アクティブ投資ファンド8選! 積み立てNISAでも投資可能な商品を紹介
Aventure編集部
投資信託と言えば日経平均株価やTOPIXに連動するインデックスファンドが主流です。インデックスファンドは手堅い運用で損失を低く抑える傾向があります。一方、アクティブファンドは投資家の興味のある分野やテーマに投資することができ、大きなリターンを期待できます。
オミクロン株の感染拡大、ウクライナ危機とロシアの経済制裁、アメリカの利上げの影響によって日経平均株価は下げ基調が目立ちます。アクティブファンドはそのような中でも好成績を出す可能性のある商品です。この記事では、アクティブファンドの特徴や選ぶ際の注意点、おすすめの商品を紹介します。
アクティブとパッシブ(インデックス)の違い
主要国の株価が軟調です。2022年3月4日の日経平均株価は25,985円。節目となる26,000円台を割り込みました。ニューヨークダウは2月22日に一時700ドルを超える大幅な下落に見舞われました。原油価格高騰などによるインフレ懸念、米国の利上げ、ウクライナ情勢への危機感など、相場がリスクオフの傾向を強めているためです。
日経平均株価、TOPIX、ニューヨークダウ、S&P500。経済ニュースで頻繁に耳にするこれらの言葉は、すべて株価指数です。S&P500はアメリカの代表的な指数で、ニューヨーク証券取引所などに上場する代表的な企業500社を選出し、株価を基に算出される時価総額加重平均型株価指数です。日経平均株価は、日本の株式市場に上場する代表的な企業225社を日本経済新聞社が選定して算出しています。
インデックスファンドとは、投資信託の運用会社が指数に連動するよう目指して設計しているもので、ほぼ同じ値動きをするという特徴があります。低コストかつ市場と同じリターンが得られる単純明快なファンドです。運用会社は指数に選定されている銘柄をピックアップして投資をするため、手数料を低く抑えられるのです。
アクティブファンドは指数を上回る投資成果を目指すものです。一般にファンドマネージャーと呼ばれる、企業や市場の調査・分析をする責任者が銘柄を選定します。ファンドマネージャーには様々なタイプがいますが、企業の経営陣などと面談を重ね、慎重に投資をする傾向があります。
日本に上場する企業数は2022年3月23日時点で3,827(日本取引所グループ「上場会社数・上場株式数」より)。それだけの会社が上場をしていると、中には企業価値が適正に評価されておらず、株価の上昇が見込める銘柄が存在します。ファンドマネージャーはそうした企業を選別し、投資を行うのです。
労力がかかるため、運用手数料が高めに設定されているのが普通です。
アクティブファンドの特徴
アクティブファンドには特徴があります。特徴を抑え、投資する際の参考にしてください。
テーマ性の高さ
アクティブファンドの中にはテーマ型投資信託があります。例えば、自動運転技術やファクトリーオートメーションなどに必要不可欠なAIをテーマとした投資信託です。代表的なものとして、三井住友DSアセットマネジメントの「イノベーション・インデックス・AI」があります。このファンドは、世界各国の中からAI関連企業の株式に投資をしています。
AIの他にも、ヘルスケア、宇宙関連、アフリカ、フィンテックなど、様々なテーマで選定した投資信託があります。自分の興味のある分野に投資できるため、分かりやすさを兼ね備えていることが特徴です。
ただし、テーマ型の投資信託はアクティブファンドの本来あるべき「インデックスを上回る運用成果を目指す」ものとは言えません。必ずしもそうとは限りませんが、関連するテーマに沿った銘柄を集めて投資している性格が強いものです。
従って、運用成果を重視して投資をする人にはあまり向かないタイプです。
運用成績の高さ
2011年3月以降、いわゆるアベノミクスによって株高基調となり、日経平均株価は上昇しました。2011年3月11日の日経平均は10,348円。2021年2月には30,000円台まで回復しています。10年でおよそ3倍になりました。インデックスファンドでも長期目線で見れば十分な成果が得られたことになります。
経済情報を提供するモーニングスターによると、レバレッジ型を除く国内株式型アクティブファンドの(運用コスト控除後)運用成績は年率11.53%。最高の成績を残したファンドは、31.72%と日経平均株価を大きく上回る運用成績を残しています。一方、最も成績の悪いアクティブファンドは0.18%でほぼ横ばいとなり、日経平均をはるかに下回る結果となりました。
アクティブファンドはインデックスを上回る投資成果を得られる場合もあれば、その反対もあります。高い信託報酬を払っていて、日経平均が上昇しているにも関わらず、運用成果が横ばいでは大損しているのと同じことです。
過去、どれほどの投資成果を出しているのかを見極めることが重要です。
投資方針の合致
アクティブファンドは投資方針を強く打ち出していることがあります。これは事業会社がビジョンや方針を掲げるのによく似ています。代表的な投資信託がレオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」。この投資信託は「日本を根っこから元気にする」をコンセプトとしており、日本の成長企業に投資をしています。
カリスマファンドマネージャー藤野英人氏が企業に足を運び、泥臭いスタイルで銘柄を選定していることが特徴です。その姿はテレビでも頻繁に取り上げられ、高い運用成績をおさめていることでも有名です。
アクティブファンドのデメリット
アクティブファンドを選ぶ際はデメリットを十分に把握しなければなりません。
信託報酬の高さ
アクティブファンドの平均信託報酬は1.41%。インデックスファンドは0.40%です。アクティブファンドは3倍以上高いことになります。この差は資産形成においてどれほど影響するのでしょうか。
信託報酬が0.3%のインデックスファンドと1.0%のアクティブファンドがあったとします。仮にどちらも想定利回りが年率4.0%だったとしましょう。100万円を投資していた場合、20年後は0.3%が206万円、1.0%が180万円です(税金などは考慮していません)。20万円以上の開きがあります。
手数料はわずかな違いのようにも感じますが、長期投資が基本となる投資信託には極めて重要なものになります。「信託報酬が高くても、それだけのリターンを出してくれるだろう」「投資方針に共感しているので、信託報酬を寄付する感覚で投資をしている」など、自分なりに納得して投資をすることが重要です。
市況との乖離
アクティブファンドは市況との乖離が起こります。これがプラスに働けば良いのですが、マイナスとなることもあるので注意してください。これは市場が割安と判断している銘柄を発掘することから起こるもので、割安銘柄が必ずしも値上がりするものではないためです。
マニュアル制作のグレイステクノロジーは、架空売上を計上する粉飾決算がもとで2022年2月28日に上場廃止となりました。不正会計が発覚した後の1月26日、スウェーデンの金融機関スウェドバンクがグレイス株250万株あまりを市場で大量に売却したことが大量保有報告書によって明らかになりました。取得単価2,120円の株式を100円前後で処分したことになります。
スウェドバンクそのものがアクティブファンドに該当するわけではありませんが、ファンドが銘柄を選定することは高いリスクが伴います。必ずしも期待するリターンが得られるわけではないことを理解しましょう。
アクティブファンドはこうして活用する
投資の基本的なスタイルは分散投資です。資産を100%アクティブファンドに組み入れるといったやり方はリスクが高くなります。インデックスファンドとアクティブファンドを使い分け、資産を分散する方法をおすすめします。
例えば、インデックスファンドに8割、残り2割をアクティブファンドに投じるといったやり方です。
インデックスファンドの日経平均、TOPIX、全世界株式、先進国株式に投資をし、十分な分散投資ができていると勘違いしている人を見かけます。
日経平均とTOPIX、全世界株式と先進国株式は比較的近い値動きをするもので、ファンドが投資している銘柄が重複しているケースが目立ちます。仮に日本景気が急速に悪化し、トヨタやファーストリテイリング、ソフトバンクなどの主要企業の株価が大幅に下落した場合、日経平均とTOPIX連動型の投資信託は両方とも基準価額が下がる可能性があります。
分散投資に気を配るのであれば、アクティブファンドとの組み合わせがおすすめです。
選ぶ際のポイント
投資信託を選ぶ際に注意するポイントは大きく4つあります。純資産額、運用期間、販売手数料、信託報酬です。特にアクティブファンドは見極めが重要で、目安は以下の通りです。
・純資産額50億円以上
・運用開始後5年が経過
・販売手数料無料
・信託報酬が1.0(国内)~1.5%(海外)以下
純資産額はファンドの総資産額から信託報酬などの費用を差し引いた金額です。ファンドの規模を示しています。純資産額が大きいファンドはそれだけ資金が集まっていることを意味しており、人気が高いことを表します。基準価額が下がり、純資産額も下がっているファンドがあれば、運用成績が悪化して投資家が資金を引き上げていると見ることができます。
純資産額に明確な基準はありませんが、2018年にスタートしたつみたてNISAでは、対象商品の条件の一つとして純資産残高50億円という要件を設定しました。純資産50億円のファンドは金融庁からお墨付きを得たことになります。
運用期間が短いファンドは、運用成績の比較が困難で、良し悪しの判断がしづらい傾向があります。類似する投資信託を比較する際、一般的に最長5年の運用成績を確認します。特に運用成績がセールスポイントとなるアクティブファンドは運用期間が長く、実績を出していることが重要です。
販売手数料、信託報酬が無料、もしくは低いものを選ぶようにしてください。この2つは最も比較がしやすい項目です。
おすすめのアクティブファンド
つみたてNISAに対応している代表的なアクティブファンドを紹介します。
セゾン資産形成の達人ファンド
世界各国の株式に分散投資をするセゾン投信の投資信託です。エリア別に見ると、2021年6月時点でアメリカに46.9%、欧州に23.8%、日本に12.1%、新興国に15.9%投資をしています。情報通信、消費財、エネルギー、金融など、バランスよく投資をしていることが特徴です。
ひふみ投信
レオス・キャピタルワークスの代表的な投資信託です。「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2021」において13位を獲得した人気のファンドです。トヨタ自動車に2.50%、オリエンタルランドに2.32%、ソニーグループに2.16%投資(2022年2月時点)するなど、一部上場企業に投資する一方、ジャスダックやマザーズ株などの中小型株にも3.20%投資をしています。
ひふみプラス
ひふみプラスは、ひふみ投信と同じマザーファンドに投資をしているため、投資方針や組入銘柄に違いはありません。ひふみプラスは直販以外で取り扱う商品で、三菱JFJ銀行やソニー銀行、PayPay銀行のほか、横浜銀行などの地銀でも購入できるようになりました。
ハッピーエイジング40
SOMPOアセットマネジメントの投資信託です。日本を含む世界各国の株式や公社債を投資対象としています。株式だけでなく、債券にも投資をすることで分散投資によるリスク軽減に努めていることが特徴の一つです。ハッピーエイジング40は、国内外の株式の基準組入比率が50%となっており、バランスの良いファンドです。ハッピーエイジング20は株式が90%、ハッピーエイジング60は株式が10%など、シリーズの中で株式への組入比率を調整しています。
アクティブファンドで賢く資産形成を
個別銘柄を保有するのはリスクが高く、面倒。そんな風に考えている人は、アクティブファンドへの投資をおすすめします。インデックスファンドよりも経済ニュースに敏感になり、積極的に情報を得ようとするため、経済ニュースにも明るくなります。
バランスよく分散投資をし、安定した資産形成を目指してください。