筋トレ

デッドリフトのメニューはどう組む?セット数や重量の決め方を解説

Aventure編集部

デッドリフトはベンチプレスやスクワットと並び『筋トレビッグ3』と言われる有名なトレーニングです。全身を一度に鍛えられる効率的なトレーニングにも関わらず、取り入れている人は意外と少ないのではないでしょうか。

本記事では初心者が特に迷いがちな重量やレップ数の決め方を解説するほか、特定の部位にアプローチできるさまざまなデッドリフトメニューを紹介します。これからデッドリフトに取り組む人や、現在のトレーニングに不安のある人は、この記事を読むことで疑問や悩みが解決できるしょう。


デッドリフトで鍛えられる部位は?


デッドリフトは全身を鍛えられるトレーニングです。上半身・下半身の筋肉のほか、体幹も強化できるためどんな運動を行う際にも必要となる重要な身体機能を一挙に高められます。では、具体的にどのような部位に効果があるのかを以下で説明していきます。

上半身

バーベルを持ち上げるときは、以下に挙げる背筋全体と腕の4つの筋肉を使います。

1.広背筋

広背筋とは、脇腹から脇の下に繋がる幅の広い筋肉で、腕を閉じたり上げたりするときに働きます。この筋肉を鍛えることで、背中に厚みが出て逆三角形のシルエットが生まれます。

2.僧帽筋

僧帽筋とは背中の表面部分にある筋肉です。首の根元から広がり、肩、頸椎の上部にまで繋がっています。ここを鍛えることでがっしりとした肩回りを手に入れられるほか、肩こりの改善も期待できます。

3.脊柱起立筋

脊柱起立筋は背骨から骨盤にかけて、背骨の両側を走る筋肉です。鍛えることで重いものをもってもブレない体を作れ、運動のパフォーマンスも向上します。

4.前腕筋・上腕二頭筋

前腕筋は肘から手首の間にある筋肉で、上腕二頭筋はいわゆる「力こぶ」を形成する筋肉です。この部位を鍛えると、太くたくましい腕になります。

下半身

デッドリフトでは、上半身だけでなく下半身の筋肉も同時に鍛えられます。

大臀筋

大殿筋は臀部を覆っている筋肉です。鍛えることで、姿勢が良くなったり基礎代謝やスポーツパフォーマンスが向上したりする効果が期待できます。

ハムストリングス

ハムストリングスとは臀部の付け根から太ももの裏側、膝裏周辺にある筋肉群の総称です。鍛えることで基礎代謝の向上や下半身の安定効果があるほか、肉離れの防止といったメリットも。


デッドリフトのトレーニングメニューの組み方

では、デッドリフトのトレーニングを行うにあたって、メニューはどのように組んだらよいのでしょうか?

目的に応じて決める

デッドリフトのトレーニングを行うときは、「筋力アップ」「筋肥大」「体の引き締め」のどれを目指すのか目標を決めましょう。それによって、トレーニングの回数やセット数は異なります。

トレーニングの回数は『RM法』で決める

トレーニングの回数を決める指標として『RM(レペティションマキシマム)法』があります。RMという単位を使い、1回行うのが限界の負荷を1RM、10回行うのが限界の負荷を10RMと表します。数字が小さければ小さいほど高重量・高負荷で運動強度の高いトレーニングになります。
このRM法を目安に回数を決めましょう。

筋力アップ

筋力アップを目指すなら10RM(10回が限界の負荷)のトレーニングを行いましょう。10RMは、重量・低レップ数のメニューです。かなり大きい負荷がかかるため、セット数は3〜5回程度に留めます。

筋肥大・筋力アップ

筋肥大・筋力アップが目的なら12〜15RMが目安と言われています。筋肥大においては、総重量(重量×回数×セット数)を増やすことが有効なため、重量にそれほどこだわる必要はありません。セット数は3〜5回に設定します。

持久力アップ・引き締め効果

持久力アップ・引き締め効果を得たいなら15RM以上のトレーニングを行いましょう。低重量×高レップ数で筋密度が向上し、体が引き締まります。

体重に応じて決める

実は、体重によって耐えられる負荷の大きさは違います。一般に、体に占める筋肉の比率が同じであれば、体重の多い人ほど筋肉量が多く、重い重量を扱うことができます。そのため目標重量は「○kg」ではなく、「自分の体重の○倍」と体重を基準に決める方法があります。このパートでは、初心者から上級者までレベル別の目安重量を紹介します。

初心者

初心者とは筋トレ未経験者、またはデッドリフトを始めて1カ月程度のまだ経験が浅い人が該当します。このレベルの人は、まず自分の体重と同じ重量を目指してトレーニングをしましょう。

中級者

中級者とは、デッドリフトを半年ほど続けている人を指します。このレベルの人は、体重×1.4〜1.5倍の重量を目指してトレーニングを行います。

上級者

上級者とは1〜2年ほどデッドリフトの経験のある人が該当します。自分の体重×1.8〜2.0倍の重量を持ち上げます。体重の2倍というと難しく感じるかもしれませんが、正しいフォームを身につけてトレーニングをしていれば、けして不可能なことではありません。

平均重量から決める

男女それぞれのバーベルの平均重量を参考に決める方法もあります。日本人男性のデッドリフト平均重量は60〜70kg前後で、女性の場合は30kg前後です。一般的に、女性は男性よりも筋肉量が少ないため、体重よりもやや軽い重量となっています。


デッドリフトの種類

このパートでは、目的やシチュエーション別にデッドリフトのメニューを紹介します。

【まずは基本から】ノーマルデッドリフト

まずは基本のデッドリフトをマスターしましょう。背中をはじめとする体全体を鍛えられるメニューです。

トレーニングの方法・コツ

<基本のデッドリフトのやり方>
足を肩幅に開いてバーベルの後ろに立ち、つま先は正面に向けます。
股関節と膝を曲げ、45度前傾姿勢をとります。
背筋を伸ばしたまま、お尻を後方に突き出す格好になり両手でバーベルを持ちます。
膝と股関節を伸ばし、バーベルを膝の位置まで持ち上げます。
背中を丸めずに伸ばしたまま、お尻を後方に突き出しながらバーベルを下げていきます。
バーベルが膝の位置より下に来たら、膝を曲げ、床に下ろします。

<デッドリフトのコツ>
バーベルを腕で引きあげるのではなく、立ち上がる動きを意識
バーベルを上げたときには肩甲骨を閉め、下げたときには肩甲骨を開く
立ち上がったときに、上半身を後ろに傾け過ぎない
バーベルを床に降ろしたときにバウンドさせない

<デッドリフトのフォームの注意点>
①背中を丸めない
動作の最中は常に胸を張り、肩甲骨を内側に寄せる姿勢をキープしましょう。目線をまっすぐ前にすると、背中が丸くなりにくいので意識してみてください。

②お尻は後ろへ突き出す
バーベルを下げるときは、お尻を後方に突き出す格好になります。背中からお尻まで真っ直ぐ一直線になるフォームを意識しましょう。

③バーの軌道をできるだけ体に近づける
バーベルはできるだけ体に近づけておきます。脛に沿って上げ下げするイメージです。

【上半身を鍛える】ラックプル(ハーフ)デッドリフト

ハーフデッドリフトとも呼ばれます。バーベルを床まで降ろさず、膝くらいの高さのラックに置きます。背中の筋肉(広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋)を集中的に鍛えられます。

トレーニングの方法・コツ

<ラックプルのやり方>
ラックの上にバーベルをセットします。
足を肩幅に開いてバーベルの後ろに立ち、つま先は正面に向けます。
股関節と膝を曲げ、45度前傾姿勢をとります。
背筋を伸ばしたまま、お尻を後方に突き出す格好になり両手でバーベルを持ちます。
膝と股関節を伸ばし、バーベルを膝の位置まで持ち上げます。
背中を丸めずに伸ばしたまま、お尻を後方に突き出しながらバーベルを下げていきます。
バーベルが膝の位置より下に来たら、膝を曲げ、ラックの上に下ろします。

<ラックプルのコツ>
背中の筋肉(広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋)の筋肉を意識すること
※その他は基本のデッドリフトと同じです。

<フォームの注意点>
※基本のデッドリフトと同じです。

【下半身を鍛える】ルーマニアンデッドリフト

主に下半身(大殿筋・ハムストリングス)を鍛えられます。基本のデッドリフトやラックプルとは違い、トレーニングのスタート位置は太ももの高さです。また、足も腰幅くらいまで狭めて行います。

トレーニングの方法・コツ

<ルーマニアンデッドリフトのやり方>
バーベルを握って持ち、両足は腰幅に開きます。
胸を張って軽く膝を曲げます。
その姿勢を維持したまま脚の付け根から上体を曲げましょう。
背筋をまっすぐ伸ばしたまま、上半身を前に倒します。
バーベルを脛の真ん中まで下ろしたら、素早く上体を引き上げ元の姿勢に戻ります。

<ルーマニアン・デッドリフトのコツ>
背中・大殿筋・ハムストリングスを意識する
姿勢を戻すときはお尻を突き上げ、太ももの裏側を伸ばすイメージ
バーベルは床に降ろさない

<フォームの注意点>
※基本のデッドリフトと同じです。

【初心者向け】スモウデッドリフト

力士のように大きく足を開いたフォームで行います。上半身はほぼ直立したような姿勢になります。腰や背中にかかる負担が小さく、重い重量を扱いやすいです。鍛えられる部位は通常のデッドリフトと変わりません。

トレーニングの方法・コツ

<スモウデッドリフトのやり方>
足を肩幅より広く開いてバーベルの後ろに立ち、つま先は正面に向けます。
背筋を伸ばしたまま、両腕を膝の間に下ろして、バーベルの中央のあたりを握ります。
膝と股関節を伸ばし、バーベルを真上に持ち上げます。
背中と両腕はまっすぐ伸ばしたまま、バーベルを下げていきます。
バーベルが膝の位置より下に来たら、膝を曲げ、床に下ろします。

<スモウデッドリフトのコツ>
脛を擦るように真上へ引き上げる
かかとに力をいれて足を踏ん張る
視線はまっすぐ前へ

<フォームの注意点>
できるだけ上半身は直立させたまま行う
肘を曲げない
バーベルを下げた時に膝が体の内側に入らないようにする
※他は基本のデッドリフトと同じです。

【自宅でできる】ケトルベルデッドリフト

ケトルベルを使ったメニューです。自宅で手軽にデッドリフトのトレーニングができます。

重心が中心に寄っているため、バランス能力が必要とされます。ケトルベルデッドリフトには「ルーマニアンスタイル」と「スモウスタイル」の2種類があります。

トレーニングの方法・コツ

<ケトルベルデッドリフトのやり方:スモウスタイル>
足を肩幅より広く開いて立ち、つま先は正面に向けます。
背筋を伸ばしたまま、両腕を膝の間に下ろして、ケトルベル1つを両手で持ちます。
膝と股関節を伸ばし、バーベルを真上に持ち上げます。
持ち上げたときの軌道をなぞり、膝を曲げてバーベルを床に下ろします。

<ケトルベルデッドリフトのやり方:ルーマニアンスタイル>
両手にケトルベルを一つずつ持ち、両足は腰幅に開きます。
胸を張って軽く膝を曲げます。
その姿勢を維持したまま脚の付け根から上体を曲げましょう。
背筋をまっすぐ伸ばしたまま、上半身を前に倒します。
ケトルベルを脛の真ん中まで下ろしたら、素早く上体を引き上げ元の姿勢に戻ります。

※コツやフォームの注意点はそれぞれ「スモウデッドリフト」「ルーマニアンデッドリフト」と同じです。


デッドリフトを行うときのポイントは?

このパートではデッドリフトを行うときに留意したいポイントを紹介します。

筋トレ開始直後に行う

デッドリフトはウォームアップが終わったらすぐに取り組むようにしましょう。筋肉に疲労が溜まっていないときに行うことで、高重量で筋肉を限界まで追い込むことができます。

アイテムを使う

デッドリフトには、トレーニングベルト(リフティングベルト)やリストラップといったアイテムがおすすめです。トレーニングベルトは腰を保護してくれるうえ、腹圧を高めて筋力を向上させる効果があります。これからデッドリフトに挑戦する初心者にはおすすめです。

リストラップは握力を補助してくれるアイテムです。ダンベルやバーベルを持ち上げるときにベルトを手首に巻き付けて使います。手のグリップ力が弱まって十分に追い込めないといった悩みを解消してくれます。

正しいフォームで行う

デッドリフトは正しいフォームで行わないと思わぬ怪我をする恐れがあります。まずは基本のフォームを習得し、効かせたい部位を意識しながら行うことを優先してください。扱う重量を伸ばしていくのはその後からでも構いません。

高重量でしっかり追い込む

基本のフォームを身につけたら、まずは軽めの重量から始めて徐々に重さを増やしていきます。くれぐれもオーバーワークには気をつけましょう。高重量・低回数で追い込むことを意識し、あくまでセット数は3〜5回に抑えます。

適度な休息をとる

筋トレ効果が高いからといって、デッドリフトを毎日行うのは危険です。適度な休息を挟んで、様子を見つつ取り組みましょう。

休んでいる間、筋トレで傷ついた筋繊維が修復されることで筋肉の成長が進みます。筋肉を休ませることは、鍛えることと同じくらい重要なことなのです。特に高負荷のデッドリフトは多くても週2〜3日程度に留め、取り組むときは限界まで追い込みます。


トレーニングメニューは目指すレベルと作りたいカラダに応じて組もう

デッドリフトはとても効率的なトレーニングです。回数の決め方も人によって違うため、どんなメニューをどれくらいこなせばいいのかと悩む人も多いでしょう。そんなときは先に上げたRM法を参考に、自分に合った目標を設定し、適切な回数で取り組むことが大事です。デッドリフトは高重量を目指せるトレーニングですが、初心者はまずフォームとレップ数を意識して取り組みましょう。

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