日本のメタバース関連株とは?市場で注目された理由や注目株を紹介
Aventure編集部
メタバースという単語を、2021年の後半から耳にする機会が増えました。ネットワーク上に構築された仮想空間のことで、世界中のIT関連企業がメタバース事業への参入を表明しています。しかし、「メタバースが何なのか、どの銘柄が関連するのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。今回はメタバースの基本情報と関連する日本株を解説します。これからメタバース関連株に投資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
メタバースの基本
メタバースはインターネットに構築される仮想の三次元空間のことで、「メタ(超)」と「ユニバース(宇宙)を組み合わせた造語です。
メタバースで注目されているのは、仮想空間でも現実世界と同じようにコミュニケーションや経済活動ができるようになる点です。ゲームやSFの世界の出来事だったことが、メタバースの発展次第で身近な存在になる可能性があります。
Bloombergによると、2020年に4,787億ドルだったメタバースの市場規模が、2024年には7,833億ドルまで拡大すると予想されています。年平均成長率は13.1%と非常に高く、なかでもゲームのソフトウェア&サービス市場は1,833億ドル(2020年)から2,505億ドルと市場規模内訳の70%近くを占めることになります。
暗号資産大手「グレイスケール社」の調査レポートではMetaverse Web3.0(NFT等デジタル資産価値など)の将来の年間収益が1兆ドルを超える規模になるだろうとの見通しを立てており、高い成長性が伺えます。
メタバースとこれまでのバーチャルの違い
これまで家庭用ゲーム機では「バーチャルリアリティ(VR)」が活用されてきました。メタバースが従来のバーチャルと違うのは、「いつでも誰でも、同じバーチャル世界を共有できること」です。
自分だけの世界で物語を進める従来のバーチャルゲームとはその点に大きな違いがあります。また仮想空間と言っても、メタバースの定義としてはバーチャル空間を利用するという制限はありません。スマートフォン画面からアクセスする形でコミュニケーションを取るタイプのゲームでも、友達やネット上の誰かと現実と仮想世界にまたがってコミュニケーションを取れればメタバースに含まれます。
メタバースが注目された背景
Facebookの社名変更で一気に話題に
メタバースという単語が大きく浸透するようになったのは2021年の年末です。2021年10月28日に米国のFacebookがメタバースを想起させる「Meta」という社名に変更したことがニュースに取り上げられたことで、広く単語が知られるようになりました。
同社が改名した理由はこれまでの社名であったFacebookが事業の一部に過ぎなかったことです。会社が提供するサービス全体を表す新しい名称としてMetaが選ばれました。
Microsoftのアクティビジョン・ブリザード社買収
アメリカのMicrosoftは2022年1月8日、同国のゲーム大手アクティビジョン・ブリザードの買収計画を発表しました。買収発表の前営業日1株65ドルだった株式を95ドルで買い付け、2023年6月までに買収を完了する予定です。買収金額は日本円で約8兆円とも言われており、ここまでの規模で買収を行うのは同社の創業以来初めてのことです。買収が完了すれば中国の騰訊(テンセント)、日本のソニーに次ぐ規模のゲームブランドになります。
アクティビジョン・ブリザードはゲームソフトとして人気のコンテンツを抱えていて、ボイスチャット機能を使ったユーザー同士の協力プレイなど、コミュニティ要素も持ち合わせています。今回の買収で獲得できるコンテンツやコミュニティを活用することで、今後は一層、メタバース戦略の加速が見込まれています。
日本におけるメタバース関連株
MetaやMicrosoftなど米国のトップ企業によるメタバース参入が大きなニュースになっていますが、日本にも有望なメタバース関連株があります。
パナソニック
パナソニックの子会社Shiftall(シフト―ル)は、2022年に仮想現実(VR)対応のメガネ型ヘッドセット「MeganeX(メガーヌエックス)」を発売すると発表しました。世界最大級のテクノロジー展示会「CES」のメディア向けイベント展示に先駆けての発表です。
小型の「マイクロOLEDディスプレイ」により、両目で5.2K(2560×2560×2)という解像度で高精細な映像を実現。空間に入り込んだような高精細画像が楽しめます。
任天堂
「Nintendo Switch(以下、スイッチ)」が好評な任天堂も、メタバース関連株の1つです。スイッチ用ソフト「あつまれ どうぶつの森(以下、あつ森)」がメタバースとして注目を集めています。あつ森はゲーム内で新生活をスタートし、村の動物たちと購入したり季節行事に参加したり、ゲーム内でゆったりとした生活を送れるゲームです。
1人で遊ぶ要素が強いゲームがメタバースとして注目される背景には、あつ森の人気が高いゆえに現実世界が少しずつ流れ込むような事例が発生したことが挙げられます。メトロポリタン美術館が「あつ森」のマイデザイン用に、40万点以上の作品画像QRコードを公開したことがありました。「あつ森」の世界に、現実の美術品が出現することになるわけです。オンラインでつながる仮想現実の可能性を示す例として注目される結果になりました。
グリー
ソーシャルゲームプラットフォーム「GREE」で有名なグリーも、2021年8月にメタバース事業への参画を発表しました。子会社である「REALITY」がメタバース事業を中心的に担う予定で、メタバース関連のエンジニアを200人以上採用するなど、総額で約100億円の投資を行います。
個人ユーザー向けにはバーチャル配信アプリの「RELITY(リアリティ)」をリリース。誰でもアバターの姿になれることで、顔出しせずにライブ配信やコミュニケーションを楽しむことができます。
法人向けには3D CGやXRを活用したメタバース構築プラットフォーム「REALITY XR cloud」を提供。仮想空間で行われる音楽ライブや展示会、上映会などの開催が可能です。
スクウェア・エニックス
スクウェア・エニックスは2022年1月1日の年頭所感で、メタバースなどの事業展開を本格化する方針を示しています。
メタバース要素が加わるゲームとして注目されるのが、ロールプレイングゲームの「ファイナルファンタジー14」内の無人島開拓というアップデートコンテンツです。FFの世界でスローライフが楽しめるシステムで、特産物で貿易したりミニオンというゲームキャラクターを放し飼いしたりといったコンテンツが予定されています。
理経
理経はVRソリューションを展開している企業です。自治体や官公庁、企業向けに「Unreal Engine」を使用したフォトリアルなCG映像制作を手がけています。
2021年12月27日、米国3dMD社の3次元サーフェス超高速撮影&解析システムを利用したFaceシステムのデモルームを2022年1月4日に開設すると発表しました。3次元データを用いた人体の撮影は研究や臨床などに用いられていて、近年では美容整形、化粧品、アパレルなど幅広い業界へも広がっています。さらに、表情の研究や、メタバース上でアバター作成のために表現力豊かな表情を3次元化する目的でも利用できます。
メタバース関連で株価が急騰した事例
メタバースが注目されるにつれて、株価が急騰するケースも目立っています。
たとえば前述のグリーでは2021年9月に613円だった株価が10月に入ってから急上昇しました。10月20日は968円と年初来高値を更新し、その後も10月28日にFacebookからMetaへの改名報道があったこともあり、11月8日には1,052円まで株価が上昇しています。
国内外の大手企業が関連事業を強化する動きが相次いでいる中で、グリーも同事業への大型投資を表明しており、関連銘柄として思惑的な買いが入ったと見られています。
グリーに迫る急上昇を見せたのが前述の「理経」です。2021年10月29日の時点では249円だった株価がFacebookからMetaへの社名変更によって注目され、11月16日には436円と2週間程度で1.5倍以上の急騰を見せています。
FacebookがMetaに社名変更するにあたり、「今後10年で年間100億ドルの投資を行う」と発表していて、今後も優良なテーマ株として上昇トレンドが期待できます。
2022年3月現在はウクライナ情勢で日経平均株価は大きく調整していますが、世界情勢が落ち着きを取り戻せば再び上昇することが期待されます。上昇トレンドに乗る前の仕込みタイミングとして、2022年は良いタイミングといえるでしょう。
メタバース関連日本株の買い方
メタバース関連株の個別株に投資する場合、銀行の総合口座を持っていても投資はできません。まずは証券会社の口座開設が必要です。口座開設の申込後は本人確認書類とマイナンバーを提出し、口座を開いて取引を行います。ログインしたあとはインターネットバンキングや振込などで入金することで取引が始められます。
今後の株式投資のカギを握るメタバース関連株
メタバースはインターネットに構築される仮想の三次元空間のことですが、「いつでも誰でも、同じバーチャル世界を共有できること」が従来のバーチャルリアリティ(VR)とは異なります。
FacebookがMetaに改名して今後10年で年100億ドルの投資を行うと表明したことで、一般投資家にも広く知られるようになりました。日本株でも続々とメタバース事業への参画が発表されており、今後の動向が注目されます。今後の上昇トレンドに備え、今のうちから有望株を仕込んでみてはいかがでしょうか?