積み立てNISAに最適なおすすめの「インデックスファンド」を知って長期投資を成功に導く
Aventure編集部
インデックスファンドとは特定の指数に連動する投資成果を目指す投資信託を指します。日本で最も馴染みのある株価指数に日経平均株価があります。これは日本経済新聞が選んだ国内を代表する225銘柄の株価を指数化したもの。運用会社は日経平均と同じ動きをするよう設計するのです。
インデックスファンドは長期投資をする際のベースとなるものです。インデックスファンドを制する者は投資を制する。投資の基本中の基本となるインデックスファンドを知り、長期投資を成功させましょう。
インデックスファンド(パッシブファンド)とアクティブファンドの違い
投資信託は大きく2つに分類できます。インデックスファンドとアクティブファンドです。インデックスファンドは指数に連動した値動きをするよう設計されています。アクティブファンドは指数を上回る投資成果を目指すものです。
どこに違いがあるのか?
指数に連動するインデックスファンドは、多くの場合運用コストが低く、効率的に市場平均のリターンが得られる特徴があります。インデックスファンドの組入銘柄は、指数を構成する銘柄と同一です。
アクティブファンドは指数を上回る投資成果を目指すため、調査・分析・会社へのヒアリングなど、プロフェッショナルの緻密な知恵や経験を必要とします。その分、コストがかかります。一方、インデックスファンドは基本的に指数を構成する銘柄を集めるだけになるため、コストを抑えることができるのです。
指数には主に以下のようなものがあります。
【株式】
・日経225:日本を代表する流動性の高い225銘柄を日本経済新聞社が選定して算出する指数
・TOPIX:2022年4月4日以降に東京証券取引所プライム市場へ新規上場もしくはスタンダード市場、グロース市場からプライム市場へ市場変更を行った銘柄で構成される指数
・NYダウ:アメリカの各業種から代表的な銘柄をS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが選定して算出する指数
・NASDAQ総合指数:NASDAQ市場に上場しているすべての銘柄約3,000を対象として算出する指数
・S&P500:ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している代表的な500社をS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが選定して算出する指数
・英FT100指数:ロンドン証券取引所に上場する銘柄のうち時価総額上位100銘柄で構成される指数
・香港ハンセン指数:香港証券取引所に上場する銘柄のうち、流動性の高い上位銘柄で構成される指数
・上海総合指数:上海証券取引所に上場するすべての株で構成される指数
・インドSENSEX:ボンベイ証券取引所に上場する代表的な30銘柄で構成される指数
【債券】
・野村BPI:日本の公募債券市場全体の動向を反映する投資収益指数
・FTSE WGBI:複数の国の国債市場で構成される指数
・Bloomberg Barclays Global Aggregate Index:国債、政府関連債、社債、MBS、ABS、CMBSを含む米国総合債券指数
【リート】
・東証REIT指数:東京証券取引所に上場しているリート全銘柄で算出される指数
【コモディティ】
・ダウ・ジョーンズ・コモディティ指数:コモディティ先物市場を幅広く測定する指数
メリット
インデックスファンドのメリットは以下の3つに集約されます。
・低コスト
・分散投資
・値動きの安心感
インデックスファンドの信託報酬は概ね0.1%~0.5%程度です。アクティブファンドは0.9%~1.3%が平均です。運用コストは圧倒的にインデックスファンドの方が低くなります。
手軽に分散投資できる点も高いメリットです。例えば日経225連動型のファンドに投資すれば、数万円で225の主力株に投資しているのと同じことになります。極めて効率的な投資方法です。
各指数はほぼ毎日見聞きするものです。上がった下がった、その要因、今後どうなるかといった情報が常に流れています。それを見て自分の資産がどうなっているのかを大まかに把握することができます。
アクティブファンドは指数に連動しないため、指数と乖離していることがあります。インデックスファンドの安心感や分かりやすさはメリットの一つです。
デメリット
デメリットは以下の通りです。
・大きなリターンが望めない
・大幅な下落もあり得る
アクティブファンドは市場が膠着状態にあるときでも、大きなリターンを得ることがあります。これは銘柄を選定しているためです。しかし、インデックスファンドに指数以上の成果は望めません。
アメリカを中心に利上げの動きが加速し、中央銀行が金融緩和の出口戦略を進めています。その影響は新興国にも広がっており、各株価指数は軟調気味です。インデックスファンドはこの影響を真正面から受けます。
アクティブファンドは指数の急落に影響を受けないこともあり得ます。
インデックスファンドを選ぶ際のポイント
インデックスファンドに限ったことではありませんが、投資信託を選ぶ際に注意すべきポイントは3つです。
・運用手数料
・純資産額
・運用期間
基本的には運用手数料が低く、純資産額が大きく、運用期間の長いものに投資をすべきです。各指標の目安はどれくらいでしょうか?
運用手数料
投資信託の運用手数料は主に3つの要素で構成されています。
・販売手数料
・信託報酬
・信託財産留保額
販売手数料は、投資信託の販売会社に直接支払うものです。同じ投資信託を扱っていても、販売する会社が異なると販売手数料が違うことがあります。購入額に対して数%を支払います。ただし、インデックスファンドを中心に販売手数料が無料のものもあります(ノーロード)。販売手数料はできるだけ無料のものを選びましょう。
信託報酬は運用するために必要なコストで、投資信託に資金を投じている限りはかかる費用です。0.1%~0.5%程度のものを選ぶと良いでしょう。信託報酬はかかり続ける費用ですので、特に気を付けて見ておきたい項目です。
信託財産留保額は、投資信託を解約する時にかかる費用です。投資信託は運用期間が定められており、途中解約をすると換金のための売却費用がファンド側で発生します。それを投資家に負担してもらおうというものです。ただし、信託財産留保額は差し引かれるため、別途支払う必要はありません。
信託財産留保額は、できる限り無料になっているものを選びましょう。
純資産総額
純資産総額とは、ファンドの大きさを示しています。例えば、1口1万円のファンドを組成し、100人が出資をしたとします。ファンドマネージャーが元手となる100万円を複数の株式に投資をし、結果として150万円になりました。
このときの総資産額総額は150万円、100万円が純資産総額となります。
純資産総額の目安は30億円以上。100億円以上のファンドは申し分ないと言えるでしょう。
運用期間
運用期間は3年以上が望ましいと言われています。インデックスファンドは運用期間と純資産総額が連動しているケースがほとんどです。例えば、日経225に連動する投資信託が2つあったとします。どちらも運用コストは0.3%でした。その場合は、運用期間が長く、純資産総額が多いものを選んでください。
おすすめのインデックスファンド
国内で特に人気の高いインデックスファンドを紹介します。
※純資産額、投資期間、運用手数料などは2022年4月27日のものです。
株式型
eMAXIS Slim 国内世株式
TOPIXマザーファンドを通して国内の株式に投資をし、TOPIX(配当込み)と連動する投資成果を目指すファンドです。運用は三菱UFJ国際投信が行っています。
信託報酬:0.154%
信託財産留保額:なし
販売手数料:なし
純資産総額:485.54億円
設定日:2017年2月27日
eMAXIS Slimシリーズは人気の高いブランドで、低コストであることが最大の特徴です。
どのファンドを選んだら良いかわからないという場合、eMAXIS Slimを基準として他の投資信託と比べると良いかもしれません。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
「バンガード・S&P500ETF」を通して米国の代表的な株価指数であるS&P500に連動する投資成果を目指すファンドです。SBIアセットマネジメントが、2019年9月に世界最大級の投資信託会社である米国バンガード社と共同組成したファンドです。
設定したのが2019年9月26日とやや若いファンドですが、純資産総額は5,000億円を超えています。積み立てNISAやiDECOでの投資が可能で、人気を集めています。
信託報酬:0.0938%
信託財産留保額:なし
販売手数料:なし
純資産総額:5440.02億円
設定日:2019年9月26日
信託報酬が0.1%以下と極めて安く設定されています。米国株への分散投資におすすめです。
楽天・全米株式インデックス・ファンド
「楽天・全米株式インデックス・マザーファンド」を通し、主として「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」に投資をするファンドです。「CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)」に連動する投資成果を目指します。「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」とは、グロース株とバリュー株、大型株・中型株・小型株への分散投資を行うものです。
米国株式市場に投資可能な銘柄のほぼ100%をカバーしています。米国市場を正確に表している指数と言えます。
信託報酬:0.162%
信託財産留保額:なし
販売手数料:なし
純資産総額:5497.82億円
設定日:2017年9月29日
米国の小型株にまで投資ができる網羅性の高いファンドです。およそ4,000種類の株式に投資をしていることになります。分散投資という側面では、極めて有効です。
たわらノーロード 全世界株式
「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジなし)」に連動する投資成果を目指すファンドです。「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」とは、米MSCIが提供する外国株式インデックスで、先進国24か国、新興国21か国、フロンティア国25か国の約70か国の株式から、時価総額上位85%以上の銘柄を選定した指数です。各国の大型・中型株をカバーしています。
先進国、新興国、フロンティア国で分散投資をしたいと考えている場合に有効です。
信託報酬:0.132%
信託財産留保額:なし
販売手数料:なし
純資産総額:19.34億円
設定日:2019年7月22日
純資産総額がやや低いものの、手数料が低く、さまざまな種類の国の株式に投資ができる効率性の高いファンドです。新興国の指数で構成されるインデックスファンドもありますが、これ1つで分散できる点はメリットが高いです。
債券型
eMAXIS Slim先進国債券インデックス
「外国債券インデックスマザーファンドを通して、主として日本を除く世界各国の公社債に投資をするファンドです。「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)」に連動する投資成果を目指します。
公社債に幅広く投資をしています。債券は株式と反対の値動きをすることが知られており、分散投資に役立ちます。
信託報酬:0.154%
信託財産留保額:なし
販売手数料:なし
純資産総額:451.99億円
設定日:2017年2月27日
インデックスファンドの分散投資において、債券への投資は外せません。信託報酬が低く抑えられているeMAXIS Slimは積み立てNISA、iDECOでも購入でき、長期投資の1つとしておすすめできます。
iFree新興国債券インデックス
「ダイワ新興国債券インデックス・マザーファンド」を通じて、新興国通貨建ての債券に投資し、「JPモルガン ガバメント・ボンド・インデックス-エマージング・マーケッツ グローバル ダイバーシファイド(円換算)」に連動する投資成果を目指すファンドです。
このファンドのユニークな点は、債券型にも関わらず新興国通貨建てになっているため、相対的な値動きが大きい点です。
信託報酬:0.242%
信託財産留保額:なし
販売手数料:なし
純資産総額:69.35億円
設定日:2016年9月8日
金利の低い先進国債券は避けたいと考えており、株式ほどのリスクをとりたくない人に最適なファンドです。
不動産(リート)
DIAM世界リートインデックスファンド(毎月分配型)
日本を含む世界各国のリートに分散投資することにより、「S&P先進国REITインデックス(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジなし)」の動きに連動する投資成果を目指すファンドです。
構成銘柄は主にアメリカのリートです。産業用施設、倉庫、医療施設、賃貸住宅など、さまざまなタイプの物件に投資をしています。
信託報酬:0.94%
信託財産留保額:0.3%
販売手数料:2.75%
純資産総額:2145.01億円
設定日:2006年6月12日
運用期間が長く、純資産総額も大きいファンドです。株式、債券以外への投資先としてリートは最適でしょう。販売手数料、信託財産留保額が発生しますが、長期投資という側面で見れば気にはなりません。
野村世界REITインデックスファンド(確定拠出年金向け)
世界各国のリートに投資をします。S&P先進国REITインデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指します。iDECO専用のファンドです。
信託報酬:0.363%
信託財産留保額:なし
販売手数料:なし
純資産総額:473.89億円
設定日:2008年7月16日
iDECOを通して世界中のリートに分散投資をしたいと考えている人におすすめのファンドです。
賢いポートフォリオの組み方
投資信託のように長期投資が基本となる金融商品は、必ず分散投資をしてください。分散する際は、以下の2点を基本中の基本として抑えておきましょう。
・投資対象(株式、債券、不動産など)
・投資対象エリア(日本、アメリカ、先進国、新興国など)
値動きに最も大きな影響を与えるのが金利です。金利が低い金融緩和などの間は、株価が上昇する傾向があります。その反対に債券価格は下がります。金利が低い方が不動産売買は活発なので、リート価格も上昇しやすいでしょう。
注意したいのが、株式型のインデックスファンド。全世界株型と米国株型に投資をすると、分散したような気がします。しかし、全世界株型は主要な構成銘柄の多くが米国主力株のケースが多いです。結果として、米国主力株に偏ってしまう場合があります。
おすすめの方法は、構成名型がなるべく重複しないインデックスファンドを株式・債券・不動産に分けて選び、アクティブファンドを加える方法です。分散投資という点において、アクティブファンドの存在は欠かせません。
株式・債券市場の見通し
2022年に入ってアメリカの量的緩和、質的緩和の終焉がほぼ決定的なものとなり、S&P500、NASDAQなどの指数は急速に力を失っています。4月9日のS&P500は前日比0.3%安。週間ベースでは1.3%安となりました。
NASDAQも1.3%安くなっています。米国10年債の利回りは0.05%上昇して2.70%となりました。これは債券価格も下落していることを示しています。
急速な利上げ観測により、株式・債券ともに売られているのが現状です。アメリカは長期的には債券価格が持ち直して上昇し、株式は軟調になると予想されます。
日本は金融緩和継続の姿勢を強くしました。130円間近という円安に見舞われています。かつて円安は株価上昇のサインでしたが、製造業を中心に製造拠点を海外に移していることから円安メリットが少なく、為替の株式市場への影響は僅少です。
このような経済状況はかつてなく、今後どのように動くのかを市場関係者が見守っています。
インデックスファンドの特性を知ろう
インデックスファンドは非常に分かりやすい金融商品です。投資の入口として日経225やS&P500に連動する投資信託を購入し、アクティブファンドを検討する材料とすることをおすすめします。
一口にインデックスファンドと言っても、株式・債券・不動産、先進国・新興国、大型株・小型株、公社債などさまざまな分野に投資ができる奥深いものです。
インデックスファンドは経済に興味を持つきっかけともなる金融商品です。