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世界一の人口になると言われる成長期待の高いインド株に投資する方法は?

Aventure編集部

日本株は本質的な成長力に欠けています。株取引の経験が長い人はそう感じたことがあるかもしれません。半導体の凋落、電気自動車への参入の遅れ、少子高齢化による需要の減退。悲観的な材料は枚挙に暇がありません。その点、米国や中国は旺盛に成長しており、魅力的な市場と言えます。そして成長期待の高い国がインドです。インドは2027年に人口が世界一になり、2040年にピークを迎えると言われる潜在力の高い国です。Google、Adobe、Twitter、Microsoftなどの一流企業がインド人経営者を迎え入れていることから、優秀人材の層も厚い国です。この記事では、日本の投資家がインド株に投資する方法や注意点を解説します。


日本人投資家のインド株への投資方法

インド株への投資は2つの方法があります。ETFの購入とADRへの投資です。

ETFへの投資

ETFは上場投資信託のことで、運用の専門家が選定した複数のインド株に投資をするものです。すなわち、投資家は間接的にインド株を保有することになります。ETF最大のメリットは国内の取引所に上場しているため、手軽に売買できる点です。

ETFにはインドの代表指数である「SENSEX」や「NIFTY50」などの指数連動型(インデックス型)と、高いリターンが望めるアクティブ型の2つがあります。インド株の場合はインデックス型よりもアクティブ型の方がやや多い印象です。

ETFの取引を検討している場合は、指数を覚えると良いでしょう。

【SENSEX】
ムンバイにあるインド最大のボンベイ証券取引所に上場する銘柄のうち、流動性や取引規模、業種を代表する30銘柄で構成される時価総額加重平均指数です。

※世界経済のネタ帳

指数は長期的に見ると確実に伸びています。2022年は2012年のおよそ3倍です。インドの経済成長の強さを良く表している指数です。

ADRへの投資

ADRは米国預託証券のことです。株式会社が米国市場で自社株を流通させる目的で発行するものです。ADRはニューヨークやナスダックの米国市場に上場しており、取引時間や制限は米国株式と同様の扱いです。 ADRは個別株を購入するのと同じです。銘柄を厳選する眼力が問われます。

インド株に投資ができる証券会社

様々な証券会社で取り扱いがありますが、ネット証券で主なものを紹介します。

・SBI証券
手数料:約定金額の0.495%~
ADR:8銘柄
ETF:7銘柄

・楽天証券
手数料:約定金額の0.495%~
ADR:14銘柄
ETF:7銘柄

・マネックス証券
手数料:約定金額の0.495%~
ADR:8銘柄
ETF:3銘柄


主なインド株ADRの紹介

ADRを購入できる、インドの代表的な銘柄を紹介します。

タタ・モーターズ

ムンバイに本社を置く自動車会社です。インドはもちろんのこと、タイ、アルゼンチン、南アフリカに生産拠点を持っています。2020年3月期の売上高は前期比14%減の2兆6,106億ルピー、最終損益は1,200億ルピーの赤字でした。新型コロナウイルス感染拡大による需要の減退と、子会社のジャガー・ランドローバーの赤字が重荷になりました。

タタ本体の販売台数は前期比35%減の47万台となりました。コロナ収束までは販売台数の減少に悩まされそうです。
タタ・モーターズはインド最大の自動車会社で、バス・トラック部門は世界5位です。インド国内では商用車のシェア6割を握っています。足元では、商用車のシェア拡大に期待ができる会社です。

乗用車においては、2008年に28万円という破格の乗用車を市場投入して一躍知名度を高めました。2021年以降は電気自動車の拡大に向けて1,100億円を調達。新設するEV子会社に投資すると発表しています。価格面をセールスポイントとして、EV市場に乗り込むことが予想されます。

ドクターレディー

ハイデラバードに本社を置く製薬会社です。世界60カ国にジェネリックを展開する医薬品メーカーで、日本を除くアジア企業で初めてニューヨーク証券取引所に上場したことで良く知られています。

インドは特許システムが他国と異なるため、他のメーカーと比べて早い段階でジェネリック生産できることが強みになっています。1984年の創業以来、アメリカ向けの後発薬開発で成長してきました。開発重視の姿勢を貫いており、将来的な成長に期待ができます。

ベダンタ

ムンバイに本社を置く天然資源の会社です。インドを中心にオーストラリア、アラブ首長国連邦、南アフリカ、ナミビア、アイルランドで事業を展開しています。石油、天然ガス、アルミニウム、銅、鉄鉱石などの天然資源開発を行っています。その他、商用発電事業やインフラ資産の開発、運営なども行っています。

2022年1月にグループ傘下のアヴァンストレートを通して、インドに半導体工場を建設する計画があることを明かしました。グループ全体で1兆7,200億円規模の巨額投資です。最先端ではなく古い技術を活用し、自動車や産業用半導体を製造するとしています。天然資源に次ぐ主力ビジネスになるか注目が集まります。

ウィプロ

バンガロールに本社を置くIT企業。インドのIT業界で2位の規模を持ち、ソフトウェアの開発、コンサルティングなどを行っています。総従業員数は62か国に17万人、取引実績は1,200社を上回る巨大企業です。ウィプロは政府系、金融系のシステムに強く、複雑なシステムを構築する高い技術を持っています。

1998年横浜市に日本法人ウィプロ・ジャパンを設立し、日本に進出しました。

インフォシステクノロジーズ

バンガロールに本社を置くITコンサルティング、ソフトウェア開発企業。世界有数のIT企業と言っても過言ではないほどの有名企業です。大規模なシステム開発を得意としており、DXの中核銘柄と言えます。

1999年の2000年問題を機に事業を拡大し、欧米企業の業務の受け皿として成長しました。品質管理に定評があり、カーネギーメロン大学ソフトウエア工学研究所の能力成熟モデル統合において最高水準となるレベル5を早い段階で獲得しました。

1999年に米ナスダックに上場しています。


主なインド株ETFの紹介

NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信

インドを代表する指数Nifty50に連動する投資成果を目指すETFです。Nifty50は、インドのナショナル証券取引上に上場する銘柄のうち、時価総額、流動性、浮動株比率等の基準を用いて選び抜いた50銘柄で構成されています。
毎年8月10日に分配を行います。

ウィズダムツリー インド株収益ファンド

インド企業の利益額加重に基づいて構成銘柄を選定しています。ファンドの保有銘柄数は307で、大型株から小型株まで幅広い銘柄を組み入れています。

エネルギー関連銘柄のリライアンス・インダストリーズに8.25%、インフォシステクノロジーズに7.01%投資をしています(2017年9月)。インフラや金融などの安定的な銘柄と、新興株をミックスさせたETFは投資妙味があると言えるかもしれません。

iシェアーズ・コア S&P BSE SENSEX インディアETF

SENSEXに連動する投資成果を目指すETFです。インド市場で最も有名な指数に連動しますので、インド経済の影響を大きく受けると考えられます。インド関連では最も選びやすいETFとも言えるかもしれません。iシェアーズはアメリカに本拠地を置く世界有数の資産運用会社ブラックロック・グループが販売している商品です。その点でも比較的手を出しやすいETFです。


インド経済の見通し

インド経済は2021年7-9月期の成長率が前年同期比8.4%増となり、2020年7-9月期の同20.1%と比較すると大幅に勢いを失いました。しかし、コロナ禍にあっても4期連続のプラス成長で、新興国らしい旺盛な成長を続けています。
インドの成長を支えるのは、DXとインフラだと言われています。

モディ政権は「景気対策」を前年に押し出し、財政健全化路線を事実上棚上げしました。歳出規模は歳出見通しである37.7兆ルピーに対して4.6%上回るもので、インフラ関連に大規模な投資がされるものと予想されています。インフラの中でも、運輸・交通関連が前年度対比で51.0%増、都市開発関連が同40.2%増、農村開発関連が同6.0%となっています。運輸・交通関連は鉄道の新型車両製造計画が盛り込まれるなど、新常態を見据えた景気底上げ策が計画されています。

IT関連は歳出見通し対比177.8%増と大幅に引き上げられます。インド中央銀行はデジタル通貨の導入を進めるとしており、ブロックチェーン技術の需要は旺盛になると予想されます。


世界から注目を集めるインドのテック企業

インドは経済発展に併せてバラエティー豊かなテック企業が誕生しています。注目のスタートアップを紹介します。

ワン97コミュニケーションズ

電子決済サービス「Paytm」を提供するスタートアップです。2021年11月にボンベイ証券取引所とナショナル証券取引所で株式を上場しました。調達総額は1,830億ルピーと見られています。

創業は2000年。インド政府が2016年に実施した高額紙幣廃止の波に乗り、2021年3月末時点で利用店舗数は2,100万箇所、利用者数は3億3,300万に上ります。インド最大のデジタル決済サービスです。日本で普及するソフトバンクのデジタル決済サービス「PayPay」には、「Paytm」の技術が活用されています。ソフトバンクは2017年にワン97コミュニケーションズに14億ドルを出資しました。インドのスタートアップへの投資としては過去最高となる巨額投資でした。

ゼットワーク

製造業の下請け企業群をWebプラットフォーム上に集約し、金型、部品、精密金属加工などを世界中の企業から受注できるようにした会社です。製造業の他に貿易事務や運転資本金融も提供しています。セコイア・キャピタルなど、アメリカの有名なベンチャーキャピタルが出資をしています。

オブビジネス

鋼材やプラスチック、セメントなどの原材料をオンラインで取引できるプラットフォームを提供しています。中小企業の原材料調達を支援しており、金融機関による融資も仲介しています。ソフトバンクから資金を調達しました。

バラペ

様々な決済用QRコードを1つに集約するサービスを提供しています。インドの小売店では、大量の決済用QRコードが貼られています。バラペのサービスを使うと、小売店は1つのQRコードを発行するだけで済みます。バラペもセコイア・キャピタルから資金を調達しています。


目が離せない注目のインド株

インドは人口13.8億人の巨大なマーケットが存在しています。数字に強い国民性から優秀な経営者も多く、ハングリー精神旺盛でユニコーン企業数は世界第4位と言われています。ソフトバンクもインド企業には注目しており、オヨ、スナップディールなど数々の企業に投資をしてきました。インドへの投資は決して難しいものではありません。まずはSENSEXに連動するETFの購入から始めるのも手の一つかもしれません。

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