ダンベルフライとダンベルプレスの違いとは。効果や行う順番を解説
Aventure編集部
ダンベルフライとダンベルプレス。よく似ているようですが、実はトレーニングフォームやアプローチできる部位はそれぞれ少しずつ違います。本記事では、ダンベルフライとダンベルプレスはどう違うのか、基本的なフォームやそれぞれの効果の確認から、どの順番で取り組むべきかまでを解説します。「自分にはどちらのトレーニングがふさわしいか分からない」「フォームや効果の違いを知りたい」という人はぜひチェックしてみてください。
ダンベルフライとダンベルプレスの違いとは
その名の通り、単関節種目は一つの関節のみを動かして行うトレーニングをいい、多関節種目は動作に二つ以上の関節が関与するトレーニングを指します。ダンベルフライは肩関節の回転のみで行い、ダンベルプレスは肘と肩、両方の関節を回転させます。関節の動きに伴って筋肉も動くため、多関節運動であるダンベルプレスの方が、より多くの筋肉部位を刺激できるのです。
反対に、ダンベルフライは負荷のかかる部位が一ヶ所に絞られるために、鍛えたい箇所にピンポイントでアプローチできる利点があります。この他にもいくつか相違点がありますので、以下のパートで説明していきます。
①フォーム
ダンベルフライとダンベルプレスのフォームの大きな違いは可動域にあります。ダンベルフライは可動域を広く取って大胸筋を伸ばすストレッチ種目です。肘を100〜120度ほどに開いて腕を外側に広げたら、内側へ弧を描くようにダンベルを持ち上げて元の体勢に戻ります。
一方、ダンベルプレスは狭い可動域の中で大胸筋を伸縮させる種目です。ダンベルを下ろすとき、肘の開きは90度より狭くなり、持ち上げるときは真っすぐ上に向かって押し上げます。ベンチプレスの動作をダンベルで行うと考えるとイメージしやすいかもしれません。
②効果のある部位
先に説明したように、ダンベルフライとダンベルプレスでは可動域や動員する筋肉部位が違います。どちらも同じ大胸筋を鍛えるメニューですが、アプローチする部位は少し違います。
ダンベルフライは大胸筋の外側にアプローチします。肘をやや開いた状態で腕を下ろすため、腕の可動域が広く、大胸筋の外側に刺激が加えられます。はっきりとした大胸筋の輪郭を作るのに効果的です。
ダンベルプレスは主に大胸筋内側のほか、三角筋・上腕三頭筋にもアプローチします。多関節種目ですから、肘・肩の関節を使い、周辺にある複数の筋肉部位を動員します。ダンベルを持ち上げるときに大胸筋を収縮させるため、内側へ刺激を加えて胸筋の谷間を作るのに効果的です。
③扱える重量
ダンベルフライとダンベルプレスは扱える重量にも差があります。前述したように、ダンベルフライはアイソレーション種目(単関節運動)、ダンベルプレスはコンパウンド種目(多関節運動)です。
この二つを比べると、多くの関節と筋肉を同時に動かす多関節種目・ダンベルプレスの方が一度に多くの重量を扱えます。そのため、複数の部位を鍛えられると同時に高負荷の筋トレが可能になり、筋力アップに効果的です。
それに比べて、単関節種目であるダンベルフライは肩関節だけを使うため、大きな重量は扱えません。その代わり、可動域を広く取れます。また、大胸筋だけに絞って筋肉をストレッチさせるので、胸筋だけをピンポイントで筋肥大させたい場合に有効です。
ダンベルフライとダンベルプレスを行う順番は?
ダンベルフライとダンベルプレス、どちらのトレーニングを先に行うべきでしょうか?
順番の決め方には二通りあります。
順番の決め方①鍛えたい部位を優先
まずは、鍛えたい部位を優先する方法です。ダンベルフライは大胸筋の外側(輪郭)、ダンベルプレスは大胸筋の内側(谷間)をはっきりさせるトレーニングです。輪郭を作りたいならダンベルフライから、谷間を作りたいならダンベルプレスから取り組み、やや多めのセット数をこなします。複数のメニューを同じ日にこなす場合は、後になればなるほど筋肉に疲労がたまり、力が入らなくなってしまいます。
重点的に鍛えたい部位は筋肉に疲れがないうちにできるだけ優先して取り組み、しっかり追い込みましょう。優先したい部位がきまっている人におすすめの方法です。
順番の決め方②高重量→低重量で追い込み
次は、重量で決める方法です。まずは高重量を扱えるダンベルプレスから始め、その次に低重量でダンベルフライで筋肉を追い込みます。
ダンベルプレスは高負荷のトレーニングになるため、他のメニューを行ったあとでは筋疲労が激しく、重いウェイトを持ち上げられなくなる恐れがあります。先に負荷強度の高いダンベルプレスで大胸筋・三角筋・上腕三頭筋に刺激を与えたら、低負荷のダンベルフライで大胸筋だけを狙って追い込みましょう。大胸筋を無駄なく鍛えたい人におすすめの方法です。
ダンベルフライ・ダンベルプレスの基本メニュー
このパートでは、ダンベルフライとダンベルプレスの基本的なやり方やフォームについて解説します。
基本のダンベルフライ
ダンベルフライの正しいやり方とフォームの注意点を解説します。
やり方
ダンベルフライは大胸筋のストレッチを意識して行いましょう。肘を開きすぎたり、肩を傷めないよう注意してください。
1.ダンベルを持ってベンチへ仰向けになります。
2.手の平が向かい合わせになるように、肘を伸ばします。
3.肩甲骨を寄せて肩を下げ、胸を張ります。
4.肘を曲げて前腕をやや外側に広げつつ、ゆっくりダンベルを下ろします。
5.胸の一番高い位置までダンベルを下ろしたら、弧を描くように腕を閉じ、元の位置に戻ります。
フォーム・注意点・コツなど
・肩甲骨を寄せて、大胸筋のストレッチを意識する
・腕ではなく胸筋を使ってダンベルを動かす
・肘は伸ばしすぎず、若干曲げておく
・腕を真横に開くと肩を痛めるため、ダンベルは下げすぎない
・ダンベルを下げたときの肘の角度は100〜120度程度
・弧を描くようにダンベルを移動させる
・ダンベルを持ち上げるときは内側へぎゅっと絞るイメージで
ダンベルフライで最も多いフォームの誤りは「肘の伸ばしすぎ」です。肘をぴんと伸ばしてしまうと、大胸筋へかかるはずの負荷が肩や腕へ分散してしまいます。かと言って肘を曲げすぎると、今度はダンベルプレスのフォームに近づいてしまいます。
腕を下ろしたときに前腕が地面に対して垂直よりやや外側に開いていれば正しいフォームと考えて良いでしょう。次に多い誤りは「ダンベルを深く下ろしすぎる」ことです。ダンベルフライの目的は大胸筋をストレッチさせることですが、ダンベルを持ったままあまり深く腕を下ろすと、怪我をしたり関節を痛める恐れがあります。ダンベルの位置は胸の高さまでと覚えてください。
セット数
15〜20回×3セットを目安に行います。
基本のダンベルプレス
ダンベルプレスの正しいやり方とフォームの注意点を解説します。
やり方
ダンベルプレスは高重量を扱えるトレーニングです。重いウェイトに挑戦するときは、足で踏ん張れる高さにベンチを調整しておきましょう。
1.ダンベルを胸の高さで構えて、ベンチへ仰向けになります。
2.肩甲骨を寄せて肩を下げ、胸を張ります。
3.胸筋を収縮させるイメージでダンベルを真っすぐ上に持ち上げます。
4.持ち上げた時の軌道に沿って、胸の高さまでダンベルを下ろします。
フォーム・注意点・コツなど
・肩甲骨は中央に寄せて、背中にくぼみを作る
・体を反らせたり、腰を浮かせたりしない
・手首は曲げたり返したりせず、真っすぐを保つ
・肘は伸ばしすぎず、若干曲げておく
・ダンベルは天井へ向かって真っすぐ押し上げる
・ダンベルを下げたときの肘の角度は90度以内
・挙上重量は正しいフォームを保てる範囲内で
ダンベルを持ち上げるときはやや内側へ向かって胸筋を絞る
・呼吸を止めない
ダンベルプレスで特に注意したいポイントは「手首を真っすぐに保つ」ことです。手首が曲がって天井を向いていたり、反ったりした状態でダンベルを持ち上げると、手首を痛めてしまいます。腕に対して手首は垂直を保ちましょう。もしそれが難しい場合は、挙上重量を減らすか、リストラップを着用して手首を補強します。ベンチプレスの効果を高めるには、しっかり胸を張って大胸筋をストレッチさせることが重要です。
背中にアーチを作るイメージで肩甲骨を寄せると、自然と胸を突き出す姿勢になります。この時、腰を浮かせたり爪先立ちにならないよう注意しましょう。フォームが不安定になって筋トレ効果が半減するばかりか、体を痛める可能性があります。
セット数
10回×3セットを目安に行います。
ハイブリッド種目「ダンベルフライプレス」
ダンベルフライプレスとは、ダンベルフライとダンベルプレスの中間の種目です。大胸筋に高負荷をかけられるダンベルプレスと、大胸筋のストレッチに効果的なダンベルフライ、両方のメリットを併せ持った最強のメニューと言えます。大胸筋をできるだけ早く大きくしたい人におすすめです。
やり方
ダンベルフライプレスはダンベルを下ろす時のダンベルフライの腕を開く動きと、ダンベルプレスの腕を押し上げる開きを組み合わせて行います。
1.ダンベルをもってベンチへ仰向けになり、肘を90度にします。
2.肩甲骨を中心に寄せ、胸を張ります。
3.肘の角度を保ったまま、腕を開いてダンベルを肩の高さまで下ろします。
4.腕を閉じながら、押し出すイメージも加えてダンベルを胸の上にあげます。
フォーム・注意点・コツなど
コツや注意点はダンベルプレス・ダンベルフライとそれほど変わりませんが、ダンベルを上げ下げするときの腕の軌道に注意します。
・腕を下ろす時はダンベルフライ、腕を上げる時はダンベルプレスのフォームで
・ダンベルはハの字に構える
・スタート時は手が向かい合った状態で始める
・手首を内側にひねりつつダンベルを持ち上げる
・ダンベルを押し上げたときに親指同士が向かい合うように
セット数
10〜20回×3セットを目安に行います。
筋トレは複数メニューを組み合わせて行うと効果アップ
大胸筋は全身の内でも特に大きな筋肉です。ですから、同じ大胸筋を鍛える種目と言っても、外側・内側に効くメニューなど複数あります。ダンベルプレス、ダンベルフライなどの他にもさまざまな種目で追い込むことで、より筋肥大効果がアップします。自分の目標や理想の姿を目指して、トレーニングを掛け合わせに挑戦してみてもいいですね。