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スライ・ストーンの問題作にして最高作!『暴動』の魅力と背景に迫る

Aventure編集部

『暴動』はSLY & The Family Stoneの5枚目のオリジナルアルバムで、ブラック・ミュージックの問題作にして最高傑作として有名な名盤です。このアルバムの魅力を語る上では、当時の社会情勢やスライの置かれていた状況を理解することが欠かせません。この記事では『暴動』収録曲の聴きどころや当時の社会情勢など、『暴動』の魅力を味わうための情報を徹底的にご紹介します。


SLY & The Family Stone『暴動』とは?

 
 
 
 
 
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『暴動』は1971年に発売されたSLY & The Family Stoneの5枚目のアルバムです。原題は『There’s A Riot Goin’ On』、直訳すると「暴動が起きている」となります。当時の社会情勢に訴える政治的かつ攻撃的なアルバムであり、ブラック・ミュージックの問題作にして最高傑作として名高い作品です。

中でも収録曲の『ファミリー・アフェア』はシングル・カットされ、全米1位を獲得するほどのヒットを収めました。また2021年に発売50周年を迎えるのを記念し、レッド・ヴァイナル仕様で発売されました。本作から多くのサンプリングが登場しているなど、『暴動』が音楽界に与えた影響は計り知れません。


SLY & The Family Stoneについて

 
 
 
 
 
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ここでは『暴動』を生み出したSLY & The Family Stoneについて、グループと中心メンバーであるスライ・ストーンのプロフィールをご紹介します。

SLY & The Family Stoneのプロフィール

SLY & The Family Stoneは1966年に結成され、アメリカ・サンフランシスコを拠点に活動していたグループです。当時としては画期的な白人黒人男女混合のバンドでした。

1967年に『A Whole New Thing(新しい世界)』を発表し、華々しいデビューを飾ります。翌年『Dance To The Music』をリリースし、タイトル曲が全米チャート8位を記録、その後『Everyday People』で全米1位になるなど、全米で人気を博しました。

しかし、『暴動』の発売以後から変化が見られます。それまで明るくポップなファンクを展開していた彼らですが、『暴動』では心の影が反映されたような音楽が収録されました。やがて、主要メンバーであるスライ・ストーンがドラッグに溺れたことがきっかけでバンドは解散状態に陥ります。1975年にバンドは活動を停止し、1981年に正式に解散してしまいました。

このように、決して華やかかつ順調とはいえない経歴を辿ったグループでしたが、ロックとブラック・ミュージックを融合させたバンドとして、音楽界に今なお影響を与え続けています。

主要メンバーのスライ・ストーン

SLY & The Family Stoneを語る上では、主要メンバーであるリーダーのスライ・ストーンを知ることが重要です。スライ・ストーンは1944年にテキサス州ダラスで生まれました。バンド結成前はソングライターとして楽曲提供をおこなうほか、自身もスライ名義でソロ活動をしていました。

『暴動』は彼が大半の楽器を演奏し、ほとんど1人で作り上げたとされています。傑出した才能で優れたファンク・サウンドを生み出していましたが、次第にドラッグに手を染めて逮捕されるなど、スライの生活は堕落していきました。その後、長きに渡って表舞台からは姿を消してしまうのです。

2011年になると、ソロアルバム『I’m Back! Family & Friends』をリリースしましたが、再び消息不明状態が続きます。2015年には、彼の波乱の半生とその後を綴ったドキュメンタリー映画『スライ・ストーン』が日本でも公開されますが、彼の現在の状況は謎に包まれています。


『暴動』収録曲の中でもおすすめを紹介

 
 
 
 
 
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『暴動』はA面・B面合わせて12曲が収録されています。ここでは、その中から抜粋しておすすめの4曲を紹介します。

Family Affair

『Family Affair』はシングルカットされ、全米1位を記録したヒット作です。「それは家庭の問題さ」という言葉が繰り返された後、「学びたいから学ぶという大人に成長する子供もいれば、火をつけて燃やしたくなるような大人に成長する子供もいる」と歌われます。

1970年にリリースされた『Everybody Is a Star』の前向きで明るい曲調とは対照的に、荒れた家庭を取り上げるに相応しい、生々しく不気味さを感じる曲調です。リズム・マシーンのビートと曲の途中に現れるスライの叫び声が印象的な1曲です。

Africa Talks To You “The Asphalt Jungle”

タイトルの邦題は『アフリカは君に語りかける』です。当初はこの曲がアルバムタイトルになる予定だったとも言われており、アルバムにおいては重要性の高い1曲です。

このアルバムを象徴するかのような、暗く重い曲調に仕上げられています。

There’s A Riot Goin’ On

和訳すると『暴動が起きている』というこの曲のタイトルは、マービン・ゲイの楽曲『What’s Going On?』(何が起きているんだ?)という曲に対する返答とされています。

タイトル・トラックでもあるこの曲の最大の特徴は、​​4秒の無音トラックであることです。0秒を収録することはできないため、4秒の無音トラックになりました。

この曲が完全無音なのは「いかなる暴動も起きてほしくない」というスライの願いを反映しているそうです。タイトルで「暴動が起きている」という状況を伝えながら、無音にすることで「暴動がなくなってほしい」という願いを表現した極めて表現性の高い1曲と言えるでしょう。

Thank You For Talkin’ To Me, Africa

『Thank You For Talkin’ To Me, Africa』は、大ヒット曲『Thank You』のテンポを大幅に落として再収録したものです。スライ流ファンクの金字塔として親しまれています。『Africa Talks To You “The Asphalt Jungle”』のアンサーソングとして制作されました。ベースのフレーズが前面に押し出されたミックスが特徴的で、ファンクバンドならではのグルーヴ感がよく感じられます。


『暴動』の見どころ・聴きどころ

 
 
 
 
 
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ここでは、『暴動』の見どころや聴きどころを解説します。

ファンク・ロックを確立させた名盤

『暴動』はファンクとロックを融合させた名盤として名高い作品です。それまでのファンクは黒人向けに作られていたため、排他的な音という認識が一般的でした。それをロックと融合させ、誰もが楽しめる形へと昇華させたのがスライ・ストーンであり、ファンク・ロックという新たなジャンルを確立させるきっかけとなったのが『暴動』です。

ロックとファンクを融合させて生み出される唯一無二のディープな音楽こそが、『暴動』の聴きどころといえるでしょう。ファンク・ロックを好む方はもちろん、これからファンクの世界に足を踏み入れたいリスナーにもぜひ聴いていただきたいアルバムです。

当時の情勢を反映したメロディー

『暴動』発売前のSLY & The Family Stoneは、明るくポップなメロディーを展開していました。しかし、『暴動』はそれまでとは打って変わって、暗く孤独感を感じさせるアルバムに仕上がっています。

これには、当時のアメリカの社会情勢やスライが置かれていた状況が影響しているようです。当時のアメリカでは、キング牧師が暗殺され公民権運動に陰りが見られるなど、黒人をめぐる人権問題が迷走していました。また、スライ・ストーン自身もドラッグに依存してコンサートやレコーディングを放棄するなど堕落しており、バンドは崩壊状態にありました。

『暴動』はそのような暗い社会情勢とスライの孤独な状況を反映していると言えます。このアルバムはスライがほとんど1人で作ったとされており、オーバー・ダビングを繰り返したことで残るノイズがそれを物語っています。

ジャケットデザインにも注目

『暴動』は、収録楽曲自体が魅力的で知名度が高いことはもちろん、アルバムのジャケットも特徴的です。社会情勢とそれに対するスライ・ストーンの思いは、曲だけでなくジャケットデザインにも現れています。

ジャケットデザインは星条旗ですが、よく見ると星の代わりに太陽をあしらったデザインが用いられています。スライはこのアルバム・ジャケットについて「すべての人種の人々」を意味しており、黒は色の欠如、白はすべての色の混合、そして赤はあらゆる人に等しく流れる血の色を表しているのだと説明しました。また、星ではなく太陽を配した理由については、「星は探さないといけないものだが、太陽は常に存在しこちらを見ているから」としています。

このように、音楽とジャケットデザインの両方から、スライ・ストーンの願い・叫びが感じ取れます。


スライの『暴動』はファンク・ロック好きなら必聴の名盤

SLY & The Family Stoneの5枚目のオリジナルアルバム『暴動』は、ファンク・ロックを確立させた作品であり、スライ・ストーンの天才ぶりが余すところなく発揮された名盤です。

当時のアメリカの社会情勢やスライの置かれていた孤独な状況を知ることで、よりアルバムを深く味わえます。ファンク・ロック愛好者はもちろん、ファンクの世界に初めて足を踏み入れる方にもおすすめです。スライの問題作にして最高作と言われる『暴動』を、ぜひこの機会に聴いてみてはいかがでしょうか。

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