Weather Reportの名盤『Night Passage』
Aventure編集部
アルバム『Night Passage』は、Weather Reportの黄金期といえる1980年にリリースされた最高傑作です。多くのジャズファンの注目を集めた80年代のジャズの名盤でもあります。この記事ではWeather Reportのバンドの紹介をはじめ、黄金期の名盤である『Night Passage』のレコーディングメンバーや収録曲の聴きどころなどを解説します。ジャズ、フュージョンが好きな方はぜひ最後までご覧ください。
Weather Reportとはどんなバンド?
Weather Reportは、1970年にアメリカで結成されたアメリカのジャズバンドです。マイルス・デイビス・グループの卒業生であるキーボードのジョー・ザヴィヌル 、サックスのウェイン・ショーターを核として結成されたバンドです。
1971年にリリースしたデビュー・アルバム『Weather Report』では、従来のジャズでは使われていなかったエレクトリック・ピアノが使われ、1970年代のジャズに大きな影響を及ぼしました。4thアルバム『Mysterious Traveller』ではシンセサイザーも多用するようになり、徐々にエレクトリックなスタイルに舵を切っていきました。
1976年にはベースのジャコ・パストリアスが加入し、これまでよりもファンク色が強くなりました。ジャコ・パストリアスは、その先駆的なベースラインで世界中のベーシストに影響を与えたことでも有名です。
ジャコ・パストリアスが加入した後、Weather Reportは黄金時代を迎えます。6thアルバム『Black Market』や7thアルバム『Heavy Weather』で連続ヒットを記録し、名盤『Night Passage』で大きな注目を浴び、一気に世界からの注目を集めるバンドへと変貌しました。
その後ジャコ・パストリアスが脱退し、バンドはポップ路線へと方向転換するものの、メンバー間で方向性にずれが生じます。その結果、1986年にはジョー・ザヴィヌルとウェイン・ショーターがそれぞれ別のバンドを結成し、Weather Reportは解散しました。
Weather Reportの『Night Passage』
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Weather Reportの『Night Passage』は、1980年にリリースされたWeather Reportの代表作と言われるライブ・レコーディング・アルバムです。デューク・エリントンの『Rockin in Rhythm』のカバーや表題曲における4ビートの導入など、ストレートにジャズに挑んだサウンド作りが評価され、多くのジャズファンに注目されました。
『Night Passage』にはジャコ・パストリアスの名バラード『Three Views Of A Secret』の初演も収録されています。
レコーディングメンバーの紹介
Weather Reportの『Night Passage』の『Madagascar』以外の収録曲は、1980年7月にロサンゼルスのコンプレックス・スタジオに観客を動員した上で、2日間にわたってライブ形式で録音されました。残る『Madagascar』は、同年6月に大阪フェスティバルホールで開催されたライブ演奏の音源が収録されています。
レコーディングメンバーはシンセサイザーのジョー・ザヴィヌル、サックスのウェイン・ショーター、 ベースのジャコ・パストリアス、ドラムのピーター・アースキン、パーカッションのロバート・トーマス・ジュニアの5名体制です。
ベースのジャコ・パストリアスは1982年にWeather Reportから脱退するので、『Night Passage』が最後の参加作品となりました。
収録曲の聴きどころ
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ここからはWeather Reportの最高傑作『Night Passage』の収録曲の中から、とくにおすすめの6曲をピックアップして特徴や聴きどころを紹介します。
『Night Passage』
アルバム1曲目に収録された表題曲『Night Passage』は、シンプルな4ビートではないものの、少しゆるめのスウィンギーなリズムの楽曲です。ジャコ・パストリアスとジョー・ザヴィヌルの世界観が融合した、アルバム1曲目にふさわしいナンバーといえるでしょう。
ジョー・ザヴィヌルの軽やかなキーボードの旋律を聴きながら、浮遊感がある自由自在のジャコ・パストリアスのベースにもしっかり耳を傾けてみてください。
『Dream Clock』
アルバム『Night Passage』の2曲目『Dream Clock』は、幻想的なバラードです。ジャコ・パストリアスの音数の少ない物静かなイントロで始まり、ウェイン・ショーターの哀愁漂うサックスの音色が重なります。
見事に響く神がかった高音に酔いしれるリスナーも少なくないでしょう。この曲はジャコ・パストリアスとウェイン・ショーターによるショーと言っても過言ではないでしょう。
『Port Of Entry』
アルバム『Night Passage』の3曲目『Port Of Entry』は、アルバム『Heavy Weather』収録の『Birdland』を彷彿とさせます。しかし、『Birdland』はジョー・ザヴィヌルが作曲したのに対して、『Port Of Entry』はウェイン・ショーターが作曲を担当しました。
ウェイン・ショーターのテナーサックスが展開をリードしていく楽曲ですが、最大の聴きどころは中盤に登場するジャコ・パストリアスのベースソロでしょう。
ジョー・ザヴィヌルのユニークかつリズミカルなシンセサイザーも際立っています。
『Forlorn』
アルバム『Night Passage』の4曲目『Forlorn』は、静寂で美しいスローテンポのナンバーです。ジョー・ザヴィヌルのキーボードにウェイン・ショーターのテナーサックスの音が重なり、美しいハーモニーが響きます。
中盤からはピーター・アースキンのドラムビートにも注目して聴いてみてください。
『Rockin’ In Rhythm』
アルバム4曲目の『Rockin’ In Rhythm』はデューク・エリントンのカバー曲です。原曲の世界観に引き込まれすぎず、Weather Reportの個性が詰まったアレンジが特徴的です。
ジャコ・パストリアスのベースラインとピーター・アースキンの軽快な4ビートがたまらなく心地よいので、ぜひ聴いてみてください。
『Three Views Of A Secret』
アルバム『Night Passage』の7曲目『Three Views Of A Secret』は、ジャコ・パストリアスの傑作と言われるほどの美しい楽曲です。ウェイン・ショーターのテナーサックスや、ジョー・ザヴィヌルのキーボードも美しい音色を奏で、ドラマチックに響いています。
Weather Reportの黄金期の名盤『Night Passage』
Weather Reportの『Night Passage』は、Weather Reportの黄金期の最高傑作と言われるアルバムです。多くのジャズファンに注目された名盤で、今もなお多くのリスナーから愛されています。
本作は、ジャズファンのみならず音楽ファンも一聴すべき名盤です。一曲ごとに魅力や特徴も異なるので、1回のみではなくリピートして聴くことをおすすめします。Weather Reportの楽曲を聴いたことがない方も、ぜひこの機会にお楽しみください。