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注目の投資テーマ「再生可能エネルギー」とは|有望な関連銘柄を解説

Aventure編集部

テレビのニュースやCMでも、盛んに取り上げられるようになった「再生可能エネルギー」。自然のエネルギーゆえに使用しても枯渇することなく、再利用できるクリーンなエネルギーとして注目されています。世界中の国で温暖化対策や脱炭素が叫ばれる中、再生可能エネルギーの進歩は今後の経済にも重要な影響を与えるでしょう。
今回は再生可能エネルギーの基本情報と、関連する日本の銘柄について解説します。これからテーマ株を探そうとしている方は、ぜひ投資の参考にしてください。


再生可能エネルギー関連銘柄の基礎知識

世界中の国々が「脱炭素社会」に向けた取り組みを進めており、再生可能エネルギーへの関心が高まっています。

まずは再生可能エネルギーと関連銘柄に関する基礎知識について見ていきましょう。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーは「太陽光」「風力」「地熱」「水力」「バイオマス」など、自然界に常に存在するエネルギーのことです。温室効果ガス(二酸化炭素)をほとんど排出せず、自然のエネルギーだからこそ枯渇することがありません。

再生可能エネルギーは自然や工場で発生する不要なエネルギーが資源であり、石油・石炭・天然ガスのような有限な資源(化石燃料)に代わる存在として注目されています。

2016年に発効された「パリ協定」では、

・世界の平均気温上昇及を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること
・できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には温室効果ガス排出量と吸収量のバランスをとること

以上のような合意が交わされており、パリ協定の合意を実現する方法として温室効果ガスを発生させない再生可能エネルギーの開発が急務です。

再生可能エネルギーの関連銘柄とは

世界が脱炭素社会に向かう中、再生可能エネルギーの関連銘柄は株式市場でも有力なテーマ株です。太陽光発電や風力発電の開発・施工を行う企業はもちろん、省エネ導入・普及を後押しする会社や空調設備を手がける会社も再生可能エネルギー関連株とされます。

再生可能エネルギー銘柄の今後の株価展望

世界最大規模を誇る独立系資産運用会社である「ウェリントン」によれば、2021年10月末時点では世界の電力会社の株式MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに対する相対PER(株価収益率)が0.92倍と、15年ぶりの低い水準で取引されています。

欧州では2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量と吸収量が同じになるカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の実現を目標にしています。日本でも2020年10月26日、当時の菅義偉首相が臨時国会の所信表明演説で国内の温室効果ガス排出を2050年までに「実質ゼロ」にする方針を打ち出しました。

世界中でインフラ投資の流れが加速するなか、現在のPER1倍未満の水準は投資先として魅力的といえるでしょう。


再生可能エネルギー関連銘柄に注目が集まる理由

再生可能エネルギーがかつてなく注目されている背景を、環境省の資料などを交えて紹介します。

国をあげて温室効果ガスの排出ゼロを目指している

再生可能エネルギーが注目される理由・背景としては、環境問題への対策が待ったなしの状態であることがあげられます。

近年では平均気温の上昇や台風の大型化など、日本でも温暖化の影響を感じることが多くなりました。もちろん日本だけでなく、世界中で環境へ配慮した脱炭素社会の実現が叫ばれています。

エネルギー自給率の向上につながる

再生可能エネルギーを開発することは、エネルギー自給率の向上に役立ちます。日本は諸外国と比較して一次エネルギー自給率(加工されない状態で供給されるエネルギーの自給率)が原子力を除けば4%と非常に低く、中東地域への依存率もほかの先進諸国と比較して高くなっています。

 

中東依存率

日本

47%

米国

18%

中国

43%

フランス

13%

引用元:環境省|再生可能エネルギー導入加速化の必要性など

日本国内で生産できる再生可能エネルギーの導入拡大によってエネルギー自給率を向上させることは、エネルギーセキュリティ対策としても重要です。

再生可能エネルギーは国際的な成長分野である

世界の再生可能エネルギーの市場は年々拡大しており、世界的な成長分野として期待されています。 日本は太陽光発電においては特許出願数1位の位置にあるなど技術的には先行していますが、市場のシェアを拡大できていないのが現状です。

他国に遅れずに新市場に参入するには国内市場をベースに新技術を確立し、海外展開を積極的に図る必要があります。 再生可能エネルギーの内需拡大は、国際的な競争力を確保するためにも重要です。


再生可能エネルギーの今後の課題

エネルギー自給率の向上や環境対策として注目されている再生可能エネルギーですが、現状はいくつもの欠点があります。

再生可能エネルギーが抱える、今後解消するべき課題について紹介します。

エネルギー変換効率が低い

太陽光・風力は今後の主力になるとみられる再生可能エネルギーですが、発電効率が火力発電や原子力発電よりも低い点がデメリットです。

 

変換効率(エネルギー変換効率)

太陽光発電

10%

風力発電

25%

水力発電

80%

火力発電

43%

原子力発電

33%

エネルギー変換効率が低いことは、主力電力を目指すうえで解消しなければいけない課題の1つです。今後の技術の進歩が期待されます。

生産コストが高い

再生可能エネルギーの実現を阻害している要因の1つに、コスト面の問題もあります。日本の場合、太陽光発電システムの建設工事費のコストがドイツの約4倍もかかるのが現状です。

また、太陽電池モジュールのコストについても、ドイツは中国・台湾と同様のコストで生産できているのに対し、日本はやや割高です。 太陽光発電のコストを引き下げるには、モジュールコストと建設工事費の引き下げが重要になるでしょう。

気候や災害などのトラブル発生に弱い

再生可能エネルギーの発電量は天候や季節といった環境要因に左右されます。天候の悪化で需要と供給のバランスが崩れて停電が発生することがリスクとして懸念されます。

安定した電力供給元として期待されているのが、開発が進められている洋上風力発電です。陸上風よりも安定して強い風が吹くとされており、障害物がないため安定した風を得られます。

「現状は陸上風力よりもコストが高い」「塩害や強風を受けるため、メンテナンスの手間やコストがかかる」などの問題もありますが、今後の技術向上が待たれます。


日本の再生可能エネルギー関連株

2021年10月22日に「第6次エネルギー基本計画」が策定され、2040年までに3,000万~4,500万kWという具体的な導入目標が明示されました。今後も再生可能エネルギー関連株が注目を浴びる状況は続いていくでしょう。

ここでは注目の再生可能エネルギー関連銘柄とインフラ投資法人を紹介します。

東亜建設工業

東亜建設工業は海洋土木に強みを持つ総合建設業です。中期経営計画の初年度にあたる2021年3月期には洋上風力発電施設の建設を目的にSEP(超大型のクレーンを搭載した自己昇降式作業船のこと)の建造などに70億円を投入することを発表しました。国内最大規模の積載重量とクレーン吊り上げ能力をもつため、大型の洋上風力発電設備を複数搭載しながら建設できます。

株価は2020年5月1日の1株1,398円から2022年4月15日には2,921円と、2年弱で2倍以上に値上がりしています。

出光興産

出光興産はサービスステーション向けのガソリンや灯油、軽油の販売事業が広く知られているエネルギー企業です。一方で太陽光・風力・バイオマス発電所など再生可能エネルギー電源の開発・運営・国内電力の供給、卸売・小売販売なども手がけています。

同社の「次世代技術研究所」では製油所・発電所・工場などから排出されるCO2から炭化水素などの有用物質を製造することを目指した触媒変換技術や電解還元技術などの研究開発を行っています。

株価は2018年10月5日の1株6,310円をピークに下落基調が続いていましたが、2020年10月30日の1株2,105円あたりから上昇トレンドに転換しました。2022年4月19日には1株3,530円まで回復しています。

レノバ

レノバは太陽光・バイオマス・風力・地熱などの再生可能エネルギーの発電施設を開発し、電力会社を通じて消費者に電力を供給する企業です。太陽光発電では大規模な発電所を日本全国で開発・運営。大規模洋上風力発電の開発にも携わっています。

レノバの注目ポイントは、複数の再生可能エネルギー電源(マルチ電源)の開発に取り組んでいる点です。太陽光や風力などの「発電量が変動する電源」にバイオマスや水力、地熱など「発電量の安定が可能な電源」を一緒に保有することで、より安定的に電力供給できるメリットが期待できます。

株価は2020年10月2日には1株1,222円から急上昇し、2021年9月10日には1株6,110円になりました。そのあとは大きく調整し、2022年4月19日には1,607円まで下落しています。今後は再生可能エネルギーの開発のされ方によっては再び大きく成長する可能性もあるでしょう。

インフラ投資法人(インフラファンド)

クリーンエネルギー関連株に投資する方法としては個別株に投資する以外に、インフラ投資法人に投資する方法があります。
投資法人は投資目的で設立された会社のことです。太陽光発電設備などに投資するインフラ投資法人に投資することで間接的に再生可能エネルギー株に投資できます。

インフラ投資法人のメリットの1つは、分配金利回りが非常に高い点です。個別株の平均配当利回りは2.3%程度ですが、インフラ投資法人は5~6%という高い水準にあります。

分配金利回りが高い理由の1つが、2012年7月に始まった「固定価格買取制度」です。この制度によって売電価格が20年間固定されているためインフラファンドの収益は安定し、利回りの安定度も非常に高くなっています。

1つの懸念材料としては2022年4月から、市場価格によって売電価格が変動する仕組み(FIP)に移行が始まっている点です。インフラファンドへの利回りの影響が懸念されていますが、各社で制度以降を見据えた対策をすでに進めています。

日本再生可能エネルギーインフラ投資法人のスポンサーであるリニューアブル・ジャパン株式会社では、すでに東京ガスと超長期のNon-FIT契約(相対取引で欠かうが決定する方式)を結んでおり、FIT契約に頼らないビジネスモデルの確立を目指しています。

制度移行によるインフラファンドへの影響は未知数で、ファンドごとに対応はさまざまです。始まったばかりの制度ですから、今後の動向に注目していきましょう。

日本にあるインフラ投資法人のなかで、再生可能エネルギーを扱う代表的なファンドは以下のとおりです。

 

投資口価格(2022年4月19日)

利回り

タカラレーベン・インフラ投資法人

111,300円

5.81%

いちごグリーンインフラ投資法人投資証券

69,400円

2.49%

日本再生可能エネルギーインフラ投資法人投資証券

103,100円

3.96%

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人投資証券

120,400円

4.72%


再生可能エネルギー関連株は今後に大きく値上がる可能性がある

枯渇の心配がない再生可能エネルギーは、パリ協定によって定められた温室効果ガス削減目標のためにも欠かせない存在です。

現在は「エネルギー変換効率が悪い」「天候や環境に発電量が左右される」などの問題もある状態ですが、今後は技術の進歩によって問題が解決されて需要が急増することが期待されます。そうなれば、関連銘柄の株価上昇が期待できます。

今のうちからエネルギー関連株について見識を広め、投資候補になる銘柄を絞り込んでおきましょう。

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