不動産投資ローンと住宅ローンの違い|ローンを借りるメリットを解説
Aventure編集部
毎月の家賃収入が得られることで以前から人気がある不動産投資。区分マンションやアパートに投資するには自己資金だけでなく、不動産投資用のローンも検討しましょう。「借金」と聞くと良い響きではありませんが、お金を借入することで効率良く投資ができるメリットがあります。今回は不動産投資ローンを利用することのメリットや、住宅ローンとの違いについて紹介します。
不動産投資ローンとは
不動産投資ローンは、「事業として」不動産を購入する際に利用できるローンです。不動産投資という事業に対して融資されると考えると分かりやすいでしょう。
不動産投資ローンとアパートローンの違い
不動産投資ローンと似た性質のローンに「アパートローン」があります。一般的に不動産投資ローンは区分所有の物件(ワンルームマンションなど)が対象で、アパートローンが名前のとおり一棟の建築物が対象という点で異なります。
不動産投資ローンの金利は2つの種類がある
不動産投資ローンの金利は大きく分けて「変動金利」「固定金利」の2種類から選べます。多くの金融機関では変動金利が適用されますが、金融機関によっては固定型を適用できるケースもあります。
変動金利は基準金利が変動するタイプで、不動産投資ローンの金利が変動するごとに返済額が見直されます。金利水準が固定金利よりも低いため、将来金利が上昇しない前提であれば返済総額を安く抑えられます。
固定金利は返済期間中の金利変動なく返済できるタイプです。借入時点で毎月の返済額が将来にわたって確定しているため、返済計画を立てやすいメリットがあります。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資ローンと住宅ローンの4つの違いを解説します。
借入の目的が違う
不動産投資ローンと住宅ローンは物件の購入費用という点では同じです。ただ、借入の目的が明確に異なります。
不動産投資ローン:事業用のローン
住宅ローン:自己居住用のローン
住宅ローンは自宅の購入・リフォームに充てるためのローンで、借り入れする本人が居住する物件に対する費用が対象です。不動産投資を目的とした物件を購入するためには利用できません。
不動産投資ローンは不動産投資で収益を得るためのローンで、自宅を購入するためには利用できません。
返済原資が給与か家賃か
住宅ローンと不動産投資ローンは返済原資にも違いがみられます。
不動産投資ローン:毎月の家賃収入
住宅ローン:労働による給与収入
不動産投資ローンの返済原資は毎月の家賃収入です。賃貸経営で入居者から得られる家賃の中から金融機関への返済金額を捻出します。住宅ローンは個人に関するローンであり、毎月の給与から返済を行います。
融資金額が投資向けか個人向けか
融資金額は一般的に住宅ローンよりも不動産投資ローンのほうが高額で、住宅ローンの融資額は個人の年収の5~8倍になるのが一般的です。
申込者の属性次第では年収の9~10倍近くまで借り入れできることもあります。 一方の不動産投資ローンの場合は給与年収に加えて家賃収入・預貯金も加味され、年収の10~20倍まで借り入れできる場合もあります。
適用される金利
住宅ローンよりも不動産投資ローンの金利が高くなるのが一般的です。
住宅ローンの返済原資である給与は会社員であれば勤続する限り大きく変わることはありません。金融機関からすると貸し倒れのリスクが小さいことから、0.4~2.0%の低金利で借り入れが可能です。
一方の不動産投資ローンの場合、1.5~4.0%程度の金利が相場です。融資金額が大きい分だけ返済金額も大きい点はもちろん、返済原資が家賃収入である点で貸し倒れリスクがあります。
不動産投資ローンのメリット
不動産投資ローンを活用することでいくつものメリットが得られます。
ここでは、不動産投資ローンのメリットを解説します。
レバレッジ効果で効率良く投資できる
資産運用は、本来なら自身の余裕資金の範囲内で運用することになります。一方で不動産投資は、預貯金の何倍~何十倍の金額を借りることで「レバレッジ効果」をきかせて運用できるのが特徴です。
預貯金が1,000万円の場合、6,000万円の物件を現金で購入するまでに5,000万円の貯金が必要です。毎月10万円ずつ貯金するとしても40年以上も我慢をしないといけません。
不動産投資ローンを借り入れば、すぐに資産運用を始められます。
レバレッジ効果とは
不動産投資の世界におけるレバレッジ効果は、少ない自己資金で大きな利益を得ることです。ローンからの多額の融資を受けることによって、少ない自己資金で実現できない投資効果を得られます。
手持ちの資金を残したまま投資できる
不動産投資は株式投資や投資信託などの金融商品と違い、現物の不動産を所有します。定期的に訪れる不動産の修繕などに対応するために、現金を用意しておかなければいけません。
数千万円の物件を自己資金で購入して資金に余裕がない場合、急に発生する修繕費を払うことは難しいでしょう。不動産投資ローンを活用することで、手元に資金を残しつつ数千万円単位の融資を受けられます。
団体信用生命保険に加入できる
不動産投資ローンには多くの場合、団体信用生命保険(団信)が付いています。
団体信用生命保険はお金を借りた債務者が完済前に事故や病気で亡くなった場合に、その時点の残債を保険会社が返済してくれる保険制度です。
債務者に万が一のことがあった場合は、ローン返済済みの不動産を家族に財産として残すことができます。
ただし、団信は生命保険であり、健康に関する告知が必要です。
不動産投資ローンの借入先の選択肢
不動産投資ローンを取り扱う金融機関は多く存在します。いざ不動産投資を始める際、どこに申込するか迷うことになるかもしれません。
申込手続きにかかる時間を無駄にしないためにも、自身の状況に適した金融機関を絞り込んでおくことをおすすめします。
メガバンク(都市銀行)
メガバンクは東京や大阪などの大都市に本店を構えて全国展開をしている金融機関のことです。取引件数や預金残高が特に大きい「みずほ銀行」「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」の3銀行がメガバンクと呼ばれます。
メガバンクのメリットは金利の低さと全国展開による対応エリアの広さです。
ただし、金融機関によって不動産投資ローンへの力の入れ具合は異なります。メガバンクによっては、不動産担保ローンやアパートローンなどを扱っていないこともあります。
メガバンクの不動産投資ローン例:みずほ銀行
みずほ銀行のアパートローンは、最大で5億円という高額融資が受けられる不動産投資ローンです。返済期間も35年と長く、安定した返済が可能です。金利は「連動金利型」「固定期間選択型」「全期間固定金利」の3つから選択できます。
ローン名 |
アパートローン |
利用条件 |
・満20歳以上の方 ・安定した収入のある方で、前年度税込年収200万円以上の方 |
借入金額 |
50万円以上5億円以内(1万円単位) |
返済期間 |
1年以上35年以内(1年単位) |
金利 |
・連動金利方式 ・固定金利選択方式(2年、3年、5年、10年、15年、20年のいずれか) ・全期間固定金利方式 |
保証人 |
申込内容次第 |
担保 |
原則として借入金額の110%の金額にて第1順位の根抵当権を設定 |
地方銀行
地方銀行は横浜銀行や福岡銀行、静岡銀行など地域の名前を冠した銀行で、地域に密着した経営を行っています。 地方銀行で不動産投資ローンを申し込むには「本店所在地の都道府県に物件がある」「申込者の住所がある」などの条件がつく場合があります。
地方銀行の不動産投資ローン例:千葉銀行
千葉銀行の金利選択型アパートローンは、変動金利と固定金利選択型のいずれかから金利を選択できます。ちばぎん保証が保証人になるため、自前で連帯保証人などを用意する必要がないのもメリットです。
ローン名 |
ちばぎん金利選択型アパートローン |
利用条件 |
・借入時の年齢が満20歳以上(団体信用生命保険を付保する場合は、満20歳以上満70歳未満) ・原則として安定した収入がある ・ちばぎん保証(株)の保証を受けられる ・不動産賃貸を本業としていない |
借入金額 |
1億円以上(10万円単位) |
返済期間 |
1年以上35年以内(1年単位) |
金利 |
・変動金利 ・固定金利(適用期間3年、5年、7年、10年のいずれか) |
保証人 |
ちばぎん保証(株)の保証を要する |
担保 |
融資対象不動産を担保とし、ちばぎん保証(株)が第1順位の抵当権を設定 |
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が100%の株式を常時保有する政府系金融機関です。小口資金や教育費といった「国民生活事業」、食品や農業を支援する「農林水産事業」、長期的な融資やイノベーション支援などを目的にした「中小企業事業」等を主な事業内容としています。 若者や女性、シニア層などに対しては融資の基準を引き下げており、なおかつ1~2%台の固定金利で融資を実施しているのが特徴です。
日本政策金融公庫で不動産投資に使えるローン
日本政策金融公庫では用途別に多様なローンが用意されていますが、なかでも「企業活力強化資金」が不動産投資ローンとして利用できます。ただし、返済期間が20年と短いため、その点は理解しておく必要があります。
ローン名 |
企業活力強化資金(国民生活事業) |
利用条件 |
不動産賃貸業 ※中心市街地の活性化に関する法律第15条第1項各号に定めるまちづくり会社等、または同法第42条第4項に定める民間中心市街地商業活性化事業計画の認定を受けた方に限る |
借入金額 |
7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 |
・設備資金:20年以内<うち据置期間2年以内> ・運転資金:7年以内<うち据置期間2年以内> |
金利 |
[基準利率]、[特別利率A]、[特別利率B]、[特別利率C]のいずれか |
保証人 |
要相談 |
担保 |
要相談 |
信用金庫
信用金庫は会員・組合員からの共同出資で運営される非営利団体で、地方銀行よりもさらに地域を絞って営業を行います。 物件の所在地や申し込み者の住所が支店の管轄地域に含まれることが融資の条件ですが、メガバンクや地方銀行と比較して柔軟な審査が期待できます。
信用金庫の不動産投資ローン例:巣鴨信用金庫
信用金庫は地域ごとに種類がありますが、たとえば巣鴨信用金庫では「新型アパートローン」を提供しています。保証人が原則として不要である点がメリットですが、返済期間は25年とやや短めです。
ローン名 |
新型アパートローン |
利用条件 |
・金庫会員、または会員となる資格を有する個人 ・お借り入れ時年齢、満20歳以上70歳以下の方(お申し込み時70歳超の方は親子リレー型になります) ・勤続または営業実績が3年以上で安定した収入がある方 ・アパートを建築する土地を本人または家族が所有していること (借地権の取扱はできません) |
借入金額 |
100万円以上1億円以内(10万円単位) |
返済期間 |
1年以上25年以内(月単位) |
金利 |
変動金利型または固定金利型(3年、5年、10年)のいずれかを選択 |
保証人 |
原則として不要 |
担保 |
対象の土地と建物に巣鴨信用金庫を第一順位の抵当権を設定 |
不動産投資ローンの利用で効率的な資産運用を
不動産投資ローンを活用することで自己資金の何倍もの借入ができ、レバレッジをかけた効率的な不動産投資ができます。団体信用生命保険(団信)に加入することで、万一の際に家族に現物の財産を残せるのもメリットです。
具体的に金融機関を探す際は投資物件の住所や自身の年収などから、候補になる金融機関を絞り込んでみましょう。