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商品先物取引とは?取引の仕組みをわかりやすく解説!

Aventure編集部

ここ数年で、NISA口座の普及などにより「貯蓄から投資へ」の流れが強まったことで金融商品への投資による資産形成はこれまでよりもずっと身近なものになりました。
しかし、株や投資信託のことは知っていても、商品先物取引についてはまだ知らない人の方が多いのではないでしょうか?
実は投資家の間でも商品先物取引は、株や投資信託に比べて少しマイナーな存在です。
本記事ではあまり知られていない商品先物取引の役割や仕組み、その発祥についても解説します。


商品先物取引とは

商品先物取引とは、将来のある期日に商品を売買することを約束し、その価格を現時点で決めておく取引のことです。先に売買の価格や数量などを決めておき、将来、約束の期日が到来した時点で実際の売買を行います。

このように前もって売買の価格を決めておくことで、商品の売買につきものである価格変動リスクを回避できるメリットがあります。

取引できる商品一覧

商品先物市場に上場され、取引されている商品は貴金属や石油製品、穀物など経済の発展や産業活動に不可欠なものばかりです。これらを取引する商品先物市場は、人々の生活を支える重要な役割を担っているといえるでしょう。

日本には東京商品取引所、堂島取引所、大阪取引所の3つの市場があり、それぞれ以下の商品を取り扱っています。

◆東京商品取引所・・・ガソリン、灯油、軽油、原油、中京石油ガソリン、中京石油灯油
◆堂島取引所・・・大豆、小豆、とうもろこし、粗糖
◆大阪取引所・・・一般大豆、小豆、とうもろこし、金、銀、白金、パラジウム、ゴム

取引に参加するには、取引所の取引参加者となるか、許可を受けた商品先物取引業者や証券会社や銀行などの金融商品取引業者を通じて売買を行う方法があります。


商品先物取引は何のために行う?

商品先物取引には「公正な価格の形成」・「価格変動リスクの軽減」・「資産運用の場の提供」の3つの機能があります。それぞれについて詳しく解説していきます。

公正な価格の形成

商品先物市場では取引所が認めた資格を有する人のほか、一般の人々も売買に参加できます。市場に出ている注文は誰でも見ることができ、価格が決定される過程は常に公開されます。

そのためこの開かれた市場には、生産者や流通業者・企業のほか、消費者、投資家などさまざまな立場の人々が参加しています。多数の参加者が競り合うことで商品価格は変動し、最終的には売りと買いの注文量が均衡したところで決定されます。

取引を通じて形成された価格は、商品の需給を反映した公正なものとして、実際の取引における指標に採用され、現実の経済活動にも反映されていきます。

価格変動のリスクを軽減

価格変動はその商品を扱う生産者や流通業者、企業などの収益に大きな影響を与えるため、値動きの激しい商品を扱う事業者は、損失を被らないよう保険をかける目的で商品先物取引を行います。

商品の価格は需給のバランスや天候、政治・経済情勢といったさまざまな要因によって常に変動していますが、商品先物取引では前もって将来の購入価格や売却価格を決めておけます。

そのため、受け渡しの期日となったときに商品の価格が上昇したり下落していたりしても、当初約束した価格で売買でき、損失を抑えられるのです。

資産運用の場を提供

商品先物市場は、証券市場などと同様に一般の投資家にとって資産運用の場でもあります。

取引する商品の価格が上がると予想する場合は『買い』、逆に下がると予想する場合は『売り』というように、価格の上昇・下落どちらの局面でも利益を得られる可能性があることから、積極的な運用を行いたい投資家に利用されています。

また、総取引額の3〜10%程度の証拠金を担保に取引できるため、効率的な投資効果が望めることも投資先として注目を集める理由のひとつです。


商品先物取引の仕組み

ここでは商品先物市場で資産運用する場合に知っておきたい、商品先物取引の仕組みについて解説します。

取引に期日がある

商品先物取引とは、『将来の一定の期日に特定の商品を売買することを約束する取引』です。
値上がりを待って保有し続けられる株などとは違い、あらかじめ取引に期限が決められています。

期限内であればいつでも好きなタイミングで取引できますが、決められた期日が到来すれば、たとえ損をしている状況でも、必ず清算を行い取引を終わらせなくてはいけません。

清算の方法は「反対売買」と「最終決済」の2つがあります。「反対売買」とは、商品の『買い』から入った人が、期日到来までに逆の『売り』注文を出し『買い』の状態を解消することをいいます。(※『売り』から入った場合は『』内を反対にして読み替えます。)

商品の授受は行われず、『買い』注文と『売り』注文の価格差が利益となります。この清算方法を「差金決済」と言いますが、詳しくは次項にて説明します。

対して「最終決済」とは、期日までに反対売買をしなかった場合に、損益状況に関わらず、最終期日の価格で決済が行われることをいいます。決済方法は先に挙げた「差金決済」と、商品の現物を受け渡す「受渡決済」の2つです。(※商品により決済方法は異なります。)

商品先物取引では、最終決済を行う期日のことを「納会日」といい、納会日の属する月を「限月(げんげつ)」と言います。決済までの期間は商品ごとに決められており、半年〜1年程度が一般的です。

『差金決済』で利益を得る

商品先物取引は将来売買する商品の取引価格を現時点で決める取引です。株などの金融商品であれば、価値が上がったタイミングで売却し、売却益を得ますが商品先物取引で利益を得るためにはどうしたらよいのでしょうか。

商品先物取引は、現物を持たずに商品を売買できるため、言いかえれば、「商品を受け取らずに買う」「手元に商品がなくても売る」ことができます。

そのため、投資目的で商品先物取引を行う場合は「差金決済」といい、商品そのものの受け渡しは行わず、当初買ったときの価格(または売ったときの価格)と、転売したときの価格(または買い戻したときの価格)の差額が利益となります。

例えば、損益の計算は以下のように行います。
例)500円の商品を取引した場合
①値上がりを予想し『買い』から始めた場合
<利益となる場合>
500円で買い、600円に値上がりしたときに転売した→100円の利益
<損失が生じる場合>
500円で買い、400円に値下がりしたときに転売した→100円の損失

②値下がりを予想し『売り』から始めた場合
<利益となる場合>
500円で売り、400円に値下がりしたときに買い戻した→100円の利益
<損失が生じた場合>
500円で売り、600円に値上がりしたときに買い戻した→100円の損失

簡単にいうと、商品先物取引は「買った後に値上がりした」「売った後に値下がりした」場合に利益が出る仕組みです。

取引には証拠金が必要(レバレッジ効果)

商品先物取引とは将来の売買の約束をすることです。

現物取引であれば商品代金の全額を受払いしなくてはいけませんが、商品先物取引では担保となる「証拠金」(総取引額の3~10%の額)を預託することで、証拠金の額の数倍~数十倍の取引が可能となります。

この仕組みを「レバレッジ(てこ)効果」とよび、少ない資金で多額の取引ができる資金効率の高さが商品先物取引の大きな特徴です。 ただ、レバレッジは少額の資金で大きな利益を生む可能性がある一方、自己資金を上回る損失が発生する可能性もあるため運用にあたっては注意が必要です。

もし、想定以上に損失が増えてしまい、損失額が預託した証拠金の額を上回った場合は、超過した分を追加で支払わなくてはいけません。 元本保証がないという点では株と同じですが、企業が倒産すれば価値がゼロになる株と違い、商品先物取引では投資資金がゼロになるばかりでなく、損失の補填のため追加で資金を投入しなければいけない場合があります。

商品先物取引では、自己資金以上の取引を行えますが、ハイリスク・ハイリターンな仕組みであることをよく理解しておきましょう。


商品先物取引市場の現在

ここでは、商品先物取引の置かれている現況について解説します。

市場は低迷気味

国内の取引所における商品先物取引は、2003年をピークに減少傾向に転じ、売買高の低迷が長く続いています。その大きな理由としては、政府による規制強化があります。

以前より商品先物取引業者による強引な勧誘によって、投資経験の乏しい個人投資家が取引で損失を被るなどの被害が多発していたため、2004年頃から政府は段階的に法律改正を重ねてきました。

規制の内容は、一度取引を断った人への再勧誘の禁止や、投資を望まない人への勧誘自体を禁止するといったかなり厳しいものです。その効果もあってか昨今では、商品先物取引に係る相談・苦情件数はピーク時に比べ大幅に減少し、規制緩和の兆しが見られています。

今はネット証券でも取引できる

かつて、商品先物取引は対面の証券会社や銀行、または政府の許可を得た商品先物取引業者を通して行うしかなく、一般の人々にとって気軽に行える投資ではありませんでした。

しかし、今ではネット証券を通じて取引を行えるようになっており、取引の仕組みやルールを学べる情報コンテンツも充実しているため、初心者でも気軽に挑戦できます。
ここでは、商品先物取引ができるネット証券のうち、代表的な証券会社を3つ紹介します。

楽天証券

証券総合口座を開設のうえ、「先物・オプション取引」を申し込むと、先物取引口座を開設できます。取引には専用ツールを利用します。
・PC用ツール
①マーケットスピードII
条件に合致したときに自動で注文が発注される「アルゴ注文」やニュース、チャートの閲覧機能のほか、ドラッグ&ドロップで直感的に取引できる便利機能「武蔵」を搭載。
②マーケットスピードII RSS
自動発注機能に加え、Excel関数を使った保有状況の一元管理やマーケット情報の取得が可能です。
・スマートフォンアプリ
「iSPEED 先物OP」
リアルタイムチャートやマーケット情報を確認しつつ、出先からスマートフォンで売買注文ができます。

SBI証券

先物・オプション取引口座を開設後、商品先物取引が可能になります。取引に便利な独自ツールが利用できます。
・PC用ツール
「HYPER SBI」
ドラッグ&ドロップのマウス操作だけで直感的に注文や訂正ができます。マーケット情報やチャートの閲覧はもちろん、最大20銘柄の相場状況が一画面で表示できる便利な機能も。
・スマートフォンアプリ
「HYPER 先物・オプションアプリ」
最短ワンタップで注文が可能になるスピード注文機能を搭載。売買チャンスを逃さないスピード重視の発注が可能です。

岡三オンライン

証券総合口座を開設のうえ「先物・オプション取引口座」を申し込み、商品先物取引口座を開設します。(総合口座との同時開設も可能)
取引用の独自ツールはPC用・スマートフォンアプリに加え、iPad専用アプリがあります。
・PC用ツール
「岡三ネットトレーダーライトF」
先物・オプションを中心に取引する投資家向けです。画面をダブルクリックするだけで注文が可能なスピードショット注文機能のほか、分析チャートは3画面まで同時立ち上げが可能です。
・スマートフォンアプリ
「岡三ネットトレーダースマホF」
先物・オプション取引専用のアプリです。PC用ツールと同じくスピード注文機能を搭載しています。外出先でもマーケット情報を確認しながら発注が可能です。
・iPad専用アプリ
「岡三ネットトレーダースマホF for iPad」
先物・オプション取引専用のiPadアプリです。大画面を活かし、外出先でもPCツールとほぼ同じ機能を利用できます。複数のテクニカルチャートを一画面に表示し発注が可能です。


商品先物取引はハイリスクハイリターン。投資は自己責任で

商品先物取引市場は、生活のあらゆる場で必要とされる商品の価格指標を決める重要な役割を担っており、あらゆる産業のインフラとして、なくてはならないものです。

とはいえ、資産運用の場として活用しようとするなら、レバレッジの仕組みを採用している以上、ハイリスク・ハイリターンの運用はどうしても避けられません。

しかし、仕組みを知り適切に利用すれば利益や損失を想定の範囲内に収めることもできます。やみくもに恐れず、リスクをきちんと把握した上で取引を行う事が大切です。

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