内の糖をエネルギーとして消費します。食事を1〜2時間前に済ませた状態で筋トレを行うと全力を出しやすくなるのは、糖質の補給が十分にできているためです。
逆に空腹状態でトレーニングを行うと糖が不足している状態なので、代わりに筋肉が消費されてしまいます。それを防ぐために筋トレ前に食事をとっておくことが重要なのです。
トレーニング後に食事をとるメリット
トレーニング直後は筋肉を構成する栄養素であるタンパク質が分解されやすい状態です。運動後できるだけ早く食事をとることで、体内に貯蔵されているグリコーゲンやアミノ酸が筋肉の合成に使われます。そのため、トレーニング直後の食事は筋肉分解を防ぐことに繋がります。
また、傷ついた筋繊維の修復が早くなる部分もメリットです。トレーニング後に早めに食事をとることで、タンパク質の分解を止めることができるメリットがありますが、同時に筋肉を修復させるための栄養摂取としても効率が良いです。
筋トレ後の24〜72時間は、筋繊維を修復したり肥大化させたりする超回復が行われます。超回復が開始されてから最初の2時間は、筋肉が一番タンパク質を吸収しやすい状態です。そのため筋トレ後2時間以内に食事をとることで、より超回復の効果を高めることができるでしょう。
トレーニング前に食事をとるデメリット
トレーニングの直前に食事をとった状態で行うと消化不良を起こしやすく、鍛えている最中に腹部の痛みを感じたり、吐き気を催したりする場合があります。栄養が吸収されずに肥満体質になりやすく、便の調子が悪くなる可能性も高いです。あらゆるリスクが想定されるため、トレーニング直前の食事は控えてください。
また、傷つけた筋繊維への栄養がすぐにとれないこともデメリットとなります。トレーニングを始める1〜2時間前に食事をとるのは、パフォーマンスを上げるために適切なタイミングです。しかし栄養補給も兼ねている場合は効率が悪いです。トレーニング後の食事はエネルギーのためではなく、筋肉の修復のための栄養補給として分けるべきでしょう。
トレーニングの後に食事をとるデメリット
トレーニングの強度を高くして追い込むと、食欲が減退してしまう場合があります。夏場は過剰な水分補給をしたり、夏バテになったりすることも考えられるでしょう。トレーニングの後は2時間以内に食事をとった方が吸収率が高いため、プロテインなどでカバーする必要性が出てきます。
また、食後から2時間以上たって空腹状態のまま鍛えることも、大きなデメリットがあります。血糖値が低い状態で運動するということになるため、エネルギー不足により集中できなくなったり力を思い切り出せなくなったりします。
それ以前に、本来のエネルギー源である糖の代わりに、タンパク質や肝臓に蓄えられているグリコーゲンから消費されます。筋肉がエネルギーとして使われるということは、筋肉量を減らしながら鍛えている状態のため、トレーニング効果はほとんど得られません。
トレーニング効果を高める食事のとり方
トレーニングの前・後に食事をするメリットとデメリットを押さえていきました。ここでは、その上で効率よく食事をとる方法について解説していきます。
トレーニング前は糖質を補給する
トレーニング前の食事は、運動を始める1〜2時間前に白米や麺類、パンなどの炭水化物を積極的に食べるようにしましょう。また、トレーニングの40分前にバナナを食べることで、消化が終わるのと同時に運動を始められるのでおすすめです。満腹・空腹どちらの影響も受けづらいため、ベストコンディションで鍛えられるでしょう。
トレーニング後は2時間以内に食事をとる
トレーニング後は2時間以内にバランスの良い食事をとりましょう。タンパク質、炭水化物を中心に脂質やアミノ酸、ミネラルを含む食材で自炊をするのが理想です。強く追い込んで食欲が無くなっている場合は、プロテインなどで補給をしてください。
一口30回は咀嚼して栄養が吸収されやすい状態にする
食材の栄養を十分に筋肉へ吸収させるためには、早食いをせずに最低30回以上は咀嚼することが重要です。噛む回数が多くなると、口腔内にある唾液腺から唾液が分泌されます。唾液には消化酵素が含まれているため、消化機能が早まることで筋肉へ栄養が渡りやすくなります。
よく噛むことで早食いを抑制することができ、満腹中枢を刺激して余計な食欲を抑える働きがあります。咀嚼は意識するだけではなかなか習慣になりにくいため、一口食べるたびに箸を置いたり、利き手とは逆の手で箸を持って食べるようにしたりしましょう。たくさん噛む余裕が生まれるため、ぜひ実践してみてください。
クレアチンを摂取する
クレアチンはもともと筋肉に含まれている栄養素で、瞬発力・パワー・スピードを出すための無酸素運動の効果を助ける役割を持ちます。直接的に筋肉を増加させる効果よりも、スポーツやトレーニングのパフォーマンスを上げるための栄養素だと言えるでしょう。トレーニングの追い込みにおいては、あと一回、1cm単位の粘り強さを発揮しやすくなる効果が期待できます。
クレアチンのおすすめ摂取タイミングは、トレーニング直後の栄養吸収率が高い時に飲むのがおすすめです。また、食事後の消化作用が働いている時に飲むのも良いでしょう。プロテインに混ぜて飲んだり、粉末のまま口に入れて水で流し込んだり、飲みやすい方法で行なってください。
トレーニング生活の食事は慎重に
トレーニングを日々行うためには、日頃の食事からコンディションを整える必要があります。運動前のエネルギー補給、運動後の栄養摂取も重要ですが、毎食の栄養バランスも意識して取り入れるようにしましょう。