話題のHIITとは?筋トレと併用できる?注意点やポイントを解説
Aventure編集部
短時間の集中的なトレーニングで高い脂肪燃焼効果があると話題の「HIIT(ヒット/ヒート)」。
複数の高強度トレーニングを組み合わせることで、ダイエット効果だけでなく体力や心肺機能の向上効果も得られます。1セット5分以内で行える手軽さと、効率の良さから最近注目を集めている運動方法です。
本記事では、HIITの効果やメリット、代表的なメニュー、筋トレと併用する場合の取り組み方を解説。
「HIITトレーニングがどういうものか知りたい」「HIITトレーニングに挑戦してみたい」「HIITと筋トレを並行して取り組みたい」という人はぜひ参考にしてみてください。
HIITトレーニングとは?
HIITとは「High-Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)」の略で、高強度の運動と小休憩(インターバル)を繰り返すトレーニング法です。
HIITの最大のメリットはなんといっても、短期間で効果を実感しやすいこと。高強度な分、すぐに効果が出やすく、短期集中でダイエット効果や筋力アップを狙うトレーニーにはおすすめです。
筋トレと併用でさらに効果がアップ
HIITは通常の筋トレとも並行して同日に行ってもOKです。その場合は筋トレを先に行ってからHIITに取り組みます。
詳しくは『HIITトレーニングの注意点』で後述しますが、HIITと筋トレを一緒に行うことで、筋力アップはもちろん、より一層高い脂肪燃焼効果を得られます。
正しいHIITのやり方
HIITは、4種類のトレーニングに各20秒ずつ取り組んだら10秒休むというサイクルを2周行います。(20秒+10秒)×4種類×2周=4分(240秒)となる計算です。
トータルでたった4分と短時間ですが、トレーニングの20秒間は全力で取り組まなければいけません。それがHIITにおいて最も重要なポイントです。
全力で取り組む20秒が過ぎたら、休憩(インターバル)を10秒とります。このとき、体の動きを完全に止めてはいけません。軽いストレッチなどをしながら呼吸を整える時間にします。
HIITで行う4種類のトレーニングは、自分が取り組みたいものの中から好きに選びます。後ほど、HIITの代表的なトレーニングを紹介しますが、その中から自由に組み合わせてオリジナルのHIITメニューを作っても良いでしょう。
HIITの効果・メリットとは?
このパートではHIITの効果とHIITを行うメリットについて解説します。
短期集中でダイエット効果が出やすい
HIITは20秒間の間、全力でトレーニングを行います。その間、筋肉中の糖の消費率が高まり、体は脂肪を燃焼しやすい状態になります。通常の有酸素運動なら50分をかけて消費するエネルギーがHIITなら10分で消費できるとも言われています。
また、ハードな運動による筋力向上、それに伴う基礎代謝アップも目指せるため、忙しくて運動をする時間のない人でも、太りにくく痩せにくい体作りが可能です。
心肺機能の強化、体力向上、筋力アップなどにも効果が期待できる
先述した通り、HIITはとてもハードなトレーニングです。全力で高負荷メニューをこなし、最大心拍数の90%以上まで心拍数を上げて取り組みます。
分かりやすく言うと「息が上がり会話ができなくなるくらい」の運動で追い込む必要があるのです。わずか4分のトレーニングでも心臓や肺は活発に働き、機能の向上が狙えます。
トレーニング後もアフターバーン効果で消費カロリーが高い状態が続く
アフターバーン効果とは、激しい運動を行った後に普段よりも体の代謝が高い状態が続くというものです。
運動によって酸素不足になった体は、酸素を補うことで元の状態に戻ろうとして通常より多くの酸素を消費します。この状態になったときの消費カロリーは有酸素運動の6〜10倍、それが運動後の24〜72時間ほど続くと言われています。
トレーニングメニューを自分に合わせてカスタマイズできる
HIITはトレーニングメニューを自分でカスタマイズできます。
「限界まで追い込むこと(最大心拍数の80〜90%)」という一点さえ守れば、体力や、強化したい部位に合わせて好きなトレーニングを組み合わせ、初心者向け・部位特化・カロリー消費特化など、オリジナルのHIITメニューを作れます。
HIITトレーニングメニュー10選
このパートではHIITトレーニングメニューの代表的なものを紹介します。
※①〜⑥はタバタ式トレーニング(タバタ・プロトコル)といい、立命館大学教授・田畑泉氏が提唱したトレーニング方法に取り入れられているメニューです。
アスリート向けの内容で、HIITの中では特に強度が高いものであることを覚えておきましょう。
①バーピー*(バーピージャンプ)
バーピーは直立した状態から→腕立て伏せ→ジャンプを行うトレーニングで、複数の動作を組み合わせて行います。全身の筋力向上と脂肪燃焼効果、心肺機能向上効果があります。
<やり方>
1.直立した状態からその場にしゃがみ、両手を床につけます
2.両足を後ろに伸ばして腕立て伏せの体勢をとります
3.両足で地面を蹴ってジャンプし、足を元の位置に戻します
4.膝を伸ばし、バンザイをする格好でその場で高くジャンプします
<コツ>
・スピードよりも、正しいフォームで行うことを心掛ける
・足はこぶし一つ分ほど空ける
・着地やジャンプに勢いをつけすぎない
②スクワットジャンプ*(ジャンピングスクワット)
スクワットジャンプは通常のスクワットにジャンプの動作を加えたものです。脂肪燃焼効果はもちろん、体幹強化、下半身の引き締め効果もあります。
<やり方>
1.足を肩幅に開きます
2.背筋を伸ばして、お尻を後ろへ突き出し、スクワットのフォームをとる
3.両腕を天井に向かって上げ、力いっぱいジャンプする
4.膝を曲げ、お尻を引いた体勢で着地する
<コツ>
・常にかかとを上げた状態で行う
・両腕の反動を使い、できるだけ高く跳ぶ
・しゃがみ込む時は深く
③マウンテンクライマー*
マウンテンクライマーは全身の筋肉を効率よく鍛えられるメニューです。無酸素運動と有酸素運動のどちらの性質も持っているので、筋トレ効果と脂肪燃焼効果の両方が得られます。
<やり方>
1.両手を床につき、腕立て伏せの体勢をとります
2.片足で床を蹴り上げ、膝を胸に引きつける
3.足を戻したら反対側の足の膝も同じように胸へ引きつける
<コツ>
・呼吸を止めずに行う
・背筋はまっすぐ伸ばす
・やや前傾姿勢で行うと良い
④腿上げダッシュ*
腿上げダッシュは通常の腿上げよりも高速で行う、負荷の高いメニューです。体のうちでも比較的大きい太ももの筋肉を鍛えることで基礎代謝アップ、脂肪燃焼効果を期待できます。
<やり方>
1.背筋を伸ばし、直立の姿勢で構えます
2.両腕を前後に振るのに合わせて左右の膝を交互に上げます
<コツ>
・太腿は床と平行かそれよりも高くなるように上げる
・足を上げるときは胸に近づけるイメージで
・スピードを上げるとより運動強度が高まります
⑤ジャンピングジャック*
ジャンピングジャックとはその場で両手足を開いたり閉じたりするだけの手軽なメニューです。とはいえ全身を使った有酸素運動ですので、脂肪燃焼効果は抜群です。
<やり方>
1.両手は脇に下ろし、足は肩幅くらいに開いて立ちます
2.軽くジャンプして、両手両足を広げます。(両手は頭上で軽く触れ合わせる)
3.素早く両手両足を閉じ、着地します
<コツ>
・足を広げすぎない
・つま先から着地する
・動作はテンポよく行い、停止しない
⑥エアロバイク*
エアロバイクは負荷の設定次第で、高強度と低強度の運動を簡単に切り替えることができるメニューです。下半身の強化と脂肪燃焼に効果的です。
<やり方>
1.自分の体力レベルよりやや負荷を高めに設定します
2.全力で20秒間ペダルを漕ぎます
3.設定を低負荷に落とし、10秒間ペダルを漕ぎます
<コツ>
・漕ぐ前にストレッチをしておく
・上体はやや前傾姿勢で
・サドルには深く腰掛ける
⑦クランチ
クランチは上体を持ち上げ、腹直筋の上部を鍛えるメニューです。腹周りを引き締めて、アスリートのようなシックスパックを作ることができます。
<やり方>
1.床に仰向けになり、膝を曲げて足を床に着きます
2.手は頭の後ろか、腹の上に置きます
3.息を吐き、肩を丸めて上体を浮かせます
4.上体を限界まで持ち上げたら息を吸いながら体をゆっくり下ろします
<コツ>
・呼吸を止めない
・上体を起こす時はヘソを覗き込むように
・頭や腕に力を入れない
⑧プランク
プランクは同じ姿勢を維持するだけのシンプルなメニューです。体幹や腹筋、二の腕、背中と全身の筋肉を鍛えられるため、正しいフォームで行えばかなりの負荷になります。
<やり方>
1.うつ伏せになり、床に両肘をつけます
2.腰を浮かせ、頭から背中、腰、かかとまで一直線の姿勢になります
3.しっかり呼吸をしながらその体勢をキープし続けます
<コツ>
・腹周りを中心として全身に力を入れる
・お尻を下げない
・背中を丸めたり腰を反らせない
⑨プッシュアップ(腕立て伏せ)
プッシュアップは、胸筋や肩、二の腕など主に上半身を鍛えられるメニュー。シンプルですが、体幹・インナーマッスル強化にも効果があります。膝をついて行っても構いません。
<やり方>
1.腕を肩幅に開き、足を伸ばしてつま先と手のひらで体を支えます
2.頭から足先が一直線になるよう、背中・腰・膝をまっすぐにします
3.肘を曲げて体を下に落としていきます
4.胸が地面につくぎりぎりまで下げたら、体を上げて元の体勢に戻ります
<コツ>
・肘を開きすぎない
・腕に力を入れすぎない
・腰やお尻を下げない
⑩スーパーマン
スーパーマンは床の上で飛ぶようなポーズをとり、背中側の筋肉を鍛えるメニューです。広背筋はもちろん、お尻や太腿の裏にもアプローチできます。
<やり方>
1.床にうつ伏せに寝転び、手のひらは床に向け両腕を伸ばします
2.両足は揃えて真っすぐにしておきます
3.体を反らして上半身を床から浮かせて起こします
4.限界まで体を起こしたら、その姿勢を2秒キープします
5.力を抜いて、元の体勢に戻ります
<コツ>
・フォームは腹で床を支えるイメージで
・頭や首に力を入れない
・呼吸をしっかり行う
HIITトレーニングの注意点
このパートではHIITを行うにあたって注意したい点を解説します。
HIITは筋トレの後に行う
HIITと筋トレを同日に行う場合、筋トレのあとにHIITを行いましょう。運動をするときはまず体内に残っている糖が使われ、それがなくなってから体脂肪の燃焼が始まります。
そのため、先に筋トレを行って体内の糖を消費してからHIITを行う方が体脂肪の燃焼においてはより効果的です。また、筋トレで鍛えたい部位をしっかり追い込んでからHIITを行うほうが筋力アップにも良いです。
できるだけ全力で取り組み、筋肉を追い込む
自分を限界まで追い込むのは実はとても難しいことです。知らず知らずのうちに手を抜いてしまっていることも。トレーニングを始めたばかりの初心者には難易度が高いでしょう。
実は、「HIITは限界まで到達しなくても効果が期待できる」という説もあります。初心者ならまずは70%程度、慣れてきたら90%程度追い込むことを意識してみましょう。
トレーニング頻度は週1回。慣れたら週2~3回
HIITは毎日行ってはいけません。初心者なら週1回、慣れてきたら週2〜3回に増やしましょう。
高強度のトレーニングを毎日行うと、体に疲労が残り筋力アップに逆効果なのはもちろん、関節を痛めたり怪我をするリスクが高まります。しっかりと体を休ませ、回復を待って次のトレーニングに臨みましょう。
HIITの前の筋トレは上半身を鍛える
HIITの前に筋トレをする場合は、上半身を鍛えるメニューがおすすめです。実はHIITのトレーニングメニューは下半身を使う種目が多いです。バランスよく体を鍛えるためにも、筋トレでは上半身、HIITでは下半身と分けるといいでしょう。
疲労感のある時は休む
体に疲労感のあるときはHIITを休みましょう。短時間でできるとはいえ、疲れた体で高強度のトレーニングをすると、体への負担が大きく怪我や体調不良を引き起こす可能性があります。
「全力で取り組む」というHIITの原則を守るためにも、体が回復し体調の良いときに取り組んでください。
すぐに食事はとらない
HIITが終わってからすぐに食事をとってはいけません。トレーニングをした直後に食事をすると、消化不良を起こす恐れがあります。
食事はトレーニング後30分以上は空けてからにしてください。もしすぐに食べたいという場合は少量で消化の良いものだけをとるようにしましょう。
トレーニングの後はプロテインを飲む
トレーニング後は、プロテインなどで筋肉のもととなるタンパク質を補給しましょう。トレーニング後の30分〜1時間はゴールデンタイムと呼ばれ、体の栄養吸収率が最大限に高まっている状態です。プロテインを飲み、より効率的に筋力アップを目指しましょう。
HIITで筋トレの時短・効率アップを目指そう
まずはHIITの注意点やポイントを押さえつつ、70%程度の追い込みで取り組んでみて、徐々に自分の限界値を探っていくようにしましょう。